名前:伏見 宗一郎(ふしみ そういちろう)
年齢:28
性別:男
組織:魔術結社連盟
身長:198cm
体重: 81Kg
髪の色:黒
肌の色:黄色
眼の色:黒
経緯:師から授かった
霊紋の位置:右掌
霊紋の形状:絡み合う三つの歯車
目的:かつての日常を取り戻す
コネクション:“大悪魔”メフィスト・フェレス
感情:親近感
表の職業:職人(人形師)
特徴:精密作業(敏捷判定の達成値+2、知性判定の達成値+1)
経験値
累積:632 現在値:182
| 世界干渉LV |
種族 |
タイプ |
種族特典 |
| 4 |
魔術師 |
魔法 |
魔術の家系 |
| 称号(系統:戦闘) |
タイプ |
| コントラクター(メイン) |
B |
| エルダーメイジ |
B |
|
体力 |
敏捷 |
知性 |
精神 |
幸運 |
|
物D |
魔D |
行動値 |
生命力 |
| 能力値 |
1 |
2 |
9 |
7 |
3 |
|
1 |
5 |
7 |
20 |
| 戦闘修正 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
|
2 |
2 |
6 |
32 |
|
命中 |
回避 |
発動 |
抵抗 |
看破 |
|
物D |
魔D |
行動値 |
生命力 |
| 戦闘値 |
2 |
3 |
10 |
8 |
4 |
|
3 |
7 |
13 |
52 |
~
| 名称 |
タイミング |
距離 |
対象 |
コスト |
効果 |
| ▲錬金の技 |
常時 |
使用者 |
使用者 |
なし |
|
| ▲魔術調査 |
特殊 |
使用者 |
使用者 |
奇 |
|
| ※契約召喚 |
常時 |
使用者 |
使用者 |
なし |
|
| ※高位治療 |
攻撃 |
戦闘地帯 |
1体 |
6 |
|
| 攻撃力増強 |
常時 |
使用者 |
使用者 |
なし |
|
| 共感成長 |
常時 |
使用者 |
使用者 |
なし |
|
| 威力吸引 |
特殊 |
戦闘地帯 |
1体 |
4 |
|
| ◎幻獣召喚 |
常時 |
使用者 |
使用者 |
なし |
|
| 霊力烈破 |
特殊 |
7マス |
1体 |
4 |
|
~
※契約召喚種別:機械・幻獣
|
名称 |
命中 |
回避 |
発動 |
抵抗 |
看破 |
物D |
魔D |
行動 |
生命 |
装甲 |
結界 |
| 武器 |
54528=24=6 通称ヴァヴ(霊力銃) |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
+4/5 |
-1/0 |
- |
- |
- |
| 魔法攻撃/距離7マス/対象1体/抵抗消滅/属性なし/ランク2 |
| 追加効果 |
| 霊力銃 |
装備中、契約神獣の攻撃行動のダメージ+1D |
| 戦術補助 |
開始タイミング、行動値+1D |
| 自動詠唱 |
行動値+2 |
| 多重魔法陣 |
魔法攻撃の対象+1 |
| 武器・盾 |
|
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
| 鎧 |
マジックインバネス |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
+1 |
+1 |
| ---- |
| 装飾 |
セフェール・イェツィラー(阿修羅帳:腰) |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
| 召喚可能契約神獣のレベルを+1 |
| 装飾 |
マルクト(霊力封入ボール:手) |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
| 装備中、契約神獣の攻撃行動のダメージ+1D |
|
命中 |
回避 |
発動 |
抵抗 |
看破 |
物D |
魔D |
行動 |
生命 |
装甲 |
結界 |
|
2 |
2 |
10 |
7 |
4 |
3 |
7 |
12 |
52 |
0 |
0 |
| 合計 |
2 |
3 |
10 |
8 |
4 |
3 |
11/12 |
12/13 |
52 |
1 |
1 |
~
| 簡易移動 |
1マス |
戦闘移動 |
6/7マス |
全力移動 |
17/18マス |
アイテム:常備
霊毛シュラフ(休息回復量+4)
呪符(消去時精神に+1)
モバイル(未登場、退場時も会話が可能)
施設(休息回復量+3)
救急セット(休息回復量+3)
自動車
アイテム:消耗
ポマンダー(登場判定に自動成功)
おちみず*2(回復20)
五石散(苦痛、麻痺、不動を解除)
アムリタ(気絶を解除)
魔香*5(消去時精神+1)
カロリーブロック*5(休息回復量+5)
聖水*5(種別:不死に与えるダメージのランクに+1)
所持金:8875G
設定
錬金術の本場であるプラハにおいて人形師としての秘奥を学んだ魔術師。
本来であるならば伏見家は一つの流儀を成す陰陽の名門宗家であるが、しかし血脈の力は既に衰え薄れ百年程前から霊的資質に恵まれた者が現れず秘儀の継承も満足に出来ない状態にあった。
その為、一族は近代に入ってからは密かな協会の協力者ではあったものの“魔”と直接対峙するような役からは遠のき、寧ろ古い因習を捨て去るように一般社会へ溶け込もうとしていた。
そんな折に、今までの血脈の精算とでも言うように稀代の資質に恵まれた者として生まれついてしまったのが宗一郎である。
伏見流の陰陽術は特に人形を作り操ることに優れていたが、昨今の伏見家においてこの古の秘儀により作られた人形達は骨董の美術品以上の価値は無く、ただただ家を飾る置物として無造作に扱われていた。
それを彼は幼少時に特殊なものであると看破し、あろう事か構造を解して霊力を以てそのうちの一体を起動してしまったのである。
この才の発覚に一族は驚愕し頭を抱えそして畏れた。
捨て去ろうとしたものに逆襲されたとある者は感じ、呪いのように付きまとう血脈の因果を恨めしく思う者さえいた。
結果として彼は腫れ物に触るような処遇を常にされるようになり、家族の中にあってさえ一挙手一投足を戦々恐々とされる存在となってしまったのである。
しかし、彼はこのような扱いに悲しみは感じたものの恨むことはなかった。
それどころか、闇を捨て平穏へ向かおうとする一族の意向は正道であると深く理解し、だから再びそれを引き戻しかねない己という異質な存在こそが問題なのだとすら考えていた。
一時期は自身の力を捨てようとさえ思った。
だが、それでは───と別れることになってしまう。
故に、彼はその選択肢も決して取れなかったのである。
が、十六年前の<煉獄の夜>の混乱期の当時に彼にとっての転機が訪れる。
魔術結社連盟に属しておりゴレムの秘儀を継承してきたある律法学の大家が<煉獄の夜>の調査に日本を訪れ、その際数百年前に一族同士で親交があった伏見家を訪ねてきたのである。
そしてその律法学者は、超常家系としてもはや見る影もなく衰微した伏見家の現状を知り、一つの提案をしてくる。
ならば、そちらで持て余している異能を発現した鬼子を自分の弟子として引き取ろうではないか、と。
これに一族も本人も喜んで承諾し、かくして宗一郎は師となった律法学者が本拠としているプラハに渡り主にカバラの秘儀を中心とした様々な魔術を学んでいくことになるのである。
それから十数年、宗一郎はその才を見込んでいた師すら瞠目するような魔術師としての著しい躍進を果たし、遂には三大の書の秘儀の原理をほぼ完璧に会得してしまう。
特に『セフェール・イェツィラー(創造の書)』についての習熟は凄まじく、奇しくも古の伏見家の密儀を準えるかのように宗一郎は人形作りに没頭していく。
───実は彼には一つの大きな目的があったのだ。
それはおよそ万人から正気とは思われないものであるが“人形を完全なる人間と成すこと”というもので、過去幾人もの魔術師や錬金術師が挑んでは挫折した神域の業である。
しかしながら、これについては魔術師にありがちな真理に到達せんが為に辿り着いた大望ではなかった。
彼が幼い頃にそのあまりの美しさから吸い寄せられるように陶然と手を伸ばし、衝動的に己の力を注ぎこんでしまった“彼女”
つまりは、今も自身に付き従う古より在る一目惚れしてしまった人形を人間と化すために……彼は敢えて不可能なる研鑽に挑むことにしたのである。
ただ、彼はこの種の望みを抱いた者達が陥り易い狂気と独善的な価値観の硬直には毒されていない。
───今のところは。
少なくとも、現在までの彼の評価は彼を知る者ほど方向性が一致していて、曰く
『呆れるほどにお人好しで、善人』
というものである。
この性質は生まれついてのものでもあるが、彼の判断基準に“彼女が悲しむような行為は決してしたくない”というものがあるのも大きく起因している。
さて、このままであればプラハに工房を構え密やかな研鑽を続ける異才の魔術師という立場に定着したであろう彼が再び日本に舞い戻ったのには幾つかの理由がある。
まず、師である人物が死にその後継として<レリック(断片)>を託される事で『ラビ・ガビーロール』の銘を受け継ぎ<ディバインテイカー(カミガカリ)>となったこと。
そして、その事実をどういう経緯でか知った<退魔師協会>が伏見家へ希少なる異才の外部への流出の咎を責め立て、宗一郎を招聘するよう脅迫混じりに要請したこと。
さらには<大悪魔メフィスト・フェレス>と邂逅し、今のままでは己の望みは決して果たされずその研鑽は徒労に終わるという事実を容赦無く宣告されたこと。
特に、最後の理由は彼にとって最も切実かつ衝撃的だった。
流石に“大悪魔”と言うだけあり彼女の叡智は宗一郎の持つ理を軽々と凌駕し、その問題点の列挙と理論の綻びの指摘は彼を徹底的に打ちのめしたのである。
『結局のところ……ダンナの望みというのはダアトに至るしか殆ど目が無いように見えるんですがね、あたしには。だって、道を外れるのは駄目なんでしょう?』
『ま、となるとその位置に一番近い場所はと言われれば、ダンナの故国だ。あそこ、あの夜から随分酷いことになってるからねー。おかげで、あたしも大助かりなんですが』
『あたしもね、ダンナとちょっと望みが近い。ただ人間になりたいんですよ、あたしも。まあ、なりたいとしたいじゃ大分離れてるかもしれないですが、結論としてはそう変わらない』
『だから、ダンナをちょっと応援したい気持ちもあるかなー。うん! なかなか面白いんでちょくちょく顔を見せに来ましょう! カノエさん、でしたっけ? 彼女にもよろしくー』
悪戯っぽい笑みを浮かべて煙のように消えた彼女を呆然と見送りつつ、宗一郎はもう決意していた。
様々な思惑は確かに絡みつくが、とにかく故国に帰ろうと。
こうして彼は現在、久代市の工業地帯の一角に自身の工房を構えつつ<魔術結社連盟>から出向した魔術師という体裁で<退魔師協会>から、もしくは時には<大悪魔メフィスト・フェレス>から、依頼を承っては怪異な事件にカミガカリとして臨んでいるのである。
容姿
眼窩に落ち窪んだ鋭い目、高い鼻柱にせり上がった額、眉間に刻まれた深い皺、堅く結ばれた薄い唇と、普通の人間なら大抵の者たちが一瞬怯むような凶悪な強面。
肩まで伸びた黒々とした髪も緩やかに波打ち、複雑に絡む不気味な蔦を彷彿させる。
おまけに2m近い長身で肩幅も広く、筋骨隆々とまでいかなくとも引き締まった体格の為周囲に威圧感を齎すに充分。
声は朗々と深く響き、表情も殆ど変わらず、睨みつける眼光だけで殆どの人間を竦ませることから学徒時代に付いた仇名が『大魔王』『暗黒卿』『シスの騎士』と散々である。
実際に彼が微笑みを浮かべただけで、女生徒の一人が卒倒したとか悲鳴を上げて逃げ出したとかいう噂がある(事実である)
子供に遠くから石を投げつけられるようなこともしばしばあった。
ちなみに、彼の性格は端的にいえば見た目と真逆なためにこれら反応に仕方ないと割り切ってはいるものの内心で悲しんではいる。
その為初対面の人間には、どうすれば怖がらせないかと悩んで無口になりがちだが、それがますます相手を恐怖させることが多い。
装備品設定
<54528=24=6 通称ヴァヴ(霊力銃)>
様々な紋様が施された銀(しろがね)の銃身に、六芒星を基幹とした複雑な魔法陣が彫られた樫材のグリップを備える、六発装弾の回転式拳銃。
が、弾は一発しか入っておらず、それは決して発射されることがない。
何故なら、その弾丸こそにお約束であるあの五文字が刻まれているからである。
銃の正式名称もその五文字を数価に変換したもの。
通称である“ヴァヴ”はヘブライ語で“6”を表し、つまりは数秘法(ゲマトリア)での解を表している。
十八世紀にカバラに精通したとある銃職人が己の魂を込めるかのように心血を注いで制作した、二十七の霊力銃の内の一つ。
一般の人間から見れば、弾丸も発射できないただ華美なだけの銃である為に式典用途のものにしか見えないが、霊力魔力を持つ者が使用すれば文字通りに魔弾の類を放つ事が可能。
それは、この銃が弾丸を撃っているというよりも使用者の魔力を効率良く集中し照準器としての役割を担っているという感じである。
しかしながら、そのような魔弾は実際のこの銃の用途の副産物に過ぎない。
本来はこの銃を基点として魔力を効率良く運用する事により、持ち主である律法学者達がゴレムの秘法を用いる際に制御の精度をより高めるという作用を期待され作られたのである。
<セフェール・イェツィラー(創造の書)>
所謂、カバラの三大教典の一つでありセフィロト、ゲマトリア、ゴレムについて記されている。
巷のオカルトマニアの間でも著名な書物であるが、ゲマトリアの素養が要求されるので解読は困難とされる。
しかも写本に次ぐ写本で変伝し、殆どのものが内容が歪曲され正しく伝えているものは極々僅かである。
その中でも『ラビ・ガビーロール』が所有しているものは写本ではあるが原典に最も近いものの一つであると言われている。
しかしそれはあくまで噂であり、実際のところ『ラビ・ガビーロール』のセフェール・イェツィラーは原典からかなり乖離している。
何故ならそこには『静かなる王国』と総称される数多の異質かつ超越的なゴレムの創造法と制御法が綿密に記されているからである。
代々の『ラビ・ガビーロール』が新たにゴレムを創造する度に追記されていくそれにより、この書はもはやカバラの教典というよりは魔道書に近いものになりつつある。
<マルクト>
生命の樹における第十のセフィラの名を冠するが、セフィロトの秘儀とはあまり関係が無く直裁的に原義である『王国』という意での名称である。
その外見は、少々大きめで褐色の革が張られた古びたアタッシュケースに過ぎない。
しかし、少しでも霊視の素養があれば過剰なほどに何かを抑え込む力を感じる筈である。
更に術式に優れたものならば、これが内包する一つの世界の『蓋』もしくは『門』の役割を担っていると理解できる。
『ラビ・ガビーロール』が自らの世界である『静かなる王国』に貯蔵する百体とも千体ともされる無数の不気味な人形達は、主の命により此処より顕現するのである。
『静かなる王国』の人形達の一部(契約神獣設定)
<歯車城> 朧車相当
絡み合う歯車で構成された城。
両端に一際巨大な歯車が車輪さながらに備えられている。
動くたびに、全体の歯車が耳障りな軋む音を出しつつ回転し煙を上げる。
その回転が限界近くまで加速した時、この不気味なる城はあり得ざる速度で地を疾駆する。
<羽ばたきの為の機構> 八咫烏相当
金属により一枚一枚の羽を精巧に再現された翼を持つが、それ以外の部分は複雑な機械仕かけが剥き出しになった鳥。
地に降り立つときは普段は収納されている三本の支持架の如き金属の棒が伸び、それを器用に動かして歩行する。
本来頭部にあたる箇所には、紺碧の宝石が埋め込まれそれが外界の感知装置となっている。
更には、その宝石から魔力を収束した光線や爆撃さながらの魔弾を放つことも可能である。
<至らざる丘> 戦車×1相当
戦場に倒れ伏す無数の遺骸を模した人形たちで埋め尽くされ、幾多の剣が墓標の如く突き立てられた丘。
そう───馬鹿馬鹿しくも悍ましい事に丘自体が一つの人形なのである。
その丘は地響を上げつつ、蛞蝓さながらに蠕動して動き回る。
敵対者を攻撃する際は、その突き立てられた剣を解き放って数多の刃雨を飛来させたり、単純に巨躯を以て押し潰したりする。
また、遺骸として飾られた人形達が立ち上がってそれぞれ剣を引き抜き、戦場で狂奔する兵士さながらに暴れまわる事もある。
<英雄使い> 堕ちた人造神器相当
針金を縒り合せ作られたかのような、棒人間の如き粗雑で簡素な子供だましじみた人形。
但し、その手には強大な霊威を放つ不釣り合いなこと甚だしい絢爛な武器を常に携えている。
首には紐で掛けられた木の板があり、そこには稚拙極まりない文字で「あーさーおう」時には「くーふーりん」はたまた「ろーらん」もしくは「しぐるず」などと書きつけられている(気分次第である)
……言うまでもなく、この武器の方が<英雄使い>の本体である。
伏見「ほほう……今日はかの騎士王アーサーか」
<英雄使い>「───! ───! ───!(見て、見て! というように必死に剣を掲げる)」
伏見「うむ。その神々しい輝きは、まさしく王剣エクスカリバーだな。剣の威光に、あらゆる者達が頭を垂れ伏すであろうよ」
<英雄使い>「──────! ───!(照れるように棒人間が頭を掻く仕草をする)」
……<英雄使い>が顕現した時に伏見との間で大体の場合このような呑気な光景が繰り広げられる。
ちなみに、<英雄使い>が模した英雄により武器はその形状を変化させる(例えば「くーふーりん」の場合は深紅の槍、「しぐるず」の場合は禍々しい竜殺しの大剣など。勿論、性能に一切の変化はない)
だがこのように難儀な性格の人形ではあるが、戦いにおける性能は凄まじく本当に魔剣聖剣を繰り出す英雄の如く立ち振る舞い、あらゆる敵を斬り伏せ打ち砕く(時々、人形と武器の動きが大幅にずれることはあるが)
伏見の目下の心配事は、この<英雄使い>が日本のサブカルチャーのキャラクター群に目を付けたりしないかということである。
<英雄使い>は自身が模したものを理解されなかったり貶されたりすると、少々落ち込んだり不機嫌になるので。
<螺旋に祈る魔女> 土地神相当
別名を<バロルの花嫁>
黒と白で織り成すゴシック調の豪奢なドレスを身に纏い、鍔広な帽子を被る秀麗な顔立ちな銀髪の貴婦人。
が、虜囚であることを示すように、その力なく下げられた手には枷が嵌められおり瞼が糸で縫い合わされ固く閉じられている。
口元が常に悲しげに歪んでいるが、主が詠い上げる一つの詩片を耳にするとそれは酷薄な笑みへと変化する。
“絹糸は逆しまに。七天に巡り、戦車(いくさぐるま)は灰となる。底に残るはナナカマド。回れ回れ、帳の向こう。枯れて堕ちるは、胡桃のみ”
それは、彼女の閉じられし瞳を開封する詩。
こうして深紅の輝きが禍々しき邪眼から放たれる時、それに射られたモノは灰燼と化すのである。
これは、かつて実在し処刑された強大な魔女を矮小化して模した人形とされている。
だが、その再現性の高さから拘束された当人ではないかと怪しむ者達も居た。
その真偽は不明だが、少なくとも代々のラビ・ガビーロールは『静かなる王国』を受け継ぐ際にこの人形について“扱いには細心に。但し、決して非礼無きよう”と言い渡される。
最終更新:2014年07月22日 23:48