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三様の想い」(2015/09/22 (火) 23:56:48) の最新版変更点

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**三様の想い ◆nig7QPL25k  一般のジュニアハイスクールに通う、日本人の少女・鹿目まどか。  謎の失踪を遂げた彼女を、美樹さやかは、結局自力では見つけられなかった。  無事を確認したのは、捜索を打ち切って家に帰り、まどかの家に電話をかけた時のことだ。  家に帰っていたまどかは、学校に来られなかった理由として、事故に遭っていたと話していた。 「あのさ……ひょっとして、何か危ないことに、巻き込まれたりしてない? ほら、最近物騒だからさ」  もしかしたら、サーヴァントの襲撃を受け、命を脅かされていたのではないか。  そういう意図を込めた質問には、曖昧な返事しか返ってこなかった。 ◆  いつも通りに夕食を食べ、いつも通りに宿題を解く。  いつも通りに風呂に入って、着替えをし自室へと戻る。  行動はいつも通りのものだ。違うことといえば、聖杯戦争の本戦が、この夜から始まったということだろうか。 「……サーヴァントに襲われたなんて、言えないよねー……」  ベッドに転がりながら、美樹さやかは言う。  恐ろしい化け物に襲われたなど、たとえマスターでなかったとしても、そうそう言えることではない。  何しろそんなことを言っても、信じてもらえないからだ。  だから、ああいう曖昧な返事になったのも、仕方ないと言えば仕方ないのだろう。  そうなのだと、彼女は信じたかった。 「――随分あっさりと、あいつのことを信じるんだな」  そこに水を差したのが、さやかの従えるサーヴァントだった。  燃える業火の中生まれ落ちた、炎の剣騎士、レオン・ルイス。  その赤い瞳は冷たく光り、さやかの抱く考えを、甘いものだと一蹴したのだ。 「何よ」 「普通に考えておかしいだろ。何の力もないNPCが、サーヴァントから逃げ切ったなんてことは」 「それはその……たとえば、また別のサーヴァントが乱入してきて、放っておかれたとか」 「ない話じゃない。けどな、あくまで可能性の一つだ」  偶然よりは必然の方が、確率としては高いぞと、レオンは厳しく言い放つ。  死ぬはずだった人間が、たまたま生き残ったというよりは。  逆に襲われた人間の方が、生き残るべき勝者となった。  鹿目まどかはマスターで、他のマスターの攻撃を受け、辛くも勝利し自宅へと帰った。  そう考えた方が不自然はないと、己のマスターに向かってそう言ったのだ。 「………」 「……まぁ、認めたくないのは分かる。お前のことだからな」  思い返すのは、出会った日に聞いた、暁美ほむらへの想いだ。  明らかに敵である彼女に対しても、さやかは殺すという選択肢を躊躇った。  それはひとえに、かつてのほむらが、さやかの仲間だったからだ。  であれば、現在進行形で友人であるまどかを、容易く敵と見なせるはずもない。  それはレオン・ルイスにも、理解できていたことだった。 「だがだとしても、その可能性から、決して目を逸らさないことだ。殺したくないなら、どうすればいいか、自分の頭で考えろ」  それでも、それだけは言っておかねばならなかった。  まどかを殺したくないにせよ、殺さずに済む方法を、何か考えなければならない。  それを怠り、ただ現実逃避を続けていては、変えられる状況も変えられないのだ。 「……分かってるわよ」  憮然とした表情を作りながら、さやかはレオンへと返した。  ため息をつきながらも、レオンはそれで納得し、霊体となって姿を消す。  部屋に残されたさやかは、明かりを消すと、そのまま布団へと潜り込んだ。 (どうすればいいか、か……)  答えはすぐには出せそうにない。  サーヴァントを倒して強制退場させる、というのも手だ。しかし、安全だと明言されていないのは、不思議と気になる。  割り切れれば楽なのだろうが、あれは自分の友達だ。  まだ知り合って間もないといえど、親友と呼べるほどの相手でないにせよ、友人の一人には間違いないのだ。 「……やめよう」  これ以上考えてもこんがらがるだけだ。  頭をリフレッシュさせるためにも、今夜はこのまま寝ることにしよう。  一度気分を落ち着かせて、それからまた明日考えればいい。  問題を先延ばししているだけだとは分かっていたが、それでも今日はそうしたかった。  そうしてさやかは、仰向けになると、そのままゆっくりと目を閉じた。 【C-2/一般住宅街・美樹家/一日目 深夜】 【美樹さやか@[新編]魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語】 [状態]健康 [令呪]残り三画 [装備]なし [道具]なし [所持金]やや貧乏(学生の小遣い程度) [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を手に入れる 1.今夜はこのまま寝る。明日のことは明日考える 2.まどかに対して……? 3.人を襲うことには若干の抵抗。できればサーヴァントを狙いたい [備考] ※C-2にある一軒家に暮らしています ※サーヴァントを失い強制退場させられたマスターが、安全に聖杯戦争から降りられるかどうか、疑わしく思っています ※鹿目まどかがマスターではないかと疑っています(あまりマスターだとは考えたくない) 【セイバー(レオン・ルイス)@牙狼-GARO- 炎の刻印】 [状態]健康 [装備]魔戒剣 [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:マスターを守って戦う 1.明日の行動方針を考える 2.鹿目まどかに対して不審。同時に、彼女を敵だと思いたくないさやかに対して懸念 [備考] ※鹿目まどかがマスターではないかと疑っています ◆  天に煌めく星座を望む。  屋根の上に腰掛けて、頭上に広がる夜空を見上げる。  ロングコートをはためかせるのは、アーチャーのサーヴァント――射手座(サジタリアス)の星矢。  身に受けた傷を隠すように、コートを纏った青年は、一人鹿目家の屋根の上で、またたく星空を見ていた。 《さっきの電話は、君の友人か?》  屋根の下へと念話を送った。  相手はこの地に降り立って、自分と契約を果たした、鹿目まどかというマスターだ。  己の小宇宙が、自分自身ではなく、他人の身から供給されるというのは、なんとも不思議な感触ではあった。 《はい、そうです》 《そうか……いい友を持ったな、まどかは》 《はい……元の世界にもいた友達なんですけど、転校してきたばかりの私にも、よくしてくれてるんです》  この偽りの仮想世界には、顔見知りと同じ姿をした人間が、何人かNPCとして再現されているらしい。  その一人が電話をしてきた、美樹さやかという友人なのだそうだ。  そう語るまどかの声音は、少し弾んだように聞こえていた。 《帰らなくてはいけないな……その友人達のもとへ》 《……そうですね》  鹿目まどかには願いがない。  聖杯にかけるほどの大望もなく、この世界樹へと招かれて、戦いを強いられてしまっている。  そうして彼以前のサーヴァントを喪い、命の危機に瀕したまどかには、それとは別の想いが芽生えていた。  元の世界へと帰りたい。  聖杯などはどうでもいいから、一刻も早く脱出したい。  それこそが鹿目まどかという少女の、偽らざる心からの願いだった。 《俺は君のためにも、身を隠さなければならない。だから、常に君の隣にいることはできないだろう》 《分かりました。でも、何かあったら……》 《そうだ。すぐに俺を呼んでくれ。たとえ令呪を使ってでもな》  まどかから聞いたことだが、正規のサーヴァントでない星矢には、足りない能力があるらしい。  それが自らの体を透化し、気配を消す霊体化という力なのだそうだ。  これを使えない星矢には、姿を消してまどかの傍に立ち、その身を守ってやることができない。  わざわざ体を蝕む傷――魔傷をコートで隠したのも、そういう事情があってのことだった。 (できないことは多い)  もどかしい。  守るべきマスターのまどかに、不自由を強いている自分が、情けないとは思っている。  だとしても、守り抜かねばならないと思った。  邪心を持つ他のマスターの、優勝するための糧とさせないためにも。  自分自身もここから抜け出し、邪悪な神々と戦うためにも。  何より、地上の愛と平和を守る、聖闘士の使命を果たすためにも。  地上に住む人間の命を――鹿目まどかという少女の命を、決して見捨てるわけにはいかないのだ。  偽りの夜空の向こうにある、あるべき世界の姿を見据え、星矢は決意を強く固めた。 【B-4/一般住宅街・鹿目家/一日目 深夜】 【鹿目まどか@[新編]魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語】 [状態] [令呪]残り三画 [装備]なし [道具]なし [所持金]やや貧乏(学生の小遣い程度) [思考・状況] 基本行動方針:帰りたい 1.とりあえず寝る 2.あまり戦いたくない 3.何かあったら星矢を呼ぶ。令呪による強制転移もケチらずに使う [備考] ※B-4にある一軒家に暮らしています ※美樹さやかがマスターであることに気付いていません 【アーチャー(星矢)@聖闘士星矢Ω】 [状態]魔傷 [装備]『射手座の黄金聖衣(サジタリアスクロス)』 [道具]コート [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:マスターを守り抜く 1.世界樹から脱出し、元の世界へ帰る方法を探す 2.霊体化ができない以上、どうにかして身を隠す。マスターに呼ばれればすぐに駆けつける 3.聖杯を悪用しようとする者がいれば、戦って阻止する [備考] ※霊体化を行うことができません ◆  その様を、見ていた者がいた。  正確には己の使い魔を通し、報告を受け取ることによって、把握していた者がいた。 《驚いたわね。あからさまに怪しい人間が、本当に彼女の家にいたわ》  あれは間違いなくサーヴァントよと、美国織莉子が語りかける。  学生寮のワンルームで、報告を受け取っているのは、黒髪を伸ばした中学生の少女だ。  元・魔法少女、暁美ほむら。  世界を神の手から簒奪し、己が箱庭へと変えた悪魔。  鹿目まどかという少女とは、因縁浅からぬ存在である。 《そう……ご苦労様。貴方はそのままその場所で、まどかの監視に当たってちょうだい》 《夜通し? いいのかしら、貴方自身を守らなくても?》 《必要ないわ。自分の身くらいは守れる》 《大層な自信だこと》  くすくすと笑う織莉子の声が、念話越しに聞こえてきた。  忌々しい煽りを今は無視し、ほむらは問題ないと告げる。  大幅に制限されてこそいるものの、この手には並のマスター共よりも、遥かに強力な力がある。  空を飛んで弓を射る、という程度の括りには、今の彼女の力は収まらないだろう。  魔力で大地をひっくり返し、石つぶての雨あられを降らせるくらいなら、世界への干渉も可能だ。  仮に襲撃されたとしても、織莉子と合流するまでの間、逃げ切るくらいのことはできるはずだ。 《まぁいいわ。マスターがそう言うのなら、今は彼女を見守ってあげる》 《気のない返事ね》 《聖杯が欲しいというのなら、切り捨ててしまった方が、貴方にとっては気が楽になるはずよ》  それはかつての最悪の魔女を、嫌悪するが故の言葉ではない。  好悪の感情を全て切り捨て、効率のみを考えた、極めて冷静な意見だった。 《貴方になら理解できるでしょう。たとえ一部に過ぎないものでも、いずれ取り返せるものだとしても、切り捨てるという発想からして論外なのよ》  それでも、そうするわけにはいかなかった。  なにせ相手はまどかなのだ。  最も大切な存在で、最愛最高の友達なのだ。  いずれ聖杯の力を手にすれば、まどかの全てを掌握し、その使命から解放することができる。  彼女という一部が犠牲になっても、世界の大勢には影響はない。  だが、そんな風に蔑ろにする時点で、彼女を愛する者としては、0点以下の失格者なのだ。  全てのまどかを受け入れて、全てのまどかを愛し抜く。  たとえほんの一部であっても、それは尊い全部の中の一部だ。であればその一部であるまどかも、同様に尊く想うべきだ。 (貴方を切り捨てたりはしない)  故にまどかを殺害し、ただ一人の優勝者となる気はない。  選ぶとするなら両方だ。まどかを生存させた上で、聖杯戦争を管理する者から、聖杯を強引に奪い取る道だ。  そのことに対して、暁美ほむらは、一切の迷いも躊躇いもなかった。 【C-4/学術地区・中学校の学生寮/一日目 深夜】 【暁美ほむら@[新編]魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語】 [状態]健康 [令呪]残り二画 [装備]ダークオーブ [道具]財布 [所持金]普通(一人暮らしを維持できるレベル) [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を手に入れる 1.まどかを殺すことなど考えられない。他のマスターからまどかを死守する 2.まどかを生かしつつ、聖杯を手に入れる方法を模索する [備考] ※鹿目まどかがマスターであると知りました 【B-4/一般住宅街/一日目 深夜】 【美国織莉子(セイヴァー)@魔法少女おりこ☆マギカ】 [状態]健康 [装備]ソウルジェム [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:優勝し、聖杯を手に入れる 1.とりあえずはほむらの言う通りに動く 2.ほむらの命令に従い、鹿目まどかを監視し、護衛する 3.まどかを生かすことは、道徳的な意味ではともかく、戦略上はさほど重要視していない [備考] ※令呪により、「マスターに逆らってはならない」という命令を課せられています ※鹿目まどかがマスターであると知りました ---- |BACK||NEXT| |[[師弟再び]]|[[投下順>本編目次投下順]]|[[闇に吠える氷の呀]]| |[[師弟再び]]|[[時系列順>本編目次時系列順]]|[[闇に吠える氷の呀]]| |BACK|登場キャラ|NEXT| |[[カーテン・コール]]|[[美樹さやか]]|-| |~|セイバー([[レオン・ルイス]])|-| |~|[[鹿目まどか]]|-| |~|アーチャー([[星矢]])|-| |~|[[暁美ほむら]]|-| |~|セイヴァー([[美国織莉子]])|-|

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