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2月14日

342  名無しさん@お腹いっぱい。  [sage]  2010/02/14(日) 01:25:56 ID:z/gfiVjp0

2月14日、私はキッチンから聞こえてきたけたたましい音で目を覚ました。

「……うぅん、何だろ?」
枕元に置いてある携帯電話で時間を確認する。
午前2時11分。普通に考えたら誰もが寝てる時間だった。
「何か落ちたのかなあ?」 
確認のため、私は眠い目をこすりながら音のしたキッチンへと向かった。

「一体何が……、ってお姉ちゃん!?」
キッチンではお姉ちゃんが床に散乱したボウルやゴムべらに囲まれてへたり込んでいた。
「エヘヘ……、見つかっちゃった。ゴメンね憂、起こしちゃったね」
お姉ちゃんは散らかった調理器具を片づけながらばつが悪そうに私に謝罪の気持ちを伝えてきた。
「それはいいけど……。何してたの、こんな時間に?」
お姉ちゃんは片づけの手を休めることなく私の質問に答える。
「憂に手作りのチョコをあげようと思ったんだ。
 サプライズでプレゼントしようと思ったから憂が寝てる間に作ってびっくりさせようと思ったんだけど……。
 憂と違って手作りっていっても溶かしたのをまた固めるようなのも上手にできなくてこんなに散らかしちゃうし。
 挙句の果てに、おっきな音出して憂を起こしちゃうし。私ってダメだね」
いつの間にかお姉ちゃんの手は止まっていた。そしてその目からは今にも涙が溢れそうになっていた。
それはたぶん、私への申し訳なさや自分への怒りにも似た感情から出てきた涙だったのだろう。
その顔や言葉で同じように涙がこぼれそうになっていた私は何も言わず、お姉ちゃんを強く抱きしめた。
「う……い……?」
私の突然の行動にお姉ちゃんは戸惑いを隠せないでいた。
私は私で、いろいろ言いたかったけどとてもそれを上手く言葉にできるような心理状態でなかった。
「お姉ちゃん、ありがとう……」
何とか口にできたこの一言がスイッチとなって、私の頬を涙がつたった。
そんな私を、お姉ちゃんは優しく包み込んでくれた。
「ありがとね、憂」
私の耳元で囁かれたその声は、涙で震えていた。

二人抱き合ったままどれだけ時間が経っただろう、お姉ちゃんは私からゆっくりと体を離した。
「ありがとう、憂。なんか泣いたらスッキリしたよ。それじゃ、私はここ片づけなきゃいけないから、憂は先寝ちゃいなよ」
「私も手伝うよ」
思いがけない返事にお姉ちゃんは困ったような顔を見せた。
「いいって、悪いよ」
「私は大丈夫だよ。そうだ、一緒にチョコも作ろうよ」
連続しての予想だにしていなかった誘いにお姉ちゃんはすっかり困惑していた。
「え、でもそれじゃ憂へのプレゼントじゃなくなっちゃう……」
「もちろんお姉ちゃんの手作りも嬉しいけど、私はお姉ちゃんと一緒に料理ができるってのも嬉しいな。
 二人で一緒に作るっていうのも、私にとってはれっきとしたプレゼントだよ」
「そう、なの?」
「そうだよ。だから一緒に作ろ?」
「うん、わかった。憂がそう言うなら手伝ってもらおうかな」

こうして二人揃っての深夜のチョコ作りが始まった。
二人揃えば百人力、手際よく調理は進み工程は最終段階を迎えた。

「よし、あとは固めるだけだね」
「あ、そうだ。最後に……」
そう言うとお姉ちゃんはチョコに向けて念を送りだした。
「何してるの?」
「最後に隠し味として私の愛情を入れてるの」
可笑しな、お姉ちゃんらしい答えに自然と笑みがこぼれてしまった。
「あー、今笑ったでしょ。私は真剣なんだからね」
「ゴメンお姉ちゃん。とってもお姉ちゃんらしいなって思ったから。
 うん、きっとそのチョコ、すっごく美味しくなるよ。だってお姉ちゃんの愛がいっぱい詰まってるんだもん」
最終更新:2010年02月15日 23:34
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