380 転載 [sage] 2010/02/15(月) 23:22:41 ID:72SZ0J5g0
日曜日の朝。
「ねえねえ、次はどうすればいいの?」
「次はね…」
お姉ちゃんとキッチンに立つ私。
2人でこうしていられることが嬉しくて。
今年もやってきたバレンタイン。
私にとってこのイベントは大切なんだ。
私だけじゃない、日本の恋する女の子なら…誰だって特別な日だと思う。
物心ついたときから私は姉が好きだった。
その気持ちを一番に押し出せる今日。
初めてチョコレートを自分で作ったあの頃からなにも変わらない私の想い。
でも…今年はちょっぴり違った。
お姉ちゃんも私と一緒に作ることになって。
2人でお菓子を、しかもバレンタインのチョコレートを作れるなんて…まるで夢のようで。
「このチョコレートは誰にあげるの?」
私がずっとずっと気になっていたことを言う。実は聞いたらだめな気がして。
「部のみんなにだよ~。いつも一緒にいてくれるお礼チョコだよ」
「こっちのは?このハートの」
「えへへ、ういへのだよ~」
…嬉しいな。お姉ちゃんたら、私にもちゃんとくれるなんて。
381 転載 [sage] 2010/02/15(月) 23:23:25 ID:72SZ0J5g0
一番気になっていたことを聞いた。
「……好きな人には作らないの?」
「え?」
お姉ちゃんは好きな人とかいないのかな?
だってこんなに愛らしいんだよ。こんなにもあたたかいんだよ。
…恋人なんて簡単に作れちゃうよ。男の人でも、女の人でも。
「……ういは誰に作ってるの?」
「え…お姉ちゃんにだけど?」
「ういは好きな人には作らないの?」
…そ、それは…。
「……好きな人に作ってるんだよ」
…言っちゃった。べ、別に仲良しな姉妹だもん。…大好きなんだもん。
「じゃあ私と同じだよ…うい」
「…?」
その時はまだ、お姉ちゃんの言ってる意味が分からなかった。
382 転載 [sage] 2010/02/15(月) 23:24:09 ID:72SZ0J5g0
半日おいて固まったそれを箱に入れラッピングする。
「…できたね」
「ういのおかげでかわいいのができたよ!ありがと!」
私はお姉ちゃんに作ったチョコレートを渡す。
「はいハッピーバレンタイン…お姉ちゃん」
「やったー♪ういのが一番楽しみだったんだよ~!食べていい?」
「うん…食べて食べて」
うまくできてるかな…?どきどき。
「甘い!甘いよ、ういのチョコレート!」
「あ…甘すぎかな?」
「ううん!ちょうどいいよ」
「よかった…」
一安心。今年も甘い気持ちをあげることができたよ。
「あ、そうだ。はい、私からのチョコレートだよーうい」
「ありがとう…凄く嬉しいよ」
「食べて食べて!けっこう上手にできたと思うんだー、私にしては」
綺麗に整ったハートのチョコレート。
そこには…『I love U』の文字があった。
「Uって…私?」
「えへへ、うまいでしょ」
「…うん!」
私は嬉しくなってしまって。
「…まだとっておくよ。食べるのもったいない」
「えー!?食べてくれないの!?」
「晩ご飯のとき食べるのでいいかな?」
「…うん、いいよー」
しばらくこのチョコレートと一緒に過ごしたいんだ。すぐに食べるのなんてもったいなかった。
383 転載 [sage] 2010/02/15(月) 23:25:07 ID:72SZ0J5g0
「ねえ…うい」
「え?なに?」
「なんでなかったことにするの?」
夕飯をつくっているとき、お姉ちゃんが台所にやってきて言った。
お姉ちゃんの言っている意味がよく分からなかった。
「えっと…何が?」
「え…通じてなかった?」
「だから何が?」
「…朝チョコ作ってるとき言ったことだよー。ういが私に好きな人にあげないのか聞いたとき…私、ういと同じだって言ったのに…」
…えっと…。
「…ごめん、どういう意味だったの?あれ」
「……ういってニブいんだね」
「え?え?」
鈍い?私が?
「ういは私が好きだって言ったでしょ?」
「……うん」
「……だから、ういのその気持ちと同じ気持ちだよって意味」
「……お姉ちゃんの私への気持ち?」
「…うん。鈍いよー、うい……口にするのは恥ずかしいよ」
…確かにお姉ちゃんがそう言ったから。
…両想い…なんだ。私とお姉ちゃん…。
「…お姉ちゃん」
「ふえ?」
「……大好き」
「……うん。りょーおもいだよ…うい」
嬉しすぎて…泣いちゃいそうだよ。
384 転載 [sage] 2010/02/15(月) 23:25:48 ID:72SZ0J5g0
お姉ちゃんのくれたチョコレートの箱あける。
「すごいよお姉ちゃん…」
「可愛い?」
「うん!じゃあ…食べるね…」
ついにお姉ちゃんのチョコレートを食べる。……おいしい。
「凄くおいしいよ!お姉ちゃん!」
「えへへー。ありがとう、うい」
お姉ちゃんは私があげたチョコレートも冷蔵庫からだしてきて。
「チョコレートパーティーだね」
「うん…」
「あ、そうだ」
そういうとお姉ちゃんはおもむろにチョコレートのかけらを唇にはさむ。
「…はい、うい…食べて」
「え!?」
「……あーん」
「………あーん」
…2人でチョコレートを食べました。
「…んん…」
チョコレートがだんだん溶ける。
お姉ちゃんと私の舌で溶かしあう。
「…ん、ぷはぁっ…」
「…はぁ、はぁ…」
ようやく溶け終えて唇を離す。
「……お姉ちゃん…」
「…なぁに、うい…」
「…甘すぎるよ」
それはお姉ちゃんの味がした。
最終更新:2010年02月15日 23:37