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姉妹として、女の子として

511  姉妹として、女の子として  [sage]  2010/02/25(木) 22:47:10 ID:58EpZaiYO

「ただいま」
「あ、おかえ…」
「…ご飯できたら呼んでね」スタスタ
「あ…うん…」

最近、お姉ちゃんとはいつもこんな感じだ。顔を合わせても、あまり会話が弾まない。
とはいっても険悪な雰囲気ってわけじゃなく、ただ単に気まずいだけ。でも…その気まずさは姉妹の間にあるべきものじゃない。
いつからか私たちは、お互いを意識し合っていた。一人の女の子として、お互いを見ていたんだ。

「……」キョロキョロ
「あ、醤油なら…」

ピトッ

「「!!」」

お姉ちゃんと指先が触れた瞬間、電流が走ったような感覚に襲われて私はパッと手を引っ込めた。
同じような動きをするお姉ちゃんと目が合って、私の顔は急激に熱くなる。
そしてお姉ちゃんの顔も、ほのかに赤みを帯びているのだ。

「…ごめん」
「う、ううん。私こそ」
「……」
「……」

…お姉ちゃんを見ていると、胸が苦しくなってたまらなくなる。ドキドキが止まらなくなる。
お姉ちゃんともっと一緒にいたい。もっと触れあいたい…
こう思うのは、どうしてなんだろう。妹だから?…違う、そうじゃない。

私は、平沢唯のことが好きなんだ。姉としてではなく、一人の女の子として。



512  姉妹として、女の子として  [sage]  2010/02/25(木) 22:48:53 ID:58EpZaiYO

だけど、私たちは姉妹。私は平沢唯の妹で、平沢唯は私の姉。私たちの関係は、それ以外の何物でもない。
だからこの気持ちはどうにもならない。だから苦しい。
それなのに…私のお姉ちゃんへの感情は、なかったことになんてできないくらいに大きくなってしまっていたんだ。

「憂」

それはある日の夜。寝る準備を整えていると、お姉ちゃんが私の部屋へとやってきた。

「な、なに?」
「ボールペン貸してもらえるかな。インク切れちゃって」
「うん…いいよ。ちょっと待ってて。確か筆箱は…」
「…憂」
「――え」

次の瞬間、私はベッドに仰向けに倒れていた。そしてその上には、お姉ちゃんの熱い体――
そう、私はお姉ちゃんに押し倒されていたのだ。

「お…姉ちゃん…?」
「…ちょっとだけ…ちょっとだけでいいから、このままでいさせて」
「な…?」
「お願い…だから…」

お姉ちゃんの眼差しに、私は何も言えなかった。
だってそれはあまりに哀しげで、大人っぽくて、可愛らしいものだったから。

…ごめんお姉ちゃん。こんなことされたら、私は今までの私じゃいられなくなるかもしれないよ。
だって私は、あなたとずっとこうしたかったんだから…



513  姉妹として、女の子として  [sage]  2010/02/25(木) 22:49:41 ID:58EpZaiYO

「う…い…」
「……!」

お姉ちゃんはゆっくりと体をずらして、私に顔を近づけた。
お風呂上がりで湿った髪とシャンプーの匂い。潤んだ瞳。シャツ越しに感じる体の感触とぬくもり。
今目の前にあるお姉ちゃんの全てが、私の心と体を惑わせる。

「…私、もう嫌だよ」
「な…何が…?」
「もう今のままでいるの、嫌だよ…ただ憂のお姉ちゃんでいるの、嫌だよ…」
「っ…!」

言葉の途中で、お姉ちゃんの両腕が私の体を包み込んだ。

「お、お姉ちゃん離して…ダメだよこんなの」
「…憂だって同じなんでしょ?もう今のままじゃ嫌なんでしょ…?」
「そ、それは…」
「もし違うなら、そんな顔しないよ」
「…そうだとしても、やっぱりダメだよ。私たちは姉妹なんだもん」
「…ホントにそう思ってるの?」
「ホ、ホントだよ…それに、私たちは今のままだって十分じゃない。一緒にいられるし、いろんな話ができるんだし。
 そういう関係にならなくたって、私とお姉ちゃんは十分幸せでしょ…?」
「……」

私を見つめるお姉ちゃんの目は、まるで全てを見透かしているようだった。
今私の言ったことは嘘じゃないし、間違いでもないはずだ。
…でもそれは、私の本音じゃない…



514  姉妹として、女の子として  [sage]  2010/02/25(木) 22:50:29 ID:58EpZaiYO

それでも、私は必死で私を繋ぎ止めた。

「だ、だから…こういうことはダメだよ」
「…そうだね。そうかもしれないね。姉妹でもできることはたくさんあるよね」
「うん…」
「だけど…姉妹にもできないことはあるよ」
「え…?」
「例えば…こういうこと」
「…!!」

お姉ちゃんは私に口づけをした。
それは一瞬のことのようで、永遠にも感じられた時間。
私の心臓は破裂するんじゃないかってくらいにその鼓動を増して、吐く息はそれと比例して荒くなっていく。
ダメ、ダメ、ダメ…こんな気持ちになっちゃダメ…

「お…姉ちゃ…」
「…好き」
「え…」
「私は憂のことが好き。妹とかそういうの関係ない。私は憂のことが好きなの」
「……」
「だから…妹じゃなくて、一人の女の子としての返事をしてほしいの」

お姉ちゃんの腕の中で、妹としての自制心と、女の子としての欲望が激しく私の中でぶつかり合う。一体私はどうしたい?
妹としてお姉ちゃんを愛するのか、一人の女の子として平沢唯を愛するのか。そのどっちを選ぶの?

…そんなの簡単だ。両方を選べばいい。

「お姉ちゃん…」
「…!」

私たちの唇は再び重なり合った。



515  姉妹として、女の子として  [sage]  2010/02/25(木) 22:56:08 ID:58EpZaiYO

「憂…」
「…私もお姉ちゃんのことが好き。…ただ、それだけだよ」
「…うん」
「だから…もう何も我慢しない。お姉ちゃんのことを、一人の女の子として好きになるよ」
「ありがとう…憂」

私はお姉ちゃんの体にそっと触れた。

「…お姉ちゃん」
「ん…?」
「…私、これからお姉ちゃんのことを傷つけちゃうかもしれない。…それでもいい?」
「当たり前だよ。私は憂の全部をちゃんともらうから。だから傷ついたりしないから」
「…そっか。ありがとう、お姉ちゃん」

――私たちは、お互いのことを好きでいる。

姉妹として、女の子として。

END
最終更新:2010年02月26日 00:17
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