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「好きだよ」

915  名無しさん@お腹いっぱい。  []  2010/08/09(月) 11:37:35 ID:Uys3tRI90 [2/9]



「好きだよ」


そう言われたのはついさっき。いつものお姉ちゃんの言葉。

そのはずなのに・・・わかってしまった、お姉ちゃんの気持ち

あの『好き』は家族に向けるものじゃないって・・・

お姉ちゃんのめったに見ることのない真剣な顔。雰囲気。

そのすべてが私を戸惑わせ、気づいたら、自分の部屋に逃げ込んでしまった。

私はお姉ちゃんのことを、傷つけてしまっただろうか・・・

でも、もしかしたら、勘違いかもしれない。

そうだよ、お姉ちゃんが私を好きなんて、あり得るわけがないよね。


―――だって、私たちは・・・・


コンコン



扉がたたく音がして、無意識に私は体をびくつかせる。

「憂・・・入ってもいいかな?」
「おねえちゃん・・・」


―――姉妹なんだよ・・・?





916  名無しさん@お腹いっぱい。  []  2010/08/09(月) 11:38:38 ID:Uys3tRI90 [3/9]


「憂・・・」
お姉ちゃんの悲しそうな声が聞こえる。
「・・・いいよ、お姉ちゃん」
私はそんな声を聞きたきなくて、私はお姉ちゃんの部屋に招き入れた。


「憂・・・もしかして、わかっちゃった?」
「な、なにを・・・?」

お姉ちゃんの言葉に私はお姉ちゃんから目をそらす。

「・・・そっか・・・」
「え・・・?」
今まで聞いたことのないくらい、平坦な声が聞こえた。まるで、感情を失ってしまったかのような声。


ぞくりと私の背中に寒気が走る。


「・・・なら、いいよ。じゃあ、おやすみ、憂・・・」

お姉ちゃんが私の部屋を出て行こうとする。私たちは家族で、同じ家に住んでいるはずなのに・・・


このまま、お姉ちゃんが私の部屋出たら


もう二度と、会えないような気がした。


もう二度と、笑いあえないような気がした。





917  名無しさん@お腹いっぱい。  []  2010/08/09(月) 11:39:29 ID:Uys3tRI90 [4/9]


「お姉ちゃん!」


そんなのは、絶対に嫌で。私はお姉ちゃんの背中にすがりつく。


「・・・憂?どうしたの?」
お姉ちゃんの相変わらずの、感情のない声。いつもはお姉ちゃんに抱きつくと
心も体もあったかくなるのに、今はどんどん自分の体が冷えて行くのを感じた。

「お姉ちゃん、いかないで・・・」

自分で言っていて、腹が立つ。最初に逃げたのは、私なのに、こんなことを言うなんて。

「・・・どこにもいかないよ。自分の部屋に帰るだけだから」
お姉ちゃんの言ってることは、きっと本当。だけど、私はお姉ちゃんを抱きしめる力を緩めない。

「お姉ちゃん・・・さっきは、ごめんなさい・・・」
「・・・なんのこと?憂は何も悪くないよ」
「ううん、私が悪いの・・・だから、ごめんなさい!」
「憂は、何も悪くない!」
お姉ちゃんが強くそう叫んだ。あまりの大きな声に、私はお姉ちゃんを抱きしめる力を緩めてしまった。その隙に、お姉ちゃんは私から離れる。


体が、冷えていく。






918  名無しさん@お腹いっぱい。  []  2010/08/09(月) 11:43:16 ID:Uys3tRI90 [5/9]


「憂は、何も悪くない・・・全部、私が悪いの・・・」
下を向いて、今度は必死に感情を押し殺したような声で、お姉ちゃんは言う。
「・・・気持ち悪いって、思ったんでしょ?・・・ははっ・・・失敗したな・・・」

私は何も言えない。体が冷え切ってしまっていて、口がうまく動かない・・・


「・・・言うつもりなんて、一生なかったのにな・・・」


お姉ちゃんが顔を上げた。その顔は大粒の涙を流していた。私の部屋の床に、ぽたぽたと
雫が落ちていく。


「・・・でも、限界だったのかな・・・好きっていう感情は押さえておくことが出来ないんだね・・・」

今度はお姉ちゃんは自虐的に笑う。

「・・・ぽろっと、口から洩れちゃったんだよね・・・」


ぽつりと呟やいたお姉ちゃん。その顔は相変わらず涙を流していて私はお姉ちゃんの涙をぬぐいたくて、お姉ちゃんに近づこうとする。

「こないで!」




919  名無しさん@お腹いっぱい。  []  2010/08/09(月) 11:44:47 ID:Uys3tRI90 [6/9]

だけど、お姉ちゃんの強い否定の言葉で私は動きを止めてしまった。

「きちゃ、だめだよ・・・」
「・・・なんで・・・?」
私はなんとか口を動かし、そう尋ねた。自分の口から出た声は、本当にか細くて、お姉ちゃんにもう二度と、私の声を聞いてもらえないんじゃないかと思えるほどだった。それが不安で私はお姉ちゃんに抱きつこうとする。

「だから、だめだって!」
お姉ちゃんは私の手を振りほどき、部屋から、出ていってしまった。


ぞくりと、寒気が走る。よりいっそう私の体が冷えていく。


「お姉ちゃん!」


私はお姉ちゃんを追いかける。バンッと玄関のほうから強く扉が閉まる音が聞こえた。


お姉ちゃんが出ていった。この家から出ていった。


―――それは、永遠の別れを告げられたような気がした


私は必死になってお姉ちゃんを追いかける。暗い夜道、お姉ちゃんの姿はどこにもない。


それでも、走る。お姉ちゃんと離れたくない、ずっと、傍にいてほしい。


だって、私は・・・





920  名無しさん@お腹いっぱい。  []  2010/08/09(月) 11:46:48 ID:Uys3tRI90 [7/9]

ああ、そうか・・・私はお姉ちゃんが・・・


気付くのが遅すぎた。どうして、もっと早く気づくことが出来なかったんだろう?


そうしたら、お姉ちゃんを傷つけることはなかったのに・・・


やみくもに走っていると、昔よくお姉ちゃんと遊んでいた公園に着いた。昔と何ら変わることのない公園に、お姉ちゃんがたたずんでいるのが見えた。

「お姉ちゃん!」
「っ!!」

また逃げだそうとするお姉ちゃんに必死になってすがりつく。

「離して!」
「いや!」
「どうして?!」
「だって、お姉ちゃんが好きだから!」
私がそう叫ぶと、お姉ちゃんは一瞬息を止めた。暗がりでよく見えないけど、きっと悲しそうな顔をしてる。





921  名無しさん@お腹いっぱい。  []  2010/08/09(月) 11:59:50 ID:Uys3tRI90 [8/9]


「憂・・・私の好きは、そんなんじゃないんだよ・・・もっと欲にまみれてて、憂のすべてがほしいと、思ってるんだよ・・・?」
「・・・いいよ」
「・・・え?」
「さっきも言ったでしょ。私はお姉ちゃんが好き・・・だから、全部あげるよ、私を、全部・・・」
「うそ・・・」
「うそじゃないよ」
そう言って、お姉ちゃんにキスをした。信じてほしくて、うそなんて、言ってほしくなくて。

「・・・ほんとう、なんだ・・・?」
お姉ちゃんはそう呟くと、ぽろりと一粒の涙をこぼした。今度こそ、その涙を拭ってあげる。

「ほんとう、だよ・・・もう、離れちゃいやだよ・・・」
私はさっきもだ感じていた不安をお姉ちゃんにぶちまけた。怖かった、お姉ちゃんを二度と会えないかもしれないと思ったら・・・

「・・・ごめんね、憂・・・もう、二度と離れないよ」
お姉ちゃんはそう言うと、強く抱きしめてくれた。





922  名無しさん@お腹いっぱい。  []  2010/08/09(月) 12:01:54 ID:Uys3tRI90 [9/9]


冷えていた体がようやくあたたかくなる。


「あったかい・・・」
「・・・うん、あったかいよ・・・憂・・・」


しばらく抱きあっていたら、お姉ちゃんが真剣な顔をして私の顔を見つめた。


「あらためて、言うね。憂、私はあなたが好きです。私と付き合ってください」
「はい、喜んで」


こうして、私達は姉妹じゃなくて、恋人になった。


これからいろいろあるかもしれないけれど、私はお姉ちゃんからどんなことがあっても離れるつもりはない。


だから・・・


「ずっと、一緒だよ」
「うん、ずっと一緒」

私達はそう言いあって、恋人になって、初めてのキスをした。きっと、この誓いが永遠のものになると思いながら。




終わり。へたくそな文章失礼しました。

最終更新:2010年08月09日 18:56
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