760 軽音部員♪ [] 2010/08/11(水) 13:00:03 ID:t8nVI5W.0 [1/8]
私は憂を無理やり抱いた
憂の優しさに付け込んで、自分の欲望のままに
今、憂は私の隣で眠っている
穏やかとはいえない寝顔
こんな顔させているのは、私
最低な、姉。
「う・・くっ・・・」
私に泣く権利なんかないのに、涙があふれてきた
憂は私が抱いている間も、悲しそうな顔をするだけで、なにも言わなかった
きっと、私がずっと、泣いていたから
憂は優しい、世界で一番
そんな憂を好きなった私は
世界で一番最低な人間だった
764 軽音部員♪ [] 2010/08/11(水) 14:53:36 ID:t8nVI5W.0 [2/8]
「う、ん・・・あ・・・お姉ちゃん、おはよう」
憂は私の顔を見て、一瞬悲しそうな顔をして
その後は無理して作った笑顔でそう言った
私は憂の顔を見れず、憂から目をそらして挨拶を返した
「・・・おはよう、憂・・・」
「・・・じゃあ、私、朝ごはん作るね」
憂は私が脱ぎ散らかした服を集め、それを着て私の部屋を出た
憂は、なにも言わなかった。昨日の夜のことを。
怒りもせず、泣きもせず・・・私を、責めもせずに・・・
憂は、きっとなかったことにしたいんだろう
すべてを、なかったことに
そのほうが、いいのかもしれない
きっと、そのほうが・・・
765 軽音部員♪ [] 2010/08/11(水) 15:09:28 ID:t8nVI5W.0 [3/8]
私も服を着て、リビングに向かう。おいしそうな匂いがここまで漂っている
リビングを覗くと、憂はいなかった。台所かな?なんて思っていると
ガシャンという音が私の耳に届いた。
私は血の気を引くのを感じ、慌てて憂のところへ向かった。
「憂!大丈夫?!」
「あ、お姉ちゃん・・・だいじょうぶだよ・・・」
皿が割れただけみたいだ、よかった・・・
「憂・・・よかっ・・?!」
そこまで言って、私は気づく。憂の顔が涙でぬれていることに
「う、い・・・?」
憂が泣いている。その理由は、明らかに、私のせい
766 軽音部員♪ [] 2010/08/11(水) 15:22:42 ID:t8nVI5W.0 [4/8]
真っ白になった頭で、私は憂に必死になって謝る
「憂、ごめん、ごめんなさい!」
「・・・お姉ちゃん・・・」
「・・・ほんとうに、ごめんなさい・・・」
私は、馬鹿で、愚かだった。なかったことになんて、出来るはずがないのにね
憂が負った傷は、一生癒えることなんてないというのに・・・
「・・・お姉ちゃん、謝らないで、泣かないで・・・」
憂の言葉に、その優しさにまた甘えそうになる。でも、それは絶対にだめだ
「ごめんなさい、何度言っても、許してもらえないだろうけど、ほんとうに、ごめ・・・っ?!」
突然、唇を何かで塞がれた。やわらかい。これは、憂の唇?そこまで考えて、はっとし憂から
慌てて距離をとる。
「憂・・・?なんで・・・」
「・・・いやだった?」
憂は悲しそうにそう尋ねる。いや?いやなわけない。
好きな人とキスできて、嫌がる人間なんていないと思う
767 軽音部員♪ [] 2010/08/11(水) 15:37:23 ID:t8nVI5W.0 [5/8]
私は首を横に振った
「そっか、よかった・・・ねえ、お姉ちゃん」
「・・・なに、憂」
憂の言葉を聞くのが怖い。けれど、私は聞くべきなんだと思う。
「・・・お姉ちゃんは、私のこと、どう思ってるの?」
「え・・・?」
「どうして、あんなことしたの?わからないよ、お姉ちゃんの気持ち・・・」
憂は再び涙を流しながら、私に訴える。・・・ああ、やっぱり、私は正真正銘の、馬鹿だ
言っていなかった。一番大事なことを。欲望のままに憂を抱いただけで、私の想いを一言も。
「・・・それは」
「それは・・・?」
言ってしまったら、憂は私のことを、軽蔑するだろうか?
- いや、そんなことは今さらだった。憂はとっくの昔に、私のことを軽蔑しているだろう
768 軽音部員♪ [] 2010/08/11(水) 15:49:19 ID:t8nVI5W.0 [6/8]
だったら、言おう。たった一言。世界で一番大好きな人に。
「憂が好きだから」
「え?」
「こんなこと言う資格ないって、わかっているけど・・・世界で一番、憂が好きです」
憂は私をしばらく茫然と見つめ、綺麗な瞳から、ポロリと涙をこぼした
- また、泣かせてしまった・・・私はどれだけ最低なんだろう?
「・・・ごめん、憂・・・こんなこと言われてもいやだよね・・・気持ち悪いよね・・」
「ううん、違うよ・・・うれしい・・・うれしいよ、お姉ちゃん・・・」
「え?」
予想外の言葉に、私は言葉を失う。
「私も、お姉ちゃんが大好きだから・・・」
憂は泣きながら笑い、そう言ってくれた。
―――私のことを、大好きだって
それがどんな意味を持つのかは分からない。だけど、嫌われてなかった
それだけで、その一言だけで、私は心が救われた気がしたんだ
769 軽音部員♪ [] 2010/08/11(水) 16:04:44 ID:t8nVI5W.0 [7/8]
「お姉ちゃんが私を抱いているとき、どうすればいいか、わからなかった・・・」
「だって、お姉ちゃんの気持ちがわからなかったから・・・」
私は憂の言葉を静かに耳を傾ける。憂はもう泣いていなかった。
「だから、お姉ちゃんに好きって言われて、世界で一番好きって言われて・・・」
「本当に、嬉しかった。両想いなんだなって」
そう言って、憂は幸せそうに笑った。・・・両想い?だれとだれが?
私と、憂が?
「・・・ええええ?!」
「きゃ!?え?お姉ちゃん、どうしたの?」
「え?両想いなの?私たち!?」
信じられなかった。だって、憂は、私のことを姉としてずっと慕ってくれているのだとばかり思ってたから
「・・・そうだよ、お姉ちゃん。私はお姉ちゃんのことが、世界で一番大好き、だよ」
憂の言葉が、私の頭に浸透していく。ああ、本当なんだ。
目が熱くなり、涙があふれるのを感じた。
うれしくて、幸せで、涙が流れる事があるんだと、初めて知った。
770 軽音部員♪ [] 2010/08/11(水) 16:20:29 ID:t8nVI5W.0 [8/8]
「憂・・・私も、私も大好きだよ!」
私はそう言って、憂を強く抱きしめた。
昨日とは違う、ただ純粋な気持ちで憂を強く抱きしめた。
「・・・お、お姉ちゃん・・・くるしいよ」
「あ、ご、ごめん!」
「ふふっ・・・朝ごはん、食べよっか?」
「うん、食べよう!」
その日の朝食は、いままで食べた中で、一番おいしかった。
きっと、それは、憂の愛情がたっぷり入っていたからだと思う。
手をつなぎ、学校へ向かう。
「憂~」
「なに?お姉ちゃん」
「なんでもない!」
「もう~なにそれ?」
そう言って、憂はくすくすと笑った。
憂の恋人になれて、憂の笑顔を隣で見れて
私は世界で一番、幸せ者だと思った。
おわり。即興で書いたので、変なところがたくさんあると思いますが
続きを期待してくれた人ありがとうございます。楽しんでいただければ幸いです。
感想をどうぞ
- テスト3 -- (管理人) 2010-08-11 21:12:12
- テスト2 -- (管理人) 2010-08-11 21:09:31
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最終更新:2010年08月11日 21:17