776 軽音部員♪ [sage] 2010/08/11(水) 22:11:24 ID:gjJhoBVg0 [2/4]
「うぅ~ん・・・」
目が覚めて目覚まし時計を見ると、時間はすでに午前11::00。
「・・・っっ!!」
驚いてベッドから飛び起きてからふと気づく。
「・・・今日は土曜日だっけ・・・」
昨日は遅くまでギー太と遊んでたからなぁなんて考えながら
あくびをかみ殺して自室の扉を開けリビングへと向かう。
「うい~」
いつものように妹を呼びながらリビングの扉をあける。
「・・・」
いつものように返ってくると思っていた返事がなくて一瞬戸惑って
キッチンのほうにもいないかと耳を澄ませてみる。
「あ~、今日はあずにゃん達とお出かけだって昨日言ってたっけ。」
思い出して納得して、リビングのソファにぼてっと倒れこむように横になる。
そういえば寝ぼけていてあまりよく覚えていないが思い出してみると、
出掛けに声を掛けて出て行ったような気もしなくはない。
大体、憂が何も言わずに私を置いてどこかに出て行くわけがないのだ。
「うぅ~、お腹空いたよ~」
つぶやいてみても、ご飯が勝手に出てくるわけもないので
勢いをつけてむくっと起き上がってキッチンへと向かう。
冷蔵庫をのぞくと、案の定朝ごはんが用意してあって、
『レンジでチンしてから食べてね 憂』というメモ書きが添えてある。
「・・・」
無言で冷蔵庫のお皿を取り出してレンジに入れて時間をセットする。
ついでに、トースターにパンをセットしてカップに牛乳を注いでテーブルに置く。
自分も椅子に座り朝ごはんが温まるのとパンが焼けるのをぼーっとしながら待つ。
レンジの終了の合図が鳴り、レンジから朝ごはんを取り出していると
途中でトースターの焼き上がりの合図も鳴る。
あわてて朝ごはんの乗った皿をテーブルにのせ、トースターからパンを取り出すが
パンの皿を用意していないことに気づいたときにはもう遅かった。
「わっ!!」
焼きたてのパンはやっぱり熱くて、皿を用意する前にテーブルに落としてしまう。
「む~・・・」
テーブルは妹がいつも綺麗にしているのでまぁ食べても大丈夫だろう。
憂がいたら「めっ!」と怒られそうだが、気にせずに皿を出してきてパンを乗せてジャムを塗る。
食べながら、やっぱり私は憂がいないと朝食の準備にすら時間がかかっちゃうなぁなんて思う。
りっちゃん達にもよく言われるけど、本当によく出来た自慢の妹だ。
食べ終わって憂への感謝の気持ちをこめて食器を洗ってから
リビングで少しごろごろしていたけど、なんとなくそわそわして落ち着かないので自室に戻ることにした。
「よしっ!今日はいっぱいギー太の練習をしよう!」
気合を入れてギー太をギターケースから取り出し、まだ折り目の新しいタブ譜を
ベッドの上に広げる。
~♪
さぁ、今から演奏を始めようというところで、ケータイが鳴って出鼻をくじかれた。
「あ、憂からだ!」
メールの着信が憂からだと知って自然に顔がにやけてしまう。
『お姉ちゃん、さすがにもう起きたかな?
お昼ごはんは用意してないけど大丈夫だった?』
「ふふっ♪」
お昼ごはんを妹に心配される姉はいったいどうなのかなぁって、少し笑いながら憂にメールを打つ。
『大丈夫!さっき起きたばっかりだから!!
朝ごはんもさっき食べたばっかりでお腹いっぱいです!
私のことは気にせず楽しんで~☆』
送信してケータイをテーブルの上に置いて、またギー太を持つ。
「さて!ギー太お待たせ~~」
777 軽音部員♪ [sage] 2010/08/11(水) 22:14:00 ID:gjJhoBVg0 [3/4]
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しばらくジャガジャガとギターの音をかき鳴らしてはみたものの、やっぱりなんだか落ち着かなくて
何度もちらちらと時計を確認してしまう。
自分でも、何をそんなに時間を気にしているのかよくわからない。
「あ~、もうだめだ~~!!」
何度も同じところでとまって、何度も同じ箇所を練習するがなかなかうまく行かない。
「うぅ~、ごめんよギー太ぁ」
こういう『のらない』時はどんなに練習してもダメなのだ。
「はぁ・・・今日はもうやめよ…」
ギー太を片付け、もう一度時計を確認して、意外と時間たってるな~なんて思いながら自室を出る。
「ふぅ・・・」
ため息を一つ漏らして前を向くと、目の前には妹の部屋がある。
「…憂、勝手に入ったら怒るかな?」
なんだか無性に憂に会いたくなって、少しでも憂を感じたくなって
悪いとは思いつつも勝手に部屋に入ってしまう。
「はぁ~、寂しいよ~」
ばふっとベッドに倒れこむように寝転んで、無意識につぶやいた言葉が自分の耳に入ってきて
あぁ、自分は今寂しいんだってことに気がついてなんだかさらに寂しさが増す。
さっきからずっとそわそわしてたのは、寂しかったからなんだな~って他人事のように思う。
「う~い~」
呼んでも返事の返ってこない名前を口にしながら
ぐりぐりと頭を枕に押し付けた。
「・・・あ、憂のにおいがする・・・」
憂のにおいに少しだけ落ち着いて、さらに求めるように枕を抱き寄せぎゅっとする。
横になって枕をぎゅっとして思いっきり息を吸い込んで、しばらくそのままの状態でいたけど
「うぅ~ん、私、変態っぽいかな?」
少し恥ずかしくなって、少しだけ憂に申し訳なくなって、枕を元の位置に戻す。
今さらながら無断で今憂の部屋にいることの罪悪感も出てきて、
『ごめんなさい』と心の中で憂に謝りつつ自室へと戻る。
「憂、今頃何してるのかな?
…メールしたら、せっかく遊んでるのに悪いよね」
何度もケータイを開いては閉じ、開いては閉じを繰り返す。
どのくらいそうしていたかはわからないが、
だんだん空がオレンジ色になってきたことに気づいてケータイをベッドの上に放り出す。
「…アイスでも食べよ」
立ち上がってアイスをとりにキッチンへ向かう。
「むぅ…更なる試練が」
冷凍庫の扉を開けると、いつもアイスが常備されてあるはずの場所にアイスがない。
ちょっとだけ冷凍庫をごそごそしてみるが、見つからずに諦めて扉を閉めた。
閉めてから、ふとまだリビングのテーブルの上にあった朝の憂の書置きが目に入る。
…。
良いよね、アイスのことを聞くだけだもん。
別に帰って来いとか言うわけじゃないし。
すぐに切って終わればいいんだし。
ただちょっとだけ、ちょっとだけ声が聞ければそれで良いんだし。
「よし!」
憂に電話で聞こう!と決めると
なんだかよくわからないけど、家の中なのにゆっくり歩いてなんかいられなくて
走って自室までケータイをとりに行く。
ベッドの上にあるケータイを勢いよく掴んで
急いでリダイヤルの一番上にある憂の番号を押した。
778 軽音部員♪ [sage] 2010/08/11(水) 22:16:16 ID:gjJhoBVg0 [4/4]
PLLLL
「もしもし?」
憂の声がケータイから聞こえてくる。
「憂~」
「どうしたのお姉ちゃん?」
「・・・すぅ~」
なんだかたった1日なのに、すごく久しぶりな気がして嬉しくて嬉しくてちょっとだけ泣きそうになって
声がかすれてしまった。
「えっ、何?よく聞こえないよ?」
「憂~、冷凍庫からあいすがいなくなっちゃったよ~」
本当はもうそんなことはどうだって良くて、ただ憂の声が聞けたことが嬉しくてなんだか情けない声になってしまった。
「ごめ~ん、アイス切らしちゃってるんだ~」
「えぇ~、そっか~。でも、それなら仕方ないね・・・。」
ついさっきまで憂の声が聞けただけで良いって思ってたけど、
ないと言われるとやっぱり悲しい。
ふふ。
ゲンキンだなぁ。
「待っててお姉ちゃん!今買って帰るよ!」
「えぇ~、良いよ良いよ!
今日はあずにゃんたちと遊んでるんじゃなかった?大丈夫!
今日はアイスは我慢するよ!」
憂の声を聞くだけだって思ってたのに、気を遣わせて帰ってくると言わせてしまった。
心配ないよって、大丈夫ってわかってもらうために、いつものようにふんすとやる。
「ううん、ちょうど今スーパーによって帰ろうと思ってたところだから」
「おぉ!ないすたいみんぐ!じゃあ、お願いします!」
もしかしたら気を遣ってるのかなってちょっとだけ思ったけど、
やっぱり憂に早く会いたくてお言葉に甘えてしまう。
「はい、待っててね。あ、今日は梓ちゃんと純ちゃん、律さんがうちで一緒に夕
飯食べるって」
「わ~い♪・・・って、りっちゃんも?」
「うん、さっき偶然会ったんだ。」
「そっか~、それはラッキーでした!じゃあ楽しみに待ってるよ!」
憂が帰ってくる。
いつものことなんだけど、今日はなんだかそれが凄く嬉しくておとなしく待ってなんかいられない。
「そうだ!あれを着よう!あれでお出迎えしよう!!」
いつか憂に着て見せた恐竜のキグルミ。
ちょっと暑いけど、でも憂可愛いって言ってくれたもんね!
着替えながら、あぁ、やっぱり自分は憂がいないとダメなんだなって
ずっと側にいてほしいなってそう思う。
憂が帰ってきたら伝えよう。
なんだか真剣に言うのは照れくさいから、みんなのいる前で冗談ぽく言ってしまおう。
「ただいま~、お姉ちゃ~ん?」
おっ、憂が帰ってきた!!
「おっかえり~~!!」
おわり
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最終更新:2010年08月12日 17:46