814 軽音部員♪ [sage] 2010/08/16(月) 20:58:07 ID:NSoIjRtM0 [2/2]
暑い暑いと文句を言うように、セミが大音量で鳴いている夏のとある日曜日。
上機嫌にリビングの掃除をする憂と、
この夏の暑さに少々ばてばて気味で床に寝転んでいる唯。
「う~い~、あ~つ~い~」
「アイスでも食べる?」
「ん~~、食べる~」
テーブルを拭いていた手をいったん止め、甲斐甲斐しく立ち上がり冷凍庫からアイスを取り出してくる憂。
「はい、どうぞ」
「ありがと~、いただきます」
横になったままアイスを受け取り、すぐに袋を開ける。
「お姉ちゃん、横になったまま食べると行儀悪いよ」
「う~ん、ごめんなさい」
ごめんと言いながらも唯はそのままの体制でごろごろと転がりながら
アイスの袋をゴミ箱に捨ててまた転がって元の位置に戻ってきてアイスを食べだす。
憂もそれ以上言うつもりはないらしく、少し困ったように笑ってまた掃除を再開する。
「う~い~」
しばらくしてまた唯が憂を呼ぶ。
彼女が手に持っていたアイスはとっくに棒だけになっている。
「お腹壊しちゃうから、もうダメだよ?」
唯の次に言う言葉に先回りして返事をする憂。
「ちぇっ」
おどけるように頬を膨らまして、また寝転がったままアイスの棒をゴミ箱へと捨てに行く。
憂はそんな唯をみながらにこにこと笑って、今度は洗濯物を取り込みに行く。
両手に洗濯物を抱えてリビングに戻ってくると、さっきより10センチほど移動した唯が先程と
同じ格好で寝転んでいた。
可愛いなぁなんて思いながら取り込んだ洗濯物をおろして憂も床に座る。
「・・・」
「どうしたの?」
しばらく洗濯物をたたんでいると、先程からじ~っと憂のこととを見ていた唯が
ごろごろと憂の側によってきた。
「お手伝いしましょうか?」
少しかしこまったような顔で上目遣いに聞いてくる唯が可愛くて微笑む憂。
「良いよ、お姉ちゃんはゆっくりしてて」
「は~い」
とは言ったものの、一向に元の位置戻る気配はなくて
唯はまたじ~っと憂が洗濯物をたたんでいる姿を観察している。
「お姉ちゃん、もしかして洗濯物たたみたいの?」
不思議に思ってそう問いかけるけど
「ん~~、う~ん・・・?」
とか何とか歯切れの悪い返事を繰り返す唯。
もしかして、やっぱりもう一つアイス食べたいのかな
でも、お姉ちゃんがお腹壊しちゃったら可哀想だし・・・
とか考えていると。
「えい!」
唯が思い切ったようにごろごろと、たたんだばかりの洗濯物を乗り越えて
憂の太ももの上に頭を乗せてきた。
「・・・ふふ」
一瞬驚いたけど、洗濯物ももう一度たたみなおしだけど、
それでもやっぱり嬉しくて幸せそうに笑う憂。
唯はそんな憂を見て怒ってないことを確認してから、へらっと笑ってそのまますぐに目をつぶる。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「ん~・・・」
「洗濯物ぐちゃぐちゃになっちゃったよ」
「後でたたむの手伝うよ~」
「暑くないの?」
「暑いよ~」
そんなやり取りをしながら、くすくすと笑う憂を薄目を開けて見てから
嬉しそうに笑って憂の手をぎゅっと握ってまた目をつぶる唯。
「うい~」
「なぁにお姉ちゃん?」
「アイス食べたい」
「ダメだよ」
「ちぇ~」
おわり
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最終更新:2010年08月16日 22:03