9 軽音部員♪ [sage] 2010/08/28(土) 16:11:05 ID:rHdku9zQO [1/5]
ホームルームも終わり帰ろうとしていた矢先、後ろからわたしの名前が聞こえてきました。
「やっぱりだめだって……」
「でも平沢さんに渡さないと……」
「じゃあお姉さんに……」
わたしとお姉ちゃんの名前。
気になり声をかけました。
「あの、どうかした?」
「へっ?い、いやその」
「あ、これ平沢さんのお姉さんの」
「あ!ちょっとばか!」
「これは……」
渡された本の裏面には、『平沢唯』の文字。
まったくお姉ちゃんたらまた落とし物だ。
「渡しておくね。ありがとう」
「う、うん」
「あ、表紙は見ないほうがいいと思うよ」
「?どうして?」
「だって……」
「もももういいよ!ばいばい平沢さん!」
「あっ……」
「……」
逃げるように去ってしまった後ろ姿を見て、視線を手元に落とします。
どうして見ちゃだめなのかな。
わたしを抑えるものはなにもなく、ただ興味のまま本を返しました。
すると、そこには……
「……妹……もえ?」
10 軽音部員♪ [sage] 2010/08/28(土) 16:11:53 ID:rHdku9zQO [2/5]
「ただいまー」
もうこんな時間だ。
あわてて階段を下り、お姉ちゃんのもとへ向かいます。
「お、おかえり!」
「うん」
「はやく着替えてきてね!」
「あっ憂……」
いつものようにお姉ちゃんの笑顔を見ていられなくて、すぐにリビングへと逃げました。
お姉ちゃんのあの本。
たしかに「妹萌え」って書いてあった。
も、もしかしたらそのままの意味かもしれないけど……
「な、なに考えてるんだろ……」
途端に顔が熱くなってきて、頭を降ります。
まさか、そんなわけないよ。
あれはたぶん……だれかから借りたとか……勘違いだよね。
なるべく考えないようにして、料理を作ることに意識を回しました。
11 軽音部員♪ [sage] 2010/08/28(土) 16:13:10 ID:rHdku9zQO [3/5]
「お姉ちゃんご飯できたよ~」
しかし何度呼んでも返事はありません。
「?」
気になって部屋に向かいました。
「……ない、ないよぉ」
ごそごそと言う音と共に、お姉ちゃんの泣きそうな声。
すぐに部屋に飛び込みます。
「お姉ちゃん!平気?」
「ひぇっ!?」
そこには引き出しやらなにやらを引っ張り出して、散らかった部屋に佇むお姉ちゃんの姿。
不安になって、すぐに駆け寄ります。
「わたしだよ。どうかしたの?」
「な、なんでもないよ!」
何か様子がおかしい。
お姉ちゃんのため、さらに追及します。
「なにかなくしたの?」
「へっなんでそれを……あっ!なにもなくしてないよ!」
まさか……
「あの本のこと……?」
「えっ?う、憂見たの!?」
「えと……」
「……うわあああんごめんなさいいぃ!」
「お姉ちゃん!?」
いきなり顔を崩し、わたしに抱きつくお姉ちゃん。
「ごめんなさい……嫌いに、ならないでぇ……」
「な、泣かないで」
「ひっ……ごめん、なさい……わだじ……」
12 軽音部員♪ [sage] 2010/08/28(土) 16:13:55 ID:rHdku9zQO [4/5]
あんまり悲しそうに泣くので、背中をさすりながら声をかけました。
「お姉ちゃん、わたし怒ってないよ?」
「でっでもぉ……あんなの……」
「どうしてあんな本持ってたの?」
「そんなの……言えないよぉ……」
「お願い、言って?」
「……嫌いに、ならない?」
当たり前だよ、お姉ちゃん。
「うん」
「ほんと?」
「うん」
「……その、わたし……」
どきどきしながら、まだ目が滲んでいるお姉ちゃんの声を聞きます。
「憂のこと……」
「う、うん」
「……す、好きだから」
そういってお姉ちゃんは黙ってしまいました。
わたしの腕のなかで震えるお姉ちゃんがとてもいとおしく感じます。
「ご、ごめんね」
「謝らなくてもいいよ」
「でも……」
「だって、わたしも……」
「……?」
「お姉ちゃんのこと、好きだよ」
「!」
その後は、あんまり覚えていません。
わたしがそういったあと、お姉ちゃんが覆い被さってきて、2人で顔を見つめあっていました。
そして……だんだん近づいて……そのあとは恥ずかしいから内緒です。
ただ、わたしとお姉ちゃんは前よりもっと仲良くなりました。
姉妹という意味でも、そのほかの意味でも。
あ、ベッドでお姉ちゃんが呼んでいるのでそろそろ失礼します。
最後にひとつだけ。
わたしはいま、とっても幸せです!
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最終更新:2010年08月29日 18:38