「私と憂と時々クーラー」

38  軽音部員♪  [sage]  2010/08/29(日) 19:46:52 ID:5dIzP0O.O [2/5]


「私と憂と時々クーラー」

ジリジリジリ

現在夏休み進行中。例年の私ならリビングでゴロゴロして過ごすが今年はそうじゃない。

ミーンミンミン…

蝉の鳴き声をBGMにし私は珍しく自室の机とにらめっこをしている。それもそうだ、今年の私は受験生で勉強しなくちゃいけない。

でも…

「う~ん、あ゛ずいぃ…」

暑すぎてどうにも勉強が進みまない。クーラーをつければ簡単な話だけど、私はクーラーの寒さが苦手な体なので扇風機一択。大抵は扇風機でしのげるけれど…

ブォォォ

「…風が生温いよぉ~」

そういえば朝の天気予報で今日は今年の最高気温になるとか言ってた気がする…無理だ

「あぁ~どうしよ~」

本当にどうしたものか?私は考える…

「…!そうだアイスを食べてリフレッシュしてから勉強しよう!!」

けして逃げた訳ではない。アイスの力は凄いのです。そうだ、リビングには憂もいるだろうから一緒にアイスを食べよう。

「アイスアイス~♪」

トタタタッ

私は上機嫌でリビングに向かう。下にいったら憂に甘えさせてもらおう。
…なんだかアイスよりもそっちのほうが楽しみになってきた。だって憂はアイスよりも甘い。大好きだ。そりゃもうチューしたいくらいにね!!

「うーいー、アイスー…ってあれ?」

リビングでは珍しい光景におもわず足を止めた。

「…憂?…寝てるの?」

そう、憂がソファーで寝ているのだ。とても気持ち良さそうに。
憂は家事をしたり、勉強したりと時間を無駄にしないから昼寝とか基本的にしない。するのは大体私が誘った時くらいだと思う。『しかないなぁ』とか言いながら一緒に寝てくれるのだ。



39  軽音部員♪  [sage]  2010/08/29(日) 19:48:58 ID:5dIzP0O.O [3/5]


「…えへへ、寝顔カワイー」

「……」スゥスゥ

本当にかわいい。みんな私と憂がそっくりって言うけれど、憂の方が全然かわいいと思う。

「ジー……っ!?」ブルッ

しばらく憂の寝顔を見つめていて気づく。

「…クーラーついてるぅ」

私がクーラーに弱いため、いつもは使われることのないクーラー。私が居ないからつけたみたいだ。そう考えると憂にはいつも熱いのを我慢させているのだと改めて思いしらされる。

「ごめんね憂…」

そう言いながら私は憂の頭を撫でる。謝罪と感謝の気持ちを込めて。
それにしても…

「さっ寒いぃぃ」

私は憂を撫でるのを止め、自分の体を抱き締める。

「うぅ、どうしよ~」

どうするもなにも冷蔵庫からアイスをとってさっさと自室に帰ればいい話しなのだ。それが本来の目的だったしね。
でも私はそれをしない。なんとなく今は憂の側に居たいと思ったから。目の前で可愛い寝息をたてて眠る妹から離れたくないと思ったから。
それに…

「私だって憂のためにクーラーくらい我慢できるもん…」

しかし体は言うことを聞いてくれなくて、どんどん体調が悪くなってくる。…ちくしょう

「…はっ!!これはもしや、私とクーラーの憂をかけた勝負!?」

だとしたら負けられない、負けてたまるか!!憂は私のだもん!!

「むぅぅ………あっ」

私は閃いた、この寒さをやわらげられるかもしれない方法を。

「じゃあ早速…でもこの方法だと憂に迷惑かなぁ」

私が思いついた方法は憂に協力してもらわなきゃいけないようなものだった。

「まぁ憂なら許してくれるよね!でわでわ…」

憂は私に甘いから大丈夫!

「よいしょっと…」

私は憂が眠っているソファに乗り、憂に覆い被さるような体勢をした。

「…なんだか憂を襲ってるみたいな格好になってしまった///」

妹相手にこんなこと考えてるなんて変なお姉ちゃんだ。
こんなお姉ちゃんでも憂は許してくれるかな?好きでいてくれるかな?



40  軽音部員♪  [sage]  2010/08/29(日) 19:51:08 ID:5dIzP0O.O [4/5]


「…はっ!?考えてるうちに体がどんどん寒くぅ」

いつの間にか体がガタガタと震えだしていた…ヤバイ。本当にヤバイ。

「じゃあ失礼するね憂…」

そう言って私はそっと憂を抱きしめる。
初め憂の体はクーラによって冷やされていて少しだけ冷たかった。けれどしだいに触れあった部分が熱をもちだして暖かくなってきた。…あったかい

「んふー…あったかいよ憂」

憂の熱でクーラに冷やされた私の体は暖められ、具合も良くなってきた。

「えへへ、うーいー♪」ギュー

なんとなく嬉しくなって憂を抱きしめる力を強めた。私と憂の体はさらに密着した。
憂のいい香りがする。私はこの匂いが大好きだ…優しい感じで安心する匂いだからかな?

「…ん」

不意に憂が動いた。…起こしちゃったかな?

「………」スゥスウ

良かった、起きなかったみたい。私は安心して憂の胸に頭を預ける。すると…

トクン、トクン、トクン…

憂の心臓の音が聞こえる。…心地いいなぁ~。だんだん眠くなってきた…勉強しなきゃだけど、なんかどーでもいーや。

「憂、おやすみ」

私は瞳を閉じる。…明日も暑かったらクーラーつけよ。



おしまい

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  • なんやかんやいいつつ憂に引き寄せられていく唯がたまりません。
    唯が冷房に弱い設定忘れてました。唯のためにクーラー我慢したりする憂の唯への愛、憂とくっついて寒さをしのぐ唯が可愛いらしいです! -- (名無し) 2010-12-19 18:59:02

最終更新:2010年08月30日 21:01
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