268 あなたがいたから [sage] 2010/09/01(水) 16:34:39 ID:0OZ1y8F00
憂「お姉ちゃーん!!」
唯「おぉう、苦しいようい~」
先生に合格の報告をするために学校へと帰ってきたお姉ちゃんに、私は人目もはばからずに抱きついた。
本当はもっと冷静でいようと思ったんだけど…まぁ今日ばかりはいいよね。そう自分を納得させると同時に、うれしさで涙がどっと溢れてしまう。
憂「よかったね、よかったね、よかったね…ううぅ…」
唯「よしよし、そんなに泣いたら目腫れぼったくなっちゃうよ?」
憂「うん…あ、あのねお姉ちゃん…」
律「おーい唯ー!早く職員室行かないとさわちゃん心配してるぞー!」
唯「あ、うん!それじゃ憂、ちょっと行ってくるね」
憂「あ…うん…」
玄関に向かって駆けていくお姉ちゃんの背中は、なんだかとても大きく見えた。すごいなぁ、ほんとに合格したんだ…お姉ちゃんは本当にすごいや。
その背中が見えなくなってから、ゆっくりと家路につく。昨日まではお姉ちゃんのことばかり考えてこの道を歩いてたんだよね…ま、今もなんだけど。
夜、夕飯も食べずに机に向かったお姉ちゃん。朝、早起きして遅刻しそうになるまで机に向かったお姉ちゃん。夕方、部室で皆と勉強したお姉ちゃん…
そういえばこっそり何度か様子を見に行ったっけ。ほんとにがんばってたよね、お姉ちゃん…
…でも。お姉ちゃんががんばったのは、軽音部の皆さんと一緒の大学に行くためで、私のためじゃない…
こんなことを考えるのは絶対におかしいし、自己中心的なことだってわかってる。だけど…
憂「そういえば、おめでとうって言えなかったな…」
今頃お姉ちゃんは、軽音部の部室で皆と喜びを分かち合っているのだろうか。そんな風景を想像して、そこに自分の姿がないことに胸が痛んだ。
私にとってお姉ちゃんはずっと大きな存在だった。お姉ちゃんのためならがんばれた。でもお姉ちゃんは、私のことなんて…
唯「うーいー!!」
突然の声に驚いて振り向くと、マフラーをなびかせて走ってくるお姉ちゃんがいた。
うそ、なんで、お姉ちゃん…?
唯「はぁ、ひぃ…んもぅ、ひどいよ憂、先に行っちゃうなんてー」
憂「だ、だって…お姉ちゃん、皆と…」
唯「ん?お祝い?今日はさわちゃん忙しいし、また後でやることになったんだー。それに…」
お姉ちゃんは私の手を握った。2年前のクリスマスにプレゼントした手袋が、とてもあたたかく感じられた。
唯「今日は憂と一緒にいたいからねー♪」
憂「お姉ちゃん…」
唯「どしたの憂?」
憂「うん…お姉ちゃんがこうやって来てくれるなんて思わなかったから…」
唯「えー?ひどいよういー♪」
憂「えへへ…」
唯「ねぇ、憂?」
憂「…?」
唯「ありがとね、ずっと一緒にいてくれて。憂がいてくれたから、皆と一緒の大学に受かったんだよ」
憂「わ、私はいつもと同じことしかしてないよ?」
唯「ふふ、それが一番なんだよー」
お姉ちゃんの笑顔を見ていると、さっきまでの自分が馬鹿らしく思える。そっか、お姉ちゃんが私のことを好きでいてくれているから、私もお姉ちゃんのことを好きになったんだ…
だから、誰にがんばったとかは関係ない。確かなのは、私はお姉ちゃんのことが大好きでいる限り、お姉ちゃんも同じ気持ちでいるってこと。それだけで、十分なんだ。
憂「…おめでとう♪」
おわり
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最終更新:2010年09月01日 20:15