いつものように自分の机で頬杖をついて、

853           軽音部員♪ [sage]

いつものように自分の机で頬杖をついて、
ぼんやりと窓から外を眺めるのは我が軽音部のリードギター担当、平沢唯。

昼休みは大抵みんなでお昼を食べて、そのまま授業が始まるまで話すんだけど、
今日は唯が午後の授業の宿題をやってきていないということで
彼女は自席に戻って宿題を片付けている。
まぁ、あの様子じゃ全然進んでなさそうだけど。

「唯~?大丈夫か?宿題見せよっか?」
「…ん~」
話しかけては見たものの、唯はまったく上の空。
大方窓の外に気になるものでもあるのだろう。

「律、あんまり唯を甘やかさないでよね。」
結局何もしていないのに少し離れた席から和に怒られて、話しかけ損だよまったく。

しばらくそんな唯を何気なく見ていたら、彼女は急にがばっと上半身を起こしたかと思うと、
口を真一文字にぎゅっと結んで教室の外に駆け出していく。

ん?どうしたんだろ?と窓の外を見て、納得。
「あぁ~、あれか。」

「ん?どうした律?」
私の独り言に不思議そうに反応するのは同じく軽音部で私の幼馴染の秋山澪。

「いや~、何でもないよ」
「なんだよ、変なやつ。」
なんだか少し可笑しくなってくすくすっと笑うと、澪はますます不思議そうな顔でこちらを見てくる。

「唯ちゃん、急にどうしたの?」
と、教壇のほうからゆっくりと歩いてくるのは寿紬。
彼女も我が軽音部の一員だ。
「ん。」
私は一言声を出して窓の外を指差す。

二人ともいっせいに窓の外を見て。
「あぁ~、それでか」
「あらあら」
これまた納得。

今日は外でお弁当だったのか、窓の外には我が軽音部で唯一の2年生の中野梓とその友人2名。
大方唯の突然の行動の理由は、その友人2名のうちの一人のためだろう。

「どうせまた憂ちゃんと、梓か鈴木さんがじゃれてるとこでも見たんだろ~」

しばらく眺めていると走ってきた唯が2年生ズの背後から梓に抱きつく。
あいつは意外と恥ずかしがって直接的に憂ちゃんにアピールしたりしない。
梓に抱きつきに来たようなそぶりで、間接的に憂ちゃんに近づく。
素直なようでいて素直じゃないというか、なんと言うか。


唯は梓に何か言われて、しぶしぶ離れて。

ほら、案の定憂ちゃんに話しかけられて幸せそうな顔をしている。

「あいつも意外と独占欲強いよな~」
「ふふ、そうだな」
「ほんとね」

唯はしばらく話していたかと思ったら、急に憂ちゃんをぎゅっと抱きしめて、満面の笑みで笑ってから
2年生ズに手を振って校内に入ってくる。

あ~あ、何をしてんだか。
憂ちゃん、真っ赤になっちゃったじゃないか。

~♪

すぐにチャイムが鳴って、2年生ズも急いで校内に入る。
きっともう少ししたら唯は満足そうな顔で教室に入ってくるだろう。
そして、終わらなかった宿題のことをぺこぺこ謝って、
それでもにやにやしながら午後の授業を受けるんだろう。

おわり

                          2010/10/18(月) 22:40:03 ID:qB7mg/Cs0 [2/2]

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  • 原作アニメ共ににあからさまな描写は無いものの、
    唯の独占欲が強いというのは無理なく妙に説得がある。 -- (名無しさん) 2011-01-25 07:43:22
  • これ好きだわwww
    -- (名無しさん) 2011-01-25 05:42:34

最終更新:2010年10月19日 21:38
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