293 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
『吸血鬼のイタズラ』
ピンポーン…
家に訪問者をしらせる音が響きます。
「はーい!」
ドアを開けるとそこには普段では着ることの無いであろう服を着た軽音部の皆さんがいました。
「トリックオアトリート!!」
頭に大きなネジをつけ、顔につぎはぎのある律さんが楽しそうに私に言いました。
「皆さんいらっしゃい!お菓子なら沢山ありますよ♪」
そう今日は10月31日、ハロウィンです。今年のハロウィンは休日と被ってしまったので私の家でハロウィンパーティーをやることになったのです。
「さすが憂ちゃん!!よしムギ突撃するぞ!お菓子を奪えー!!」
「おー♪」
フランケンシュタイン律さんと魔女っ娘紬さんが「お邪魔しまーす」と言いながらリビングへと走っていきます。
「いつも悪いな憂ちゃん」
カボチャを連想させる可愛らしい衣装を着た澪さんが申し訳なさそうに言いました。
「いえ、賑やかだと私もお姉ちゃんも嬉しいのでこちらこそありがとうございます♪」
2010/11/01(月) 00:06:03 ID:bT/qTrORO [2/11]
294 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
「そうか?ありがとう。あっこれ飲み物」
「わざわざすみません。あっ澪さんの衣装可愛いですね!!」
すると澪さんは少しばつの悪そうな顔をして「すまん憂ちゃん」と言ってリビングに言ってしまいました…どうしたんだろう?
少し考えていたら軽く袖を引っ張られました。
「憂、これ少しだけどお菓子」
獣耳を着けた梓ちゃんです。
「ありがとう梓ちゃん!!梓ちゃんは猫さんなんだね♪」
「…いやこれ狼だから」
あっ本当だ、尻尾が狼みたいにフサフサです。いつも猫耳を着けているので猫さんのイメージがついてしまっていた様です。
「狼さんでも可愛いね!」
「からかわないでよ憂…ほら先輩たちの所に行こう?」
私は「うん」と返事をして梓ちゃんと一緒にリビングへ向かいました。
リビングに着くとキャストのせいかハロウィンの雰囲気がでていて普通の格好をしている私がういているようでした。
「梓も憂ちゃんも早く座れよー!」
律さんが手招きをしますが、私はあることに気づきました。
「あれ、お姉ちゃんはどうしたんですか?」
そう、さっきまでリビングでゴロゴロしていたお姉ちゃんがいないのです。
「唯ちゃんなら今お着替え中よー♪」
2010/11/01(月) 00:07:49 ID:orJTL5bCO
295 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
ジュースの用意をしてくれていた紬さんが教えてくれました。
梓ちゃんが紬さんの方へかけていきます。
「ムギ先輩手伝います」
「ありがとう梓ちゃん♪」
あぅ、私の仕事が…
でもお姉ちゃんはなんの格好をするんだろう…楽しみだなぁ
「あっそうだ」
律さんが思い出したかのように紙袋を持って私にその紙袋を差し出してきました。
「はいこれ憂ちゃんの衣装」
「わっ私ぶんまで!?ありがとうございます!!」
私がお礼を言うと律さんは少し苦笑いをしていました。
「本当は澪が着る予定だった衣装なんだよ。そんで澪が今着てるのが憂ちゃんが着る予定だったやつだったんだけど…」
「えっ?なんで…」
少し疑問に思っていたら「わああ!!」と言って澪さんがこちらに来ました。
「憂ちゃんも早く着替えてきなよ!!きっと似合うからさ!!」
「わっ!?はっはい!!」
澪さんに背中をグイグイ押されて私はリビングを追い出されてしまいました。
「澪さんどうしたんだろう?…まっいっか、私も着替えよっと」
そして私は自分の部屋へと向かおうと体を方向転換させると――
ボフッ…
「わっ」
なにか柔らかいものにぶつかってしまいました。…なに?
2010/11/01(月) 00:09:32 ID:bT/qTrORO [3/11]
296 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
「おお憂!?」
その正体は着替えを終えて戻ってきたお姉ちゃんでした。
「憂…大丈夫?」
黒いタキシードにハットを被り、鋭い八重歯を生やして私を心配そうに見つめているお姉ちゃんを見て私は無意識に言ってしまいました。
「かっこいい…」
「へっ?」
吸血鬼お姉ちゃんが目を大きくして驚いていました…って私なに言ってるの!?
「やっ///えっとそのっ//」
「もう憂ってば~」
取り乱す私をお姉ちゃんが吸血鬼のマントで包み込むように抱き締めてきました。
「そんな可愛いこと言う人間は血を吸っちゃうぞ~!!」
そう言って私の首筋に顔を埋めてきました。
「わわっ//ちょっおっお姉ちゃん!?」
お姉ちゃんは私の首筋をスンスンと鼻をならして嗅いできて物凄く恥ずかしいです。
でも次の瞬間――
ペロッ
「ひゃいっ!?//」
首筋を舐められました。変な声が出てしまって、慌ててしまいお姉ちゃんを軽く突き飛ばしてしまいました。
「うおぅ!?…憂ひどいよ~」
「ごっごめんお姉ちゃん…って今のはお姉ちゃんが悪いよ!?」
「えーなんで~?」
「だって…いっ今は皆さんが居るし…っ」
恥ずかしくて上手く話せない私のことをお姉ちゃんがまたマントで覆うように抱き締めてきました。そしてくすくす笑いながら言います。
「じゃあ皆が居なかったらやってもいいの?」
「なっ//!?ちがっだからっもう知らない!!」
「わわっ!?」
またお姉ちゃんを軽く突き飛ばして「着替えてくる!!」なんて言い訳をしながら私は部屋へと逃げました。
2010/11/01(月) 00:10:48 ID:bT/qTrORO [4/11]
297 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
ーバタンッ!
「はぁ、お姉ちゃんのばか…」
部屋に入り緊張のとけた私はそう呟いてその場に座りこんでしまいました。
「…あっ着替えないと」
律さんから貰った紙袋の中身を取り出して衣装を広げます。
「…へっ?」
その衣装を見て思わずすっとんきょうな声をだしてしまいました。澪さんが私の衣装と交換した理由が分かりました。
小悪魔のうなその衣装は他の皆の衣装より明らかに露出度が高いものでした。
…季節外れですよ律さん
「可愛いけどこれはちょっと…着たくないなぁ」
どうしようかと悩んでいたら下から「うーいー早くー」とお姉ちゃんの声が聞こえてきて思わず「すぐ行くよー」なんて言ってしまいました。
…頑張れ私!!
―――
着替えた私はリビングへと向かいました。でもまだ恥ずかしくて、体を見せないように顔だけリビングにだします。
「おっ憂ちゃんきたなー!乾杯するぞー♪」
こんな衣装を用意した律さんを今日だけは恨めしく思います。
「あっあの、この衣装すごく寒いんで上着きてもいいですか?」
私の台詞で律さんは納得したようで苦笑いをしました。
上着きてもいいのかな?なんて思っていたら…
2010/11/01(月) 00:11:54 ID:bT/qTrORO [5/11]
298 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
「ダメだよ憂!!寒いなら暖房つけてあげるからさ♪あっムギちゃんそこの暖房つけて~」
「はーい♪」
…お姉ちゃんのばか
しかもお姉ちゃんは私の気も知らず「ほら憂!!」なんていって私の手を掴んで引っ張ります。
小悪魔衣装の私がついに皆の前に出されてしまいました。
「憂ちゃんセクシー!!」
「良かった着なくて…」
律さん…恥ずかしいです。澪さん本音言っちゃってますよ…
「憂ちゃん似合ってるわ!!」
紬さんは目をキラキラさせてそう言ってくれました。紬さんの隣の梓ちゃんは「私だっていつかあのくらい大きくっ」なんて言ってます…身長のことかな?
「ねぇ憂…寒い?」
突然お姉ちゃんがそう私に聞いてきました。もしかして上着着てもいいのかもしれないと思い「うん!寒い!!」と答えました。
「じゃあ私が暖めてあげるよ」
「へっ?…あ」
ふわりと今度はマントて私を隠すように抱き締められました…あったかいです。
「おい唯ーなんのために暖房つけたんだよー」
「だってこんなに寒そうな格好だと思わなかったんだもん。憂が可哀想じゃん」
「まっそうだな、じゃあ乾杯しようぜ!!」
そして私がお姉ちゃんに包まれたまま席につくとやっとパーティーを始めることができました。
勇気をだして着替えたけれど結局パーティー中はずっとお姉ちゃんに隠されたままでした。時々お姉ちゃんがお腹を触って、変な声がでちゃったりして大変でした。
2010/11/01(月) 00:13:04 ID:bT/qTrORO [6/11]
299 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
それからしばらくして―
「ふぅー食った食ったぁ」
「食った食ったぁ♪」
律さんが寝っ転がってお腹をポンポンたたいています。紬さんがそれを真似ようとして梓ちゃんに止められていました。
「ムギ先輩が真似するからちゃんとしてくださいよ律先輩!!」
「んだよいいじゃねーか。なームギー♪」
「ねーりっちゃん♪」
そのやりとりが面白くて笑ってしまいました。お姉ちゃんにも「寝っ転がっていいよ」と言ったのですが「このままでいい」と断られてしまいました。
「ふぅ、もうこんな時間か…そろそろ帰るか」
そう切り出したのは澪さんでした。
「えーもう帰るのかよー!まだいよーぜー」
「私もまだいたーい…」
律さんと紬さんがごねてます。
「ばか律、明日は学校だぞ?」
「うっ確かに…」
「そうですよ、ムギ先輩なんて眠たそうじゃないですか。私が駅まで送ってあげますから今のうちに帰りましょう」
「眠くないもん…」
そうして話した結果本日はもうお開きすることになりました。
みんな着替え始めたので私もと思いましたが「私たちはまだいーじゃん」とお姉ちゃんに止められていました。
そして―
「じゃあまた明日学校でな」
「うんみんな気を付けてね~♪」
今にも寝そうな紬さんが心配でしたが梓ちゃんがグイグイ引っ張ってるから大丈夫かな?
「またな唯、憂ちゃん」
そう律さんが言って玄関が閉められました。
2010/11/01(月) 00:14:06 ID:bT/qTrORO [7/11]
300 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
ガチャン…
「みんな帰っちゃったね~」
「うん…楽しかったね!!」
「ねー♪」
お姉ちゃんも満足したみたいで良かった。
「じゃあお姉ちゃん、後片付けする前に着替えたいから…放してくれる?」
実はまだ私はお姉ちゃんのマントの中にいます。嬉しいけど皆さんが居なくなって2人きりでこの状況は恥ずかしいです。
でもお姉ちゃんは放してくれるどころかさらに強く私を抱き締めてきます。
「ねぇういー」
「なっなに?」
お姉ちゃんが顔を向かい合わせるように私を動かしました。目と目があった瞬間ニコリと微笑まれてドキリとしてしまいます。
そしてお姉ちゃんはこう言いました。
「なんで憂をずっと抱き締めてたと思う?」
「わっ私の格好が寒そう…だったから」
私がそう答えると、お姉ちゃんは「違うよ」と言って急にマントを広げて私を放しました。お姉ちゃんからの暖かさがなくなり寒くて自分で自分をしゃがんで抱き締めました。
そんな私を見ながらお姉ちゃんは続けます…
「こんなに可愛い憂の姿なんて誰にも見せたくないからだよ」
「えっ…あ」
そう言ってまた私を抱き締めてくれました。「ごめん寒かったね」って言いながら。
私もお姉ちゃんを抱き締め返しました。
2010/11/01(月) 00:15:02 ID:bT/qTrORO [8/11]
301 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
「お姉ちゃん…」
「ん?」
「ありがとう…暖かいよ」
お姉ちゃんは少し目を大きくしたかと思うと次に目を細めて「どういたしまして」と言ってくれました。そしてニヤリと笑って言いました。
「じゃあもっと暖めてあげるよ」
「えっ?きゃっ!?」
しゃがんだ状態だったのでお姉ちゃんに体重をかけられ簡単に倒されてしまいました。
「ちょっ//お姉ちゃん!?」
「あっそう言えば今日憂に言いたかったけど言ってなかったことがあった」
「ふえっ?」
私に覆い被さった吸血鬼が嬉しそうに言います。
「トリックオアトリート♪」
「なっ!?」
「もちろんお菓子なんてないよねー憂?」
2010/11/01(月) 00:20:55 ID:bT/qTrORO [9/11]
308 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
吸血鬼の言うとおりこの家にはお菓子なんてありません。フランケンシュタインや魔女さん達に食べられちゃったから。
「やっ待ってお姉ちゃっ…んっ」
…キスをされました。吸血鬼なのに優しくて甘いキスでした。
「はっ…それは無理なお願いだよ…次は血でも貰おっかな」
「えぇ!?っん…//やめっ」
首筋に顔を埋めてきたお姉ちゃんが本当に血を吸うみたいに首筋を強く吸われました。
「やだっお姉ちゃん…明日がっこぅ」
「ダメだよ憂…止めて欲しかったらお菓子ちょーだい」
吸血鬼はイタズラを止める気は全くないようです。
というかこうなったお姉ちゃんを止めるすべはありません。
「憂…どうする?」
優しく微笑む意地悪な吸血鬼に出す答えは一つだけです。
「…優しくして下さい」
「…了解です♪」
結局11月1日になるまで…いやなってしばらくするまで私は吸血鬼にイタズラされ続けました。
―fin―
2010/11/01(月) 01:01:21 ID:bT/qTrORO [10/11]
感想をどうぞ
- わぁお -- (名無しさん) 2013-03-20 12:00:06
- 小悪魔憂がすごーく可愛い
憂を独り占めする唯がものすごーーく可愛いです
唯は憂をマントで隠しながら抱きしめてる間も、みんなの眼前にも関わらず悶々としてたのかな…と妄想 -- (名無し) 2010-12-19 23:53:25
- 唯憂これはいい -- (名無しさん) 2010-12-05 13:47:00
- 独占欲が出てる唯って本当に可愛いと思うの -- (名無し) 2010-11-04 08:48:25
- 吸血鬼唯の画像を見ながら、この話を読むと……たまらん! -- (唯憂は正義) 2010-11-03 05:24:22
最終更新:2010年11月01日 17:26