967 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
大学受験も終わり、あとは卒業を待つだけ。
大学生になったら一人暮らしをする予定の私。
でも私には今までたくさんのことをしてくれた憂に何かお返しをしたい気持ちでいっぱいでした。
私にできることって何だろう。
私が高校でやってきたことといえば、音楽。
私にできることはこれしかない。
だから私はギー太を手に取りました。
「よろしくねギー太。憂のために」
その日から私はギー太とルーズリーフとにらめっこし続けました。
浮かんでは消えていく歌詞、メロディー。
頭の中を駆け巡る憂との思い出。
まとまらなくて、逃げ出したくなって。
私は泣きそうになります。
ほんとは一人暮らしなんてしたくないのに。
でもそれじゃだめなんだ。
私だって成長しなくちゃ。
でも憂と離れるなんて…
そんな風に堂々巡りをする私の思考のせいで、曲作りは一向に進みませんでした。
そんな時でした。
「ねぇお姉ちゃん。お散歩しない?」
「お散歩?」
「うん。ギー太と遊ぶのもいいけど、気分転換にどうかな?」
正直私はあまり乗り気ではありませんでした。
残された時間は少ないのに、曲はできていないし。
「うーん…」
「ちょっとだけ。ね?」
「わかった。行こっ、憂」
憂からのお誘いを断れるわけもなくて、何かひらめけるかもしれないと私たちはお散歩に出かけました。
2011/01/15(土) 07:52:28 ID:q3bNAC3O0 [1/4]
969 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
「憂っ」
「あ、お姉ちゃん…これ見て?」
憂が差し出したのは、ごつごつとした、けれど小さな石でした。
「これ…」
「昔、よく一緒に集めたなぁって」
ごつごつした中に、ほんとに小さな透き通った部分がちりばめられた石。
それがほんとの宝石じゃないことはわかっています。
でもあの頃は、これが私たちにとっての宝石でした。
「宝石、だね?」
「そうだね。やっぱり、きれい」
憂がそれを太陽に透かしてみます。
きらきらと光る憂の顔を見て、明日は晴れる、そんな気がしました。
「私も探すっ」
「あ、お姉ちゃんっ。靴はいてからっ」
憂の忠告もそのままに、私は公園中を駆け巡ります。
いつかのあの頃に本当に戻ったみたいでした。
「あった!」
「ほんと?」
憂の宝石と比べても、私が見つけたのはもっと小さくて、透き通ったところも数は少なかったけど。
「まんなかにおっきいのが一個あるっ」
「ほんとだぁ、お姉ちゃんのもきれいだね」
「じゃあこれ持って帰ろう、憂」
「うん、お姉ちゃん」
2011/01/15(土) 07:58:37 ID:q3bNAC3O0 [2/4]
970 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
それから、私とギー太とルーズリーフに友達が増えました。
机のうえに置かれたそれは、小さいけれど私たちを見守っているようで。
「できた…!」
あれから何度も練習しました。
歌詞だってひねってないし、コード進行も単純です。
でもありったけの気持ちをこめて。
憂が元気になれるように、この曲が憂の宝石になってくれるように。
題名だってありません。
だってこれは憂の歌だから。
憂が好きな名前をつけてくれたら、それでいいのです。
「じゃあ私、行ってくるね」
「うん…」
「そんな顔しないで、憂」
「でも…さみしいよ」
「大丈夫だよ。これあげるから」
「カセットテープ…?」
「うん。あとで聴いてね」
「それとね、憂」
「これもあるよ!」
2011/01/15(土) 08:01:25 ID:q3bNAC3O0 [3/4]
971 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
ポケットからあの宝石を取り出します。
あの日からどこへ行くにも持ち歩いている、私の大事な思い出です。
「わ、私も持ってる…!」
憂もポケットから取り出しました。
憂にとっても大事なそれは、私たちをちゃんとつないでくれています。
「あ、そうだひとつだけ。私が作ったのは、宝石の歌だからね」
「そっか、ありがとうお姉ちゃん」
「私こそ、ありがとう憂」
「えへへ…」
「えへへっ」
憂は笑顔になってくれました。
その笑顔が私の背中を押してくれます。
「じゃあ憂、いってきますっ」
「いってらっしゃい、お姉ちゃんっ」
憂のキャラソン2曲目がこんな風に作られていたらいいなっていう妄想でした。
2011/01/15(土) 08:04:50 ID:q3bNAC3O0 [4/4]
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- 。・゚・(ノД`)・゚・。 -- (名無しさん) 2011-03-15 12:24:15
最終更新:2011年01月16日 21:56