365 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
憂「んむぅー……」
晩ご飯のあと、憂が顔をしかめていました。
その日の晩ご飯は鶏のからあげで、
大好物だった私は見境なくばくばく食べてしまっていました。
想えばほとんどを私が平らげて、憂があまり手をつけられていなかったような気がします。
唯「うっ、憂? どうかした?」
怒った憂は怖いのです。
おそるおそる私は尋ねました。
憂がうつむき気味だった顔をゆっくりと上げます。
憂「ん、前歯に……お肉かな、何かが挟まってるみたいで」
そう言うと、ぽかんと口を開けて、憂は舌で前歯を押しているのを見せてくれました。
下側の前歯にお肉が挟まっているらしいです。
歯をはじいては、赤い舌がちろりと跳ねているのが見えます。
唯「なあんだ」
憂は怒っているわけではなかったようです。
胸がじわっと緩まって、安心が流れ込んで不安を掻き出していきます。
憂「んーっ、とれない……」
そのときに、気持ちの入り口を大きく開きすぎたのでしょうか。
鉄球のように重たい「間違った感情」が、安堵に紛れてやって来て、
胸の内に深く沈みました。
ふたたび憂の舌が歯の裏を舐め、挟まった何かを取れぬまま、ぴち、と跳ねました。
唯「じゃあ……とってあげるよ」
憂「へ?」
口をぼけっと開けたまま、憂が首をかしげました。
私は傾いた憂の顔を両手で固定すると、前歯に向かって唇を近づけていきます。
憂「へっ、へっ!?」
2011/02/05(土) 01:18:47 ID:bnsNTLUj0 [1/5]
366 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
くちびるで憂の歯を挟みこみます。
憂「んっ、んんっ!?」
憂が口を閉じて防御しますが、時すでに遅し。
生温かい唇の裏側が押しつけられるのみです。
唯「っむ……ぅ」
硬い歯を吸って、挟まっているというお肉のかけらを取ろうとしますが、
手ごたえは感じられません。
憂「おねえひゃっ、んんっ」
憂に邪魔されないよう、慎重に舌を出して歯の隙間を撫でます。
なるほど、確かに何かが挟まっているようです。
憂「っ、ふ!」
びくびくと憂が体を震えさせて抵抗しますが、
こんな小さな抵抗では私を止めることはできません。
なおも歯を吸うと、憂の唾液がじゅるじゅる音を立てて口の中に入ってきました。
舌を歯にそえて、何度も舐め上げます。
憂「っん、うう! ぅっん!!」
そして憂がひときわ大きな抵抗を見せた瞬間、
私の口の中に小さなお肉のかけらが飛び込んできました。
唯「っちゅ……んむ」
そっとくちびるを離し、唾液がたくさんついた口の周りをぺろりと舐めます。
お肉をひと噛みして飲みこむと、言いようのない満足感が包み込みました。
憂「はぁっ、ぁ……」
しかし、それも一瞬。
憂の、疲れきったような、にらむような目を見たときには、
とんでもないことをしでかしてしまった、という思いが押し寄せていました。
2011/02/05(土) 01:19:50 ID:bnsNTLUj0 [2/5]
367 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage]
憂「おねえ、ちゃん……」
唯「ごめんっ憂!」
あわてて謝ります。
憂「え……?」
せっかく唐揚げをほとんど一人占めにしてしまったことを憂が怒っていなかったのに、
憂の口の中にあるお肉をわざわざ奪って食べてしまうなんて。
それも抵抗する憂にむりやり……これは確実に怒らせてしまいました。
唯「ゆ……ゆるして?」
いまさらカワイコぶってみます。
少なくとも10分の正座はまぬがれないでしょう。
憂はしばらく黙って、私への処罰を考えていたのでしょう。
なにも思ってないような顔をしていますが、憂はとにかく頭の回る子なのです。
憂「……ううん。ゆるさないよ」
唯「あ……うぅ」
やがて憂は静かに言い放つと、私を床に座らせ、
覆いかぶさるようにくちびるを塞いできました。
――あれ、なにかおかしいような?
ふと疑問が浮かび上がりましたが、私の思考がまともに働いたのはそこまででした。
仕返しのつもりでしょう、憂は私の口にあるお肉、もとい舌を吸い上げて、
噛んだり舐めたり、飲み込んだりしていました。
そしていつしか私は解放されていて、窓の外は朝になっていましたが、
なんとなく重たい頭の中には、おしおきの最後に憂の放った言葉が確かに残っていました。
憂『……ううん、ゆるしてないよ。ちっとも』
憂『だから……毎日おしおき、だね?』
どこか聞き慣れないふうな憂の声を思い出して、
私はなぜだか頬がにやけるのを感じました。
おわり
2011/02/05(土) 01:20:56 ID:bnsNTLUj0 [3/5]
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最終更新:2011年02月06日 19:54