681 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/09/11(日) 01:03:22.43 ID:LYjb229U0
夏の終わりの夜
すぅ、すぅ、という規則正しい小さな寝息をたてるその横顔を長い間見つめていた。
時刻は1時を過ぎた頃。夏の終わり。
随分過ごしやすくなってきたけれど、今夜は少し蒸し暑い。
その暑ささえ、側にいる人から滲み出る温もりのように錯覚して心地良い。
悪戯にふとその名をと心の中で呟くと、不意にやりきれない寂しさに襲われて安易な衝動を後悔した。
いつの間に止んだのか、寝息は聞こえない。
「う..、、」
呼んでいる。
母音がふたつ並ぶ私の名は眠ったままの頭では発音しづらいらしく、ほとんど声になっていない。
それでも、僅かな表情や体の震えで、私を探しているのだと分かる。
もぞもぞと動く左手をとり、おなかの上でそっと両手に包みこむ。
汗を含んだその手が、私の安心と不安を上塗りしていく。
彼女の左肩に、そっと額を押しつける。
此処にいるよ。
呼吸のなかの柔らかさと暖かさが再び増して、ゆっくり目を閉じる。
もう少し、こうしていられる時間はある。
まどろみの中でまた、寝息が聞こえてきた。
感想をどうぞ
最終更新:2011年09月11日 13:31