31 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/10/06(木) 22:53:13.60 ID:DLBe3hGP0
後ろから抱き抱える憂は本当にあったかい。私達は食後の定例ともいえるまったりタイムをソファーの上で過ごしていた。
「ういもさ、大胆な歌歌っちゃうよね」
「うん、おねえちゃん大好きだもん!」
振り向いて眩しいくらいの笑顔でそう答える妹にたじろいでしまう。とてもじゃないけど私だったら愛する人間にこんな事は気軽に言えない。
それはそうだ、なぜなら恥ずかしいから。私も目の前の妹に「大好き!」そんなふうにめんと向かって言えたらどんなに素敵なことか。
そう、私は平沢憂に恋しているのである。
逆に考えると憂が羞恥も無くこんな事を言えるのは私の事を「ギータ可愛いよね!」と同じニュアンスで思っているからなのかもしれない。もしそうだったとしたらいったい私っていったい……
一度でもそう捉えると思考が進んでいき、そうかもしれない、そうに違いない、そして憂は私のことなんとも思っていないなんて方向に進んでいってしまう。
いや、それで当然なのだ。私達は同性で姉妹。本来なら私の気持ちがおかしいのだ。
でもおかしいって何?子供のころから、いや、生まれた瞬間から仲良し。幼稚園の頃だって、小学生の頃、中学生の頃だって友達より家族より憂といた時間が何より長い。
それだけ長い時間を共有して好きにならないほうが私からしたらおかしいと思う。
とにかく憂の存在は私にとって無くてはならないし、愛も深い。
そんな憂に拒絶され、たわけじゃないけどギータと同列宣言された(?)のは相当なダメージなわけで、すがるような気持ちで憂に確認してしまう。
「あのさ、憂のいうおねえちゃん大好きって、ライクなのかな?ラブなのかな?」
聞かなければグレーですませられたのに、仲のいい姉妹でいられたのに、怖いもの見たさに似たような、そんな感覚に飲み込まれてつい聞いてしまった。
「……どうしたの?おねえちゃん」
「私は憂と……姉妹以上に仲良くなりたいなぁって」
「……」
言ってしまった……憂の顔は確認できないけど、沈黙が支配する場に否応でもわからされてしまう。
これはまずい、と。
もしかしたら今この抱きかかえるようなポーズからも憂は今すぐにでも逃げ出したいのかもしれない。そう考えると体温が一気に下がって行くのがわかる。
「皆の前であんなに好き好き、家族の愛じゃなかったら言えないよ、おねえちゃん」
目頭が急に熱を持ってくる、なんだか喉も痛いし、マグマのようなものが体から逆流するように体が辛い。
私は今、人生で経験したことが無いからわからないけど、たぶん失恋をしているんだと、思う。
でも、本当に辛いのは憂なのに、なんで私が悲しんでいるんだろう……ただの仲良し姉妹だと思ってた姉にこんな事言われちゃって
そんな姉にこんな事言わなきゃいけない憂の方が辛いのよね?
こちらに振り返らずに憂は続けてる。憂の表情は相変わらず見えない
「だから、そういう思い込みに甘えて皆の前でおねえちゃん好き好きいってたんだ、私。そうすればまさか本当におねえちゃんに恋してるなんて思われないからね」
……あれ?これって
そして振り向きながら思い切りの笑顔で憂はこういった。
「私もおねいちゃんのこと愛して……うそ!おねいちゃんどうしたの?!そんな泣いて……何か痛かった?!大丈夫?!」
「ういいいいい」
次の日から私達は仲良し姉妹から恋人姉妹になりました、ちゃんちゃん
感想をどうぞ
- ん?オチの擬音だったら別に良いのでは? -- (うむ) 2011-11-03 19:52:42
- 憂の一人称なのに、最後の「ちゃんちゃん」は余計だなあ。もったいない。 -- (名無しさん) 2011-10-10 10:15:44
最終更新:2011年10月07日 03:16