950 名前:電車の中の光景[sage] 投稿日:2011/11/27(日) 04:43:55 ID:PrPLcTOA0
「ねぇ、お姉ちゃん」
その声に、浅く沈んでいた眠りから目覚める。
「んー?」
“お姉ちゃん”と呼ばれた子は、優しくふわっと包むような声で聞き返した。
「」
ふと、顔を上げる。
二人の姉妹が、同じ手すりにつかまり、ぽつぽつと会話を交わす光景が目の前にあった。
顔が似ている。
だから勝手に「姉妹」と推測しただけ。もしかしたら姉妹じゃないのかもしれない。
ただ、そんなことはどうでもよかった。二人のあたたかい光景に心を打たれたのだ。
“お姉ちゃん”と呼ばれた子。多分姉。
黄色の髪留めを前髪に付けている。
「ういは――」
“うい”と呼ばれた子。多分妹。
黄色のリボンで髪を後ろで結ぶ子は、幸せそうにお姉ちゃんの呟く言葉に耳を傾けていた。
ずっと見ていてはいけない。迷惑になってしまう。
そう思い、目線を腰ほどに下げると、二人のポケットから顔を出しているストラップに目が行く。
形容は違うが、お揃いのクマのストラップ。
一緒に買いに行った姿を、なんとなく想像出来てしまう。
「久しぶりに、ういの手料理が食べられるよ~」
姉がそんなことを言う。妹は料理が出来るのだろうか。
声のトーンが高くなったのを考えると、相当楽しみにしているのだろう。
ガタン
「ぁっ…」
電車が速度を落とす。
すると妹が体勢を崩した。
だけど倒れることはない。姉がしっかりと妹を支えていた。
「大丈夫? うい?」
「うん」
姉の腕の中で小さく頷く。
それと同時に電車のドアが開き、降りる人が動き始める。
「お姉ちゃん、ここ」
その姉妹もここで降りるらしい。
ずっと繋がれていたように手を繋ぎ、二人は電車を降りていった。
ドアが閉まる音ともに、一呼吸つく。
さっきまでいた二人の姉妹のあたたかな空気を乗せ、電車は車体を揺らし、ゆっくりと動き出した。
おしまい
短いですすいません…
一期一会な唯憂をテーマにしてみました
感想をどうぞ
- おお…こういうのは無かったかも。
良いねぇ -- (うむ) 2011-11-28 21:44:53
- これはすごく好きです。
日常に唯憂を見かけたら、こんな風に暖かな気持ちになるでしょうね。 -- (名無しさん) 2011-11-28 06:07:05
最終更新:2011年11月28日 01:07