954 名前:軽音部員♪[sage] 投稿日:2011/11/28(月) 08:16:35 ID:yLMAEMO6O
絶対に近づかないひとつという歳の差がまた大きくなる。
少し遠くへいってしまう気がして、さみしくなる。
明日はお姉ちゃんの誕生日だけど、私が小さくなる日でもあるから。
ふたつも年下だし、ちょっと子どもっぽいお願いをしてみてもいいかな。
いつか歌った童謡とか、あのホワイトクリスマスみたいな。
明日はそんな優しい雨か雪、降らないかな…
―――
雨が窓を叩く音で目が覚めた。
うそ…本当に雨に、どしゃ降りになるなんて。
慌ててテレビの天気予報を確認する。
「突然発達した雨雲の影響で強い雨が…」
どのチャンネルも同じような内容を知らせている。
用意したケーキは自分で食べることになりそうだとか、今日は来れないかもしれないとか思うけれど。
何よりも、せっかくの誕生日を私の願いで台無しにしてしまった気がして、悲しかった。
それからも雨の止む気配はなくて、窓を打ち付ける雨をただ見て過ごした。
大きな窓を通して私の上に、部屋中に降り注ぐ雨は怒っているような、どこか優しくもあるような。
…お姉ちゃんは、怒っているかな。
そんなわけはないとわかっていても、何回か鳴る電話に出ることができなかった。
私が願ったことだから、この雨が止むまでは…
でも、電話に出て「今日は会えないね」と言ってしまえない。
昨日は昨日で、今は今でどうか雨を止めてくださいなんて祈ってしまう。
自分勝手で、本当に子どもみたい。
ならいっそ、雨に濡れちゃおう。
憂「あーめあめふーれふれ」
風邪もひいちゃえばよりそれっぽい?
憂「かあさんがー…」
いつまでもお迎えを待つよりも、きっと。
憂「じゃのめでおむかいうれしいな」
雨が上がるのを待つよりも、お姉ちゃんに会いたいから。
憂「ぴっちぴちちゃっぷちゃっぷ」
私が押すよりも少しだけ早く、ドアが後ろへ引いた。
お願い少しだけ待って、表情を作るのが間に合わない。
唯「らんらんらんっと!およ、憂?」
びしょびしょに濡れて、長靴はいてパンダさんの傘まで持って、服のあちこちに泥をはねさせたその姿。
大人に近づいたはずのお姉ちゃんはずいぶん幼く見えて、私は心配するより先に安心した。
唯「ねぇ憂、今日にぴったりな歌うたお!」
憂「ハッピーバースデー?」
唯「あめふりだよ!」
―――
お姉ちゃんの髪を乾かしながら、尋ねてみる。
憂「お姉ちゃん、私って雨女かな?」
唯「なんでー?」
憂「私の好きな日は雨とか雪の日が多いかなって」
唯「でも大丈夫だよ憂!」
お姉ちゃんが私の手からドライヤーを奪う。
唯「憂が雨女なら私が晴れ女になるからねっ」
そうだ。お姉ちゃんはあんなに雨を願ったマラソン大会の日を、快晴にしちゃった。
唯「くらえーっ!」
憂「お、お姉ちゃん私はいいよっ」
太陽みたいな笑顔と冗談で向けられたドライヤーに、雨粒は浮かぶ暇なく乾いていった。
おわり
間に合わなかったし誕生日ほとんど関係なくなったけど
唯ちゃんお誕生日おめでとう!
感想をどうぞ
- 平沢姉妹をずっと見てたいな
唯ちゃん誕生日おめでとう! -- (名無しさん) 2011-11-30 23:54:30
最終更新:2011年11月29日 01:42