おこた。

639  名無しさん@お腹いっぱい。  [sage]  2009/11/03(火) 23:02:58 ID:35Mmhu6T

↑こっちがムギじゃね?



 おこた。うん、そうだ。炬燵を出そう。
 今秋一番の冷え込みを記録した今日。そろそろ本格的な冬支度を始めてもいいかもしれない。
 少なからず、寒いのが苦手なお姉ちゃんの瞳は懸命にそう訴えていた。

憂「炬燵、出そっか」

唯「うわーい」

 リビングで毛布に包まりながら寝転がっていたお姉ちゃんが、こちらを見ずに歓声を上げた。
 嬉しさを身体で表現しているのだろうか。左右に世話しなく転がる姿を見て、思わず頬が緩む。

憂「よいしょ、っと……」

 押入れから炬燵布団を引っ張り出し、家具調炬燵の上に敷く。
 冬場以外はテーブルとして使っているのだから、とりたてて労力は要らない。
 後はコンセントを繋げば……

唯「うい」

憂「どうしたの?」

唯「私も手伝うよ!」

 包まっていた毛布をふぁさっ、と脱ぎ捨たお姉ちゃんが、凛々しい表情を作った。

憂「ありがとう、お姉ちゃん。……えっと、じゃあこれを」

 電源コードを手渡すと、お姉ちゃんは炬燵の中に潜り込み、やがてひょっこりと顔を出した。
 それを設置完了の合図と受け取り、私は炬燵のスイッチを入れた。

唯「……炬燵って、スイッチ入れてから暖かくなるまで、すっごく寒く感じるんだよね」

 炬燵は暖かいものだっていう思い込みがあるから、冬場の冷えた炬燵は尚更そう感じるのだろう。
 しかし、そんな心理学的思考はお呼びではない。
 私はそうだね、と相槌を打ってからお姉ちゃんを見据えた。

憂「すぐに暖まるから、それまでくっついてようか」

 私の言葉に、きょとんと目を瞬かせるお姉ちゃん。
 頬がゆるやかに朱色に染まり、その表情はやがて優しい微笑みへと変わった。
 私はお姉ちゃんの隣へと潜り込み、ぎゅっと身を寄せた。

唯「あったかいね、憂」
憂「あったかいね、お姉ちゃん」

 木枯らしが運んだ小さな幸せ。
 ――どんなに寒い冬の日も、お姉ちゃんと一緒なら温かい。



636のせいで気が付いたら書いてた
最終更新:2009年12月14日 23:19
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。