664 私の自慢のお姉ちゃん [sage] 2009/11/07(土) 03:36:34 ID:JWvWM6Fi
それはとある休日、お姉ちゃんと一緒に押し入れの整理をしていた時のことでした。
憂「お姉ちゃーん、取れたー?」
唯「もう、ちょっと…ふぬぬ…取れた!」
お姉ちゃんが押し入れの奥から引きずり出したのは、埃だらけの段ボール箱だった。
その表面にはでかでかとマジックで、「唯とういのプリソト」と書かれている。
憂「…これ、お姉ちゃんが書いたの?」
唯「た、多分…あはは、私、昔は字下手だったなぁ」
憂「(あまり今と変わらないような…)そ、それはさておき早く整理しなくちゃね!」
ガムテープを剥がすと、中には小学校時代の私たちのプリントやテストの答案が入っていた。
もうかれこれ、小学校を卒業してから私は4年、お姉ちゃんは5年になる。いつの間にか、そんなになるんだな…
唯「ねえ憂、覚えてる?私が小5の時さ…」
憂「あぁ、覚えてる覚えてる!それでお姉ちゃん確か…」
昔のことを話すのはどうしてこんなに楽しいんだろう。
私とお姉ちゃんはすっかり作業を忘れて思い出話に浸るのだった。
665 私の自慢のお姉ちゃん [sage] 2009/11/07(土) 03:40:22 ID:JWvWM6Fi
憂「それでさー…あ!お姉ちゃん、もうこんな時間!」
唯「ホントだ、すっかり話しこんじゃったね…ん?なんだろこれ」
憂「どうしたの?」
お姉ちゃんは段ボールから紙の束を取り出すと、しばらく黙ってそれを見つめていた。
なんの紙だろう?私はお姉ちゃんの手元をそっと覗いた。どうやら原稿用紙のようだ。
お姉ちゃんのかな…ふと用紙の隅に目をやると、そこには――
『私の自慢のお姉ちゃん』6年2組 平沢憂
憂「あっ!?そ、それ…!」
それは、私が小六の時にコンクールで賞をもらった作文だった。
てっきり捨ててしまったのかと思ってたけど、まさかこんなところにあっただなんて…いや、そんなことよりも!
憂「お姉ちゃん!そ、それは読んじゃ…」
唯「……」
時すでに遅し…お姉ちゃんはすべて読み終えたのか、原稿用紙を閉じてしまった。
ど、どうしよう…何を書いたかは覚えてないけど、タイトルからして本人に読まれたらものすごく恥ずかしいものではあるはずだろうな…
だからお姉ちゃんの目に触れないようしまいこんでおいたはずだったのに…
唯「憂…」
憂「お、お姉ちゃん、それは…その…」
唯「憂ーー!!」ガバッ
憂「!?」
666 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2009/11/07(土) 03:44:00 ID:JWvWM6Fi
お姉ちゃんは突然私に抱きついた。まさかの反応に、私は戸惑ってしまう。
憂「ど…どうしたのお姉ちゃん?」
唯「憂…私のこと、こんな風に書いててくれてたなんてうれしいよぉぉ!」
憂「え?な、なにが書いてあったの!?」
唯「えっとね…『私のお姉ちゃんは、いつも私のことをぎゅっと抱きしめて、とても幸せな気持ちにしてくれます。
私は、そんなお姉ちゃんのことが大好きです。私も一生懸命がんばって、お姉ちゃんのことを守ってあげたいです』だって」
顔から火が出る、というのはこんな感覚だろうか…
私は自分の顔が真っ赤になっていくのを感じていた。
憂「お…お姉ちゃん、それはね、あくまで小学校の頃子供心に書いたことで…」
唯「じゃあ、今は私のこと大好きじゃないの?」
憂「そ、そうじゃないけど…」
唯「ならなにも気にすることないよ!私も憂のことが大好きなのは変わらないし!」
憂「え…?う、うん…」
お姉ちゃんは力を込めて私をぎゅっと抱きしめた。
こうされると幸せな気持ちになれるのは、小学生の頃から変わらないや…
唯「憂ー、幸せ?」
憂「うん、幸せだよ」
唯「えへへ、私もだよー♪」
憂「そっか♪ねえ、お姉ちゃん…?」
667 私の自慢のお姉ちゃん [sage] 2009/11/07(土) 03:51:10 ID:JWvWM6Fi
唯「なに?」
憂「私、これからもお姉ちゃんのこと…がんばって守ってあげるからね」
唯「ホントー?頼もしいなー」
憂「えへへー…でもお姉ちゃんもがんばらなきゃダメだよ?まずは、このプリントの整理から!」
唯「うへー…」
憂「終わったらアイスがあるから、がんばろうお姉ちゃん!」
唯「ホント!?よーし、がんばるぞー!」
憂「あはは…」
お姉ちゃんは、小学校の頃からあまり変わらないみたいだ。
そしてこれから先何年、何十年経っても、大きくは変わらないと思う。
――ねえお姉ちゃん、私も一生懸命がんばるから…いつまでも、私の自慢のお姉ちゃんのままでいてね。
終わり
668 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2009/11/07(土) 03:54:25 ID:JWvWM6Fi
以上です
656を見て思い付きました
というわけで深夜に失礼&3レス目に名前欄にタイトル入れるの忘れてすみません
最終更新:2009年12月14日 23:22