『僕はこうして~』の登場人物が登場

注意
  • 下ネタ注意。淫語のオンパレード
  • 死亡するゆっくり無し
  • 真面目に読むと疲れる




目的を果たした男が相棒の待つ車まで戻ってきた
「首尾は?」
「バッチリです。ちゃんと係員に渡してきました」
手でOKサインを出してから車に乗り込む
「先輩こんなことして本当に良かったんでしょうか? 犯罪ですよ」
「上からの命令じゃなければオレだってやりたくない。だがこんなことでもしない限り、我々アンチレイプ同盟はいつまでもジリ貧だ」
「ですが・・・・」
「しょうがないだろ。全てはゆっくりレイプ根絶のためだ」
運転席の男は苛立つ気持ちを抑えるために煙草を一本咥えた
「まぁ、流石に死人は出ないだろ。出ても怪我人くらいだ」
「ですね」



【登場人物】
息子:ゆっくりと人間のハーフ。学生

会長:ゆっくりレイプ同好会の二代目会長。二十代女性。素顔のときは会長の秘書という肩書きで活動する。実家が国内でも屈指の暴力団。きもいものに目が無い

隊長:アメリカにある『ゆっくりレイプクラブ』のリーダー。白人の男性で元軍人。ボブとは知り合い。「チキン」と言われると無条件でキレる典型的なアメリカ人

きもんげ:ゆっくりで金儲けを企てる正体不明のゆっくり。現在はレイプ研究所で働いている。驚くほど不細工




学校が午前中で終わった日、彼は家には帰らず普段は乗らない電車に乗りこんだ
電車を二本乗り継いでたどり着いたのは水族館と海洋生物研究所が兼ねられた施設
今度ここに父、きめぇ丸、ゆっくりふらんと来ようということになったのだが、水族館内は飼いゆっくりは入場可かどうかわからなかったため調べに来た

「飼いゆっくりの入場料でしたら胴なしが150円。胴つきは小児の方と同じ額になります」
ゆっくりも利用できる施設や公共機関には『ゆっくり用の料金』が設定されている場合が多い
例えばバスなら胴なしは荷物と同じ扱いで無料だが。胴つきならどうしても一席占領するため大人料金の半額を支払うなど

「ただし入館できるのは市か町の発行するタグを所持している個体に限りますので、どうか当日お忘れのないようにお願いします」
「わかりました」
水族館のパンフレットを受け取った
「今週まで、隣の海洋生物研究所1階フロアで水生生物の展示を無料でやっています。よろしければそちらもどうぞ」
「そうなんですか。ありがとうございます」
受付の女性に勧められて隣の研究所にも足を運んでみた
ずらりと並ぶ水槽。平日のため人は殆どいない
「れいむれいむれいむ~♪ れいむーを食べーるとー♪ りぼんりぼんりぼん~♪ りぼんだーけにーなるー♪」
自作の替え歌を小声で口ずさみながら水槽の中の魚介類を眺める
ふいに肩を叩かれた
「いつかのボウズじゃないか。ボブは元気にしているか?」
振り向くと流暢な日本語を話す白人の男性がいた
「隊長? なんで日本に?」
以前諸事情でアメリカに渡った際に世話になった男だった
「観光ですか?」
「それもあるが、一番の目的は…」
「隊長は日本のヒトデとかも性的な目で見てるんですか?」
「ここが日本で良かったな、アメリカなら間違いなく射殺してるところだ」
会話する二人に近づく女性が一人
「お待たせしました隊長さん・・・・あら? 新人さん?」
リクルートスーツ姿の会長(肩書き上は会長の秘書)も居ることに彼は驚く
「秘書さんまで、どうしてここに?」
「どうしても何も、この施設の中にゆっくりレイプ研究所があるからに決まってるじゃないですか」
「はい?」
「ここだと水槽が日常的に運ばれているので、流通の面で何かと便利なんですよ。隠れ蓑にも最適で、万が一摘発されても色々と言い訳できますし」
この海洋生物研究の一部がゆっくりレイプ研究所になっているらしい
(どうして行く先々でこういったものに遭遇するんだろう・・・)
「これ、あなたのです。ようやく渡せました」
会長が彼に一枚のカードを手渡した
同好会が発行する会員証だった。自分の顔写真(提供者:父)と自身のプロフィール、会員番号がプリントされていた
ただし機密保持のためか、それが何の会員証なのかを明記するものは書かれていない
「いらないです」
「新人さんは本当に謙虚ですね。そんな遠慮しなくてもいいですよ」

しょうがないので受け取ることにした

「新人さんも来ますか? これから隊長さんに研究所を案内するんですよ」
「あの、僕は・・・」
出来れば関わりたくなかった
「来てくれないんですか?」
「えっと、じゃあ折角なので」
残念そうな顔をする彼女を前にして、「行きたくないです」とは、とてもじゃないが言えなかった


関係者用の入場口のところまでやってくる
会長、隊長がその入り口を通り彼もそれに続く
「君、ちょっと」
彼だけ、そこに立つ警備員に呼び止められた
「新人さん。警備の方に先ほどの会員証を」
「あ、はい」
言われた通りそれを警備員に見せる
「や、これは失礼しました」
(いったいどんな権力が働いているんだ?)
彼が通されるのを確認してから、会長は入り口近くにあるエレベーターのボタンを押した


3階でエレベーターが止まりドアが開くと、天井の高い廊下が姿を見せた
「この階が丸々私たち同好会の研究施設です。面積の約半分が研究室。残りがゆっくりを飼育するスペースになっています」
廊下を進むと突き当たりまで来ると、道が左右に分かれていた。右の通路に【研究室】、左の通路に【飼育場】と書かれたプレートが掛かっていた
「とりあえずこの部屋に入ってみましょうか」
彼女は一番近くにあった研究室のドアをノックしてから開けた
「少しだけここをご見学してもよろしいでしょうか?」
中にいた白衣を纏った研究員の一人に声をかけた
「ええ、どうぞ」
「ありがとうございます」
見学者の二人は部屋の中央に招かれる
部屋の中央の机にはゆっくりれいむがベルトで固定されて身動きが取れないように拘束されていた
「さっさとれいむをはなしてね!! ぜんぜんゆっくりできないよ!」
「この台はしゅじゅちゅ(手術)用の台です。この部屋は『ゆっくりを整形する』部屋です」
「整形?」
「顔をいじって可愛くしたりするのか?」
会長が噛んだことには二人はあえて突っ込まない
「それもありますが、今やっているのは少し違います」
彼女の後から先ほどの研究員が現れる。その手に持っているのを見て息子は絶句した
(これはないわ・・・)
研究員が持っていたのは小麦粉を練って作った“棒状の物体”だった
「これを今かられいむに取り付けます」
そう言うと研究員はメスでれいむの顎下の皮を丸くカットした
「ゆぎゅッ!!」
鋭利な刃物で切られて一瞬遅れてやってくる鋭い痛みにれいむは白目を向く
研究員は切断面に“棒状の物体”を取り付けて水気の多い小麦粉を接合面に塗りつけてくっ付けた

ちなみに“棒状の物体”は勃起時の男性器の形を模してあった

そこにドライヤーの風を当てること三十秒、水分は完全にとんだ
「ゆっくりにペニスはありません。女性のレイパーは擦り付けや舐めさせる事でしか、ゆっくりを逆レイプできませんでした」
会長は熱く語りだした
「だから思ったのです。ゆっくりにちんこをつければ万事解決だと!」
「おかしくないですかその発想?」
男性器の形をした小麦粉の塊を取り付けられたれいむは目を丸くしたまま固まっている
「えいっ」
人工男性器を鷲掴みにして、不慣れな手つきでぐにぐにと弄る
「ちょ・・・何やってるの秘書さん!?」
真剣に作業に没頭して息子の声が届いていない
しばらく弄ったあと、諦めて手を離した
「動きませんね」
「餡子と皮の比率を変えてはみたんですが…」
「一体何をやっているんだ?」
人工男性器の付いたれいむを見て相談する会長と研究員の間に隊長が割り込んだ
彼の問いに会長が答える
「人工男性器の目的はゆっくりの体と完全に同化させることなんです。最終的にゆっくりの意思で勃起し射餡(射精)して初めて完成といえるんです」
「つまり、男もいつかゆっくりにアナルファックされる日が来るという事か?」
「最悪だよそれ」
彼にとって幸いなことに、今の現状を見る限りではその実現は遠そうである
「しかし秘書さん、その手つきはまるでなっていない。それじゃあ仮に繋がっていても反応しないと思うぞ。失礼だが経験は?」
「なんてこと聞いてんだよあんた!」
「お恥ずかしながら・・・一度も・・・」
「だったら今から俺の木製バットでグリップの正しい握り方を…」
「それ以上はボークだろ!!」
息子がセクハラ発言者の股間めがけて蹴りを放つ。甲ではなく、つま先で的確に急所を狙う
「ouchi!!!」
声を上げて自称『木製バット』を押さえる
「・・・・・・・折れてコルクが出そう」
「いい加減自重しろ!」
人にもセクハラを働く分、父よりもタチが悪いと思った

「そういえば会長からリクエストがありまして」
(会長って、あなたでしょ?)
鞄から紙を一枚取り出して広げ、研究員に渡す
「人工男性器の別バージョンでこちらも作って欲しいのとのことです」
「あの、これを取り付けるのは流石にちょっと・・・・」
苦い顔をした研究員。気になり二人も紙を覗き込む
「チェストバスター?」
「ちがう、グリードだなこれは」
紙にはグロテスクな触手モンスターが描かれていた
「可愛くないですか? 会長たっての頼みなんですよ。なんとしても作りましょう、いえ作るべきです!」
両手を強く握り、力説する会長。立派な職権乱用だった
「こんなのが野生にいたら百人中百人が間違いなく逃げますよ」
「さすがの俺でも、これは引く」
「作るほうの身にもなってください」
息子、隊長、研究員の三人がかりで彼女をなんとか諦めさせた




次にやってきた部屋は、鉄製の壁が丸ごと横にスライドするという特異な構造をしていた
「ここはドス種の実験・研究を目的とした部屋です」
ドス種でも中に入れるよう、壁がスライド式になっている
ちなみに、彼等が乗ってきたエレベータとは別の場所に貨物用の大型エレベーターがあり、体の大きなゆっくりはそれを使いこの階まで運んでいる
「では、入りましょうか」
壁にある人間用のドアを彼女は開けた

先ほどの場所よりも天井がずっと高く、広さも倍以上ある部屋
そこに足を踏み入れた瞬間
「・・・・・」
彼はまた言葉を失った
「すごいな、クイーンありすじゃないか。どうやってこれを?」
「保健所に収容されていた個体を特別に譲って頂いたんです」

強化ガラスで仕切られた向こう側に虚ろな目をしたクイーンありすがいた
(こいつって・・・・)
ありすの体の下側を見ると、小さな傷痕があった
このありすこそ、以前彼が保健所の地下に閉じ込められた時に遭遇したクイーンありすだった
「ありす種からは、ゆっくりを発情させる効果のある成分が抽出できるんです」
「媚薬ってやつか?」
「はい。特にクイーンからは通常の大きさのものよりも上質なものが採れるんです。
 媚薬成分を得るために三時間おきに機械を作動させて、強制的に発情させているのですが、このありすは出が少し悪いみたいで」
クイーンありすは床にぐったりとへたっていた。その姿からは全く生気が感じられない
(多分僕のせいだ)
ありすの性感帯を潰したため、発情するとその部分に激痛が走るのだと彼にはわかった
気の毒だと思ったが、申し訳ないとは思わなかった。正当防衛だということもあるが、自分のことを『奇形ゆっくり』と呼んだのを密かに根に持っていた。

「これから機械を作動させますが、御覧になりますか?」
その研究室の担当者が会長に申し出た
「是非見てみた・・・」
「すみません。気分が優れないのでどこかで別の場所で休んでいてもいいですか?」
これ以上このありすを見ていたくなかったので、退室を申し出た
「少し休めばよくなると思うので」
「でしたら、ここを出て奥から三番目の部屋をお使い下さい。私のオフィスになっています」


彼が部屋を出てすぐに
「ん゛ぼおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
ありすの悲痛な叫び声が薄っすらと聞こえてきた
「あ゛~~あ゛~~~~何もきこえな゛ーい・・・」
両耳を手で塞いで聞こえる声を誤魔化したが、全身が聴覚器官の彼には最初から最後までバッチリ聞こえてしまった






オフィスの中
部屋の手前にはミニテーブルを挟み向かい合うソファ。奥の方に仕事をするためのデスクがあった
学校の校長室を思わせるこじんまりとした部屋
窓は全面ガラスで出来ており、そこからの見晴らしは抜群だった

その部屋の仕事用のデスクにきもんげが座り電話でなにやら話しをしていた
「御宅が単価をあと5円下げてくれはったら、こちらは量を5割り増しで買い付けまっせ・・・・お互いに損の無い話とちゃいますか?」
このきもんげは以前彼が保健所の地下で出会ったゆっくりで、ボブに引き取られてから自身の意思でこの研究所に移った。目的はもちろん金儲けのためである
「一分待ちます。その間によう考えておいてくれまっか?」
保留のボタンを押して、きもんげは受話器を置いた
「全く、そないな保守的な考えが日本経済を停滞させてることに気付けんのかボケが」
その時ようやくきもんげが息子の存在に気付く
「おお、にーさんやないか! 今日はどないしたん?」
「ちょっと色々あってここを見学に。元気そうだね」
「お嬢には懇意にしてもらってるさかいにな」
(そういえば、会長キモイのを異常に愛でるからな)
クリーチャーと同格に扱われるきもんげを憐れに感じてしまう
聞けばきもんげは、ここに住み込んで会長の経営の補佐をしているとのことで、それなりに会に貢献しているそうだ

「すまんなにーさん。そろそろ一分経ちますさかい。適当にくつろいでてや・・・・・・・・あ、もしもし。決まりましたん?」

きもんげが再び商談を始めたので言われた通りソファでくつろいだ
「ん?」
ミニテーブルの下に『将棋盤の足にタイヤが付いたような形をした台車』があった
「スィーだ。懐かしいな」
ゆっくりだけが操作することの出来る未知の乗り物
幼い頃、自分も乗って遊んでいた
小学生にあがると、父に「これは赤ん坊が乗るものだから卒業しなさい」と言いくるめられて取り上げられた
今思えば、自分がスィーに乗れるということを世間に隠すためだったのだとわかる
スィーに乗れる子供は常識で考えたら存在しないはすなのだから

引っ張り出して、部屋の隅に移動する
「・・・・・・・? これどうやって動かすんだっけ・・・・・?」
スィーにはレバーもハンドルもアクセルも無い
過去の記憶を必死に辿る
「命令してたっけ、そういえば」
頭の中で『走れ』『止まれ』『曲がれ』と唱えるとその通りに走ったのを思い出した
子供心にはそれが当たり前のことだったが、今考えると良く分らない原理である
(走れ)
台に座り命じてみたが、スィーには何の変化もない

「そうでっか。そうしてくれまっか。ほんまおおきに。これからもウチを宜しく頼んます。ほなさいなら」

商談が成立して電話を切ったきもんげに問いかけた
「このスィー壊れてない?」
「それはにーさんが重すぎるんとちゃいますか? そのアクメスィーは胴なし用でっせ」
「アクメ?」
「走りの速さに合わせて台がゆっくりの興奮しやすい強さで振動するんですわ。羞恥プレイ向きに主任はんが考案したんどす」
それを聞き、慌てて立ち上がる
「なんでこんなのがあるんだよ!」
「まぁレイプ研究所やさかいに」

きもんげが今度は別のところに電話をかけ始めたので、彼はまたスィーに目を向けた
「さっきは重すぎたから走らなかったんだよな」
スィーの上に手を置いてみる
(ゆっくり走れ)
そう念じて手を離した

ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ

「お、動いた・・・・でもキモイ」
気色悪い音を立てながらスィーは緩やかな速度で走り出し、壁にぶつかって止まる
再びスィーの元までやってきて台に手を付く
(ソファの手前まで走れ)
しかしスィーは動かない
「ああ、確か複雑な命令は聞かないんだっけ?」
乗ることは出来ないが、触れている状態でなら操作が可能なのだとわかった







見学を終えた会長と隊長は息子が休んでいるオフィスに向かっていた
「人間は大きく分けて三つに分類されます。『一生ゆっくりに性的興奮を感じない者』『生まれながらにゆっくりに性的興奮を感じる者』『途中からゆっくりに性的興奮を感じる者』と」

『一生ゆっくりに性的興奮を感じない者』とは一般人のことを指す
『生まれながらにゆっくりに性的興奮を感じる者』は、息子の父や会長のように最初からゆっくりをレイプしたいという願望を持つ者を指し
『途中からゆっくりに性的興奮を感じる者』とは、隊長のように状況によってゆっくりレイプに目覚める。潜在的な素質を持つ者のことである

「我々は人間の設計図・取り扱い説明書である遺伝子に注目しました」
「ゲノムという奴か?」
「はい。私たちは『その人がレイパーに“なる”か“ならない”かを決定する遺伝子が存在するのでは?』と考えました」
「なるほど、その発想は無かった」
「まぁ所詮は夢物語ですけど・・・会の運営でそこまで手が回りませんし」
研究自体時間の無駄だと判断して全く進んでいなかった

「秘書さん、ついさっき宅配でお荷物が届きました」
ダンボール箱を抱えた研究員が二人に声をかけた
「少し重いのでお気をつけてください」
「なら俺が持とうか?」
「すみません、助かります」
代わりに隊長がダンボールを受け取った





オフィスに息子、きもんげ、会長、隊長が揃い。四人(正確には三人と一匹)はミニテーブルを挟み向かい合うソファに座り、紅茶を飲みながら雑談をしていた

「ところでなんやあの箱?」
隊長が部屋に来たときにデスクに置いた箱を見る
「お届けものみたいです。開けてみましょうか?」
「俺が開けようか? ガムテープがしっかりと目張りしてあるから開けるのに力が要る」
隊長だけが立ち上がり、箱の封を切った
「なんだこりゃ?」
箱を取り払い出てきたのはゆっくりさくやと四角い機械
「おぼっちゃま、おじょうさま、だんなさま。ごきげんうるわしゅうですわ!! ゆっくりしていってくださいませっ!!」

ゆっくりさくやの後頭部からコードのような線が延びており、四角い機械に繋がっていた

「さくやはだめいどなのでございます。あいてに“ぼむ”をしょうひさせるどころか、まけてじぶんじしんが“ぼむ”になってしまうのです。ゆえにさくやは“ぼむ”なのでございます」
「何の話だ?」
さくやに繋がった機械が気になり、隊長がそれの上蓋を掴み取り外した瞬間

「ざ・わーるど!!」

高らかにさくやが宣言した

「みんな動くな!!」
「「「 !!! 」」」
隊長の怒声に驚き、全員の動きが止まる
「いいな、俺が良いと言うまで絶対に指一本動かすな!」
気迫に気圧されて部屋にいる全員はまるで時間が制止しているかのようにピタリと止まった
「そんな叫んでどないしたん?」
「コイツは・・・・・爆弾だ」
あまりにも現実離れしたその言葉
「へ?」
「この四角い機械は爆弾らしい。こっちのさくやとどう連動しているのかは謎だが」
「なら早く逃げんとヤバイんとちゃいます?」
ソファに座っているきもんげがそう提案したが、隊長は渋い顔をした
「起爆スイッチがモーションセンサー制かもしれない。だから絶対に動くな」
「無理! 無理!! 僕のこの体勢は五分も持たない!」
立ち上がろうとした状態で制止を受けた息子は空気椅子の姿勢である
「畜生・・・アンチレイプ同盟め、厄介なものを送りつけやがって」
隊長が外した四角い機械の上蓋の底に、アンチレイプ同盟からのメッセージが書かれていた



「膝が、死にそうです」
「頑張ってください! 楽しいことを考えて気を別のことに逸らして!」
「この状況でなにを楽しめと!?」
「じゃ、じゃあ淫語しりとりで気を紛らわしましょう! それしかありません!」
「流行ってるんですかそれ?」

~~淫語しりとりのルール~~
シモネタを連想させる言葉ならなんでもOK
「結婚しよう」→「うん」でカップルが成立してゲームが強制終了する(現在3件のカップルが成立したという報告がある)
なお「結婚しよう」→「うんこ」と返すと確実にリアルファイトに発展するため、地方によっては禁忌の遊びとなっている

ゆっくりの『り』で、きもんげ→隊長→息子→会長の順番で開始した

「リョナ」→「ナース」→「す、す・・・ま、た・・・」

「真面目にやれ!」
「恥ずかしがったらいかんで!!」
「もっと大きな声でお願いします」
三人に責められる
「素股!!」
完全にやけっぱちになった息子
その後、会長が恥ずかしげも無く「玉袋」と言い一巡する

「ローションプレイ」→「イラマチオ」→「オナニー」→「二次画像」
→「裏ビデオ」→「オーラルセックス」→「スペルマ」→「まむこ」
→「コンドーム」→「ムラムラ」→「乱交」→「裏路地」
→「自慰」→「インポ」→「ポークピッツ」

「だれがボークピッツだこの野郎! アメリカン舐めんな!!」

隊長が力いっぱい四角い機械を叩いた
「あ、しまった」
さくやが目を大きく見開く

「たいまーがさどうしましたわ! ばくはつまでにじかんですわ!」

体力の限界が来て彼はソファに座り込んだ
顔が真っ赤なのは下ネタを言わされた羞恥心か、空気椅子を続けていたためかはわからない
「おい、隊長」
冷ややかな彼の視線が白人を射抜く
「責任もって解除するからそう睨むな。これでもかつては一個小隊を率いていたんだ、爆発物の知識はある」
「別にいいから、そんなの警察に任せて避難しようよ」
「国家権力に介入されたら割りを食うのはこっちだ。出来るなら自力で処理した方がいい。そうだろ秘書さん?」
全ての決定権を持つ女性を見る
「しかしそれでは」
「こんなのトランスフォーマーを説明書を見ないで変形させるのに比べたら楽勝だ」
「微妙な難易度ですよそれ?」
隊長の真剣な眼差しに彼女は折れた
「わかりました、十五分だけ待ちます。ですが、どうかご無理はしないように」

きもんげと会長は部屋の外に出て行き、隊長と息子が残った

「残らされたということは僕も何か手伝うことが?」
「いや、自分だけ爆死とか嫌だろ?」
「そんな理由でっ!?」

上蓋が無くなり、むき出しになった基盤に隊長は臨んだ
机にあった爪きりを使い、的確な手順で回線を切断していく
「これを作ったのは素人以下だな。作りが単純すぎる。もっと難しいのを解除したことがある」
「そうなんですか?」
「ある日、部下がエロ本を拾ったんだ。未開封の袋とじをあけた瞬間・・・」
「それは無い」
相変わらず真面目に聞くのが疲れてくる
「密林のゆっくりの口の中に・・・」
「いいから解除に集中してください」

表側の基盤の処理が終わる

「あとは裏のメインの線を切るだけだ」
反対を処理するために基盤を慎重に持ち上げる
「よく映画とかで『赤か青か』の二択をやる部分のことですか?」
「そうだ、まあこれを作ったやつの力量からして、ダミーなんて100%ありえな…」
裏側の全容が見えて隊長は愕然とした
「ちょ!? コード多すぎ! 『赤か青か』ってレベルじゃねーぞ!」
基盤の裏側には目で追っては数え切れないほどのコードが張り巡らされていた
「20本以上あるぞ!!」
「縁日の千本引き(紐クジ)みたいですね」
「俺・・・・この爆弾を解除したら、秘書さんに告白しようと思うんだ」
「死亡フラグ立てないで下さい」

コードの繋がったさくやを見る
「このさくやならもしかしたら正解を知ってるんじゃないですか?」
「やむおえん。メイドさんといえど容赦はしない。正解の線を教えてもらおう」
机のボールペンをさくやの額に押し合てる
「10数える、それまでに言うんだ」
しかしさくやは瀟洒な表情を崩さない

「いいか? 脅しじゃないぞ。10、9」

カウントを開始した

「8、7、6」

ペンの尻をノックして先端を出す

「5、4]

依然さくやは何も話そうとしない

「・・・3・・・・・2」
「い、いいますわ!!」

死の恐怖と隊長の掛けるプレッシャーでさくやは直前になり根を上げた
「いい子だ」
ペンが降ろされると、これまで我慢していたのかさくやの額からまるで脂汗のようにじわりと砂糖水が滲んだ
「メイドさんの汗うめぇ」
爆弾そっちのけでさくやの額を舐めまわす隊長
「お、おやめくださいだんなさま!」
(さっきまで凄くカッコ良かったのにこの変態行為で台無しだ)
実はメイドフェチだった隊長
執拗に舐められるさくやは、先程とは違う意味での恐怖で顔が引きつっていた

額が無駄にツヤツヤしたさくやは正解の回線を告げる
「“こばるとぶるー”のせんをおきりくださいませ!」
それを聞く二人は同時に首を傾げた
「どれだよコバルトブルーって!? 色のチョイスがマニアック過ぎるだろ!」
「青っぽい色でも5本以上ありますよ」
息子と隊長は部屋にあったパソコンでコバルトブルーを調べてみた
「『コバルトブルー』で検索しても、サザンの『涙の海で抱かれたい~SEA OF LOVE~』しか出てこないぞ!」
「半角スペース入れて『色』も入れて検索しなおしてください!」
「よし、出てきた!」
ディスプレイに移った色を見る

「「見分けつかねーよ!!」」

あまり参考にならなかった
「これか? この線でいいのか?」
「落ち着いてください。それは多分ネイビーです」
「こうなったら直接火薬を無力化させるしか・・・」
基盤をどかして四角い機械の奥を覗き込む
「あれ?」
「どうしました?」
「い、いや。なんでもない」
覗き込んだ先に、本来あるべきはずの火薬が見つからなかった
(もしかれてこれ偽者? このさくやもフェイク?)
隊長はこれが爆弾でないことに気付いた




会長ときもんげは部屋のすぐ前の廊下に待機していた。隊長に「出来るだけ遠くに」と言われたがその必要が無いことを知っていた
「私はここのセキリュティーに絶対の信頼を寄せています。故に、この研究所の中まで危険物が届けられることは有り得ないんです」
この研究所に運び込まれた100g以上の宅配物は全て検査にかけられることになっている。検査は空港並に厳しい
「つまり、あれは爆弾やないと?」
「恐らくゆっくりさくやが勝手にそう思い込んでいるだけです。もしくはそう言うように仕込まれているのか」
「せやったら、なんで教えへんの? 最初に『この爆弾は偽者です』言えばこんなことにはならんやろ?」
「その・・・隊長さんがあまりにも真剣だったのでなかなか言い出せずに・・・」
申し訳無さそうに彼女は俯いた



(うわ~~~~なんだよそれ~~)
事実を知った隊長のやる気が一気に失せた
「警察に任せましょう! 僕らじゃ手に負えませんって!」
「もーこれでいいだろ。色が濃いし」
青い回線の中の一つをテキトーに選び、切った
「だみーがきられました! ばくはつまであとあと10びょうになりますわ!!」
「何やってるんですか隊長!!」
真相を知らない息子だけがただただ焦る
「HEY PASS・・・・あとは任せた」
隊長は四角い機械とさくやを持って彼に持たせた。先程蹴られたささやかな仕返しのつもりだった
「え? ちょ? は・・・・うそぉ!!!」
(良いリアクションするなぁ。虐待される時のゆっくりみたいな顔してるよコイツ)
偽爆弾を抱えてパニックを起こす彼を冷静に分析する
「のこり5びょうですわ!」
「待って待って!!」
テンパリまくりの彼は何か無いかと懸命にあたりを見渡す
足元にスィーを見つけた
さくやと四角い機械をそれに載せる。方向を窓にセットする
(ゆっくりしないではしれ!!)
窓に向かい全速力で走るようにスィーに命令する
勢いよく振動しながら走り出したスィーは窓を割ってさくやと機械を載せたまま下の駐車場に落ちていった



オフィスの真下にある駐車場
アンチレイプ同盟の二人は車の中で研究所の様子を伺っていた
「届けてから大分時間が経ちましたが、何も変化がないっスね。そろそろパトカーが来てもいいはずなんですが」
「通報しないつもりか? それとも偽者だと気付いたか?」
アンチレイプ同盟の目的は、研究所内に警察を立ち入らせることだった
警察がこの件に介入すれば必ず研究所の中も調査される
警察がレイプ同好会の尻尾を掴んでくれることを期待した捨て身の作戦だった

突然車に小さな粒がパラパラと落ちてきた
「雨?」
「ガラス?」
次の瞬間、車のボンネットが大きく凹み、車体が大きく揺れた
「うおっ!!」
「な、なんだ!!」
ボンネットにアクメスィーとゆっくりさくや、四角い機械が落下していた
「ただいまですわ、だんなさま!! どうかこのだめいどにおしおきをしてくださいませ!!」
「なんかこいつ発情してないか?」
体半分潰れかけてるのにまったく気にしてない素振りのさくや
「それにしても・・・」
男は頭を働かせる
何故、偽爆弾とゆっくりさくやが目の前にあるのか?
何故、自分達の車にそれが落下してきたのか?
この状況から予測できる事態は一つ
「逃げるぞ! 俺たちの場所がやつらにばれてる!」
勝手な勘違いをして男は車のキーを回した
さくやだけ回収し、車は走り去った




「あれ偽物だったんですか?」
彼が落ち着きを取り戻してから、会長はあの爆弾は偽者だと教えた
「すみません、なかなか言い出せず」
「俺は途中で気付いてたけどな」
「なら教えてくださいよ」
「悪い、つい」
「ついってあんた・・・」
割れた窓ガラスに目をやる
「気にしないでください。ガラスの取替えなんて安いものですから」
「せや。悪いんわ全部アンチの連中や」
とりあえず全部アンチレイプ同盟のせいにして事を収める
「しかし、偽とはいえこないな事カマすとは穏やかやないな」
「今回の件は一部の過激派の方たちの強行だと思います。決して彼等の総意ではないはずです。お二人にはこの件は一切他言無用でお願いしたいのですがよろしいですか?」
「なぜだ?」
一刻も早く奴等の強行を知らせるべきだと考える隊長にとってその申し出は不自然だった
「これ以上ことが大きくなると必ず怪我人が出ます」
もしこれが初代会長である祖父の耳に入れば、ほぼ確実に犠牲が出る
過激派を抱えているのはお互いさまである
「敵対関係とはいえ、決して傷つけあう関係ではありません。最低限のルールは守るべきです」
「わかった。秘書さんがそう言うなら」
「おおきに隊長はん」

(なんでゆっくりレイプごときで、この人達はこんなにも真剣になれるのだろう・・・・)

本人たちにとっては真面目な会話でも、ハタから見たら結構異常な会話だったりする





(胃がキリキリする・・・)
あれからすぐ解散となり、彼は家に戻ってきた
「ただいま」
「おかえり」
「ごめん、すこしだけ良い?」
出迎えてくれたゆっくりふらんにそのまま枝垂(しだ)れかかるように寄り添い抱きしめた
「どうした?」
「少し・・・・・・疲れた」
災難を引き寄せる自分にツクヅク嫌気がさした

「すいぞくかん、すごくたのしみ」
「そうだね」
心の底から同意した
「おいおい、その年で玄関露出ファックは上級者すぎやしないか?」
「全然違うから」
ちょうど父が帰ってきた
「今日は早いね」
「そういえば定時で帰ってくるの久しぶりだな。ところで水族館の料金聞いてきたか?」
「うん。飼いゆっくりのタグがあれば子供料金で入れるって」
「その件なんだがな」
「 ? 」
父は一枚のチラシを出した
「こっちの植物園に行かないか? 今『ゆっくりのツタ』フェアをやってるみたいなんだ。レイパーとしてこれはなかなか興味深い」
「・・・・・・」
「お前明日も学校半日だろ、電車賃出すからこっちでも飼いゆっくりが入場可かどうか聞いてきてくれ」

息子が父の延髄に蹴りを放つのは、それから3秒後のことである

fin

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最終更新:2022年05月03日 22:12