※このSSは、ゆっくり虐めSS「
赤い靴」よりお借りした設定が含まれております
キャベツ
「むーしゃーむーしゃーしあわせぇ~♪」
ここは人間の畑、植わっているのはなんとも大きく瑞々しい立派なキャベツ。
そこで食事をしているのは1匹のゆっくりれいむ、ソフトボール程の大きさから見るにまだ子供だろうか。
「ゆゆーん、ここはとってもゆっくりできるよ! なんでみんなこないんだろう?」
群れのゆっくり達は人間の恐怖を充分理解している。そのため不用意に人里に近づくような愚は冒さない。
しかし、どのような賢明な集団においてもそれに背く者は出てきてしまう。
このちっこいれいむも例にそぐわず、比較的利口な群れのゆっくりにおいては馬鹿な部類であった。
もっとも、れいむ自身に悪意は無く決して人間を馬鹿にしていたり、あるいは群れや家族に対して反発しているわけでもない。
ただそれらを理解するにはあまりに経験が少なく、また純粋でありすぎた。
そのため好奇心に勝てず単独で人里へとやって来てしまったのだ。
そうしてれいむは人間の畑へと辿り着き、そこで見つけたおいしい野菜に夢中になった。
森の中ではこんな丸い変わった草なんて見たこと無い。
なんだか良い香りもする、食べられるだろうかと口にしてみた。
するとその葉はなんとも柔らかく甘いではないか! いつも食べている草に比べなんとおいしいことだろう!
れいむはあっという間にキャベツの虜になってしまった。
そうして今へと至る。
「けぽぅ・・・いっぱいたべたらなんだかねむくなってきちゃったよ・・・」
キャベツにはメラトニンと言う物質が含まれており、これには睡眠作用があるそうな。
ゆっくりにホルモンが効くかはわからないが先程までの興奮による疲れ、そしてたらふく食べた満腹感かられいむは睡魔に襲われた。
「ゆ! いいことおもいついたよ!」
そう言うとれいむはキャベツの外葉をめくり、中をくり抜き始めた。
そうして出来上がった中が空っぽのキャベツ、この中にゆんしょゆんしょと潜り込み外の葉を戻し蓋をした。
即席のベッドといったところか。キャベツの中は適度にヒンヤリとしており、また程よい弾力を持っていた。
「さすがれいむ、てんさいだね! これでゆっくりねむれ・・る・・よ・・・・・zzz」
こうしてキャベツに包まれたれいむは何とも言えぬ幸福感に満たされ、深い深い眠りへと誘われていった。
「お、ここの畑も良い出来だな!」
数分後現れたのはここの畑の主人、今はまさしくキャベツの収穫期なのである。
テキパキと手馴れた様子でキャベツを収穫していく男、この瞬間が農家にとって努力の報われる至福の瞬間なのだ。
そうこうするうち、男の手はれいむの眠るキャベツへと近づいてゆく。
そして・・・
「よっと! こいつもズッシリしてやがる、中身の詰まった良いキャベツだな!」
気付かずに男はれいむごと収穫してしまった。
一方れいむもよもや自分が収穫されるとは露にも思わず、涎をたらして夢のなかである。
そうしてれいむは他のキャベツ達同様に出荷されていくこととなった。
数時間後・・・
辿り着いたは町の洋食屋、れいむキャベツはここへと卸されやってきた。
時刻は夕刻、調理場はディナーの仕込みに大忙しでまさに戦場である。
まな板の側に詰まれたキャベツ達は目にも留まらぬ包丁捌きであっという間に千六本へとその身を変える。
いよいよれいむキャベツの番となった次の瞬間
「よし、千切りはこんなもんでいいだろ。 残りの分スープに回してくれ。」
「わかりましたー。」
こんなやりとりを経て、間一髪れいむは細切れになるのを免れた。
しかし、ここで切られてしまったほうが幸運だったのかもしれない・・・。
プスッズリズリ・・・プスッズリズリ・・・
鍋側に運ばれたれいむキャベツの外葉が串により固定されていく、こうしてキャベツの煮崩れを防いでいるのだ。
ここの洋食屋の人気メニュー「丸ごとキャベツのチキンスープ」の仕込みである。
このスープは丸ごとのキャベツと鶏の骨付きモモ肉を、各種香味野菜と共に煮込んだダイナミックな料理である。
作り方は固定したキャベツを大鍋の中央に鎮座させ、周囲と鍋との間に玉ネギや人参などの野菜を隙間無く詰めてゆく。
その上に骨付きチキンを乗せヒタヒタになるまで水を注ぎ、弱火でじっくりと煮込んでゆく。
そうして充分に火が通った所で少量の塩コショウで味を整えて完成、実にシンプルである。
だがそのシンプルさゆえ素材の旨味が十二分に引き出される絶品の一品である。
そのためこの店は、毎日新鮮な野菜を農家に卸して貰っているのだ。
れいむキャベツも上記のレシピ同様に鍋へと収められ、そして火にかけられた。
5分後
「んぅ~・・・ぽかぽか~・・・」
10分後
「んぅ・・・? んんん・・・」
20分後
「ゆがああぁぁぁぁ!! あぢゅいいいいいい!!?」
ここでようやくれいむは目を覚ました。
「なんでこんなにあついの!? れいむはゆっくりここをでるよ!!」
暴れてみたがキャベツの葉はピクリともしない。しっかりと固定されてしまっているためである。
ならばどうだとキャベツに齧りついたところ
ジュンジュワァ・・・
「あぢょぢょぢょぢょ!?」
れいむの口は熱せられた汁により火傷を負ってしまった。
しかし涙を流したところで現状を打破出来る訳ではない、れいむは泣きながらキャベツを齧り続けた。
シャグ、ゆぎぃ!・・・シャグ、ゆごぉ!?・・・シャグ、ゆべぇ!!目に入っだあぁぁぁ!!!・・・
そうしてキャベツ汁の熱と水分にやられ、れいむの口が真っ赤なタラコになる頃ようやっと外が見えてきた。
「ゆぅ・・・ようやくおそとにでられるよ・・・」
れいむは後悔していた。
人間の里なんかに近づいた結果不幸な目にあってしまった。
ここから出たら森へ帰ろう、そして二度と人間には近づかずゆっくりと平和な日々をすごそう。
そう決心したれいむは最後の薄皮へと歯を立てる。
プシイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ・・・・・
「!!!???ゆげぼべばっぺぽぷぴぃいいぃ!!???」
歯がキャベツに小さな穴を穿った瞬間、熱々に熱せられた熱湯がさながらレーザーのように勢いよく発射された。
そしてそのレーザーはれいむののどちんこにピンポイントヒットを叩きこんだ。
普段触らない様なデリケートゾーン。そこへの突如として襲い掛かる激しい急襲、しかも熱々。
呼吸すら満足に出来ずれいむはエヅキながらのたうち回った。
しばらくして立ち直ったれいむは外へ出られないことを理解した。
外には熱々のお水がいっぱいある、何故こんなことになったかは解らない。
だが、今外へ出てはずっとゆっくり出来なくなってしまう・・・!!!
餡子脳にはこれが限界だったが、それでも絶望を感じるには充分だった。
そこでれいむはいつかキャベツが冷えるという僅かな希望に全て賭けて、ゆっくりとキャベツサウナに耐えるという決意を固めた。
しかしその希望は一瞬で潰えることとなった。
「・・・ゆゆ!? はっぱさん、ゆっくりがんばってね!!」
「おみずさんはいってきちゃだめだよ! ゆっくりしないでね!!」
「なんでおみずさんれいむのいうこときいてくれないのおおおお!!?」
れいむが齧ったためキャベツの強度は限界に来ている。
先程貫通した穴は真っ赤に腫れたタラコ唇が千切れ、偶然にも穴を塞いでいた。
だが饅頭の皮では長くも持たず、今まさに熱湯の浸水は再開された。
「ゆぐうぅぅぅぅっっ!!!」
とっさにれいむは自身の背中を穴へと押し付け蓋をした、熱湯に満たされてはゆっくり出来なくなってしまうからだ。
これでは背中に火傷を負ってしまうものの、命まではとられはしない。彼女の判断は最善のものだっただろう。
「ゆ、ゆ、ゆごおおおおぉぉぉぉ!!???」
饅頭の皮は限界に達し、れいむの体内に熱湯が勢いよく流れ込んできたのだ。
全身の餡子が熱い液体に溶かされていく苦痛にれいむは恐怖した。
しばらくしてれいむの体は2倍ほどにまで膨らんでしまった。
れいむは必死に歯をくいしばった、だがもはや限界である。
「・・・!!! うぉっろっぱあぁぁぁぁおろおろおろおろ・・・」
盛大に口から汁子を流し始めたのだ! その様はまさにぶっさいくなマーライオン!!
れいむは悲しかった、頑張ったのに結局死んでしまうことになってしまった。
だが反面、ようやく楽になれるという安らぎおもこの時感じていた。
ところが・・・
(・・・!!?? なんでまだぐるじいぃのおおおおおお!!!??)
キャベツに包まれているため餡子が漏れることなく、れいむは体を失ってもなお意識を保っていたのだ。
本人の気持ちとは裏腹にれいむは逝くことができず、数時間たっぷり釜茹でを味わうこととなってしまった。
数時間後・・・
「なんだこれ・・・」
そこには怪訝な顔をした調理師達に囲まれるキャベツスープがあった。
いつも通りの丁寧な仕事で仕上がったそれは実に旨そうである。
ただ、キャベツが黒く変色していることを除いて・・・。
「キャベツの病気かなんかかね? 何か甘ったるい臭いしてるし。」
「変な汁出てますよ、これ・・・」
「これは客に出すわけにはいかんなぁ、とりあえず開けてみるか。」
そうして開かれたキャベツからは勢いよく餡子が流れ出した。
調理師達はその中から僅かに原型をとどめたリボンを見つけ出し、これがゆっくりであったことを理解した。
閉店後・・・
「見た目はアレですが結構いけますね、これ。」
「だな。 こうなると鶏肉から逆に臭みを感じちまうがそれ以外は結構うまいな。」
れいむ入りスープは賄いとして振舞われていた、食材を無駄にしないと言う料理人のプライドである。
最初は皆おっかなびっくり恐る恐る口に運んだのだが、このスープが思いのほか旨く調理師たちの評判は上々だった。
じっくりと長時間意識のあるまま煮込まれたゆっくりの甘さは、恐怖と苦痛により極限の域に達していた。
だがそこに野菜たちの自然な風味と旨味が加わり、全体としては何とも心地よいスープに仕上がっていたのだ。
数日後・・・
この洋食屋に「丸ごとゆっくりキャベツの洋風汁粉」が追加された。
巷で噂の人気スイーツ(笑)として天狗の新聞に取り上げられるのは、また別の話である。
終われ
後書き
冒頭に書いた「赤い靴」の設定ですが、餡子がなくならなければ体がなくなっても意識が残ると言うアイデアをお借りしました。
煮込んでいる時にふと思い出して、コレだ!!ってなわけでお借りしてしまいました。
こんな駄文に勝手に用いてしまい申し訳ないっす(・ω・`)
他に書いたもの
最終更新:2022年05月03日 16:00