※修正してたらまるで別物になりました、すいません
もやし
昔々、2つの国で大きな戦争がありました。
この西と東の2国、所有する土地は全体的に痩せており、僅かな作物を生み出すにも広大な敷地が必要でした。
そこで隣り合う2国は猫の額ほどの土地を巡っては日々戦いに明け暮れていたのでした。
そんなある日、西の国の前線の砦、そこには傷つき疲弊しきった兵達で溢れかえっていました。
一時は優勢に見えた西軍ではありましたが、東軍の猛攻に合い砦まで後退したのです。
ついには東軍にぐるりと囲まれてしまい手も足も出ません。
幸いにも頑強な城門が突破されることはありませんでしたが、人間そういつまでも狭いところに篭って居られません。
中でも特に問題となるのは食料事情です。周囲を取り囲まれたこの状況では兵糧を補給する手段はないのです。
しかも悪いことは重なります。
「あああああああ!!!??」
「ゆゆ!? しずかにしてね!!」
「ここはれいむたちのゆっくりぷれいすだよ!! さっさとでていってね!!」
ここのところの善戦によりいささか浮かれていたせいか、砦の管理はずさんになっていました。
その結果、ゆっくり達が住み着き備蓄していた食糧を食い荒らしてしまっていたのです。
「ぷんぷん!! おにいさん、ゆっくりしないではやくぴいいぃぃぃぃ!!?」
「畜生!! てめーら一体どうしてくれるんだ!!」
怒りに任せてぶちゅぶちゅとゆっくりを足蹴にする男、そんな彼に上官は静かに告げます。
「落ち着け、パンが無ければゆっくりを食べればいいんだ。怒りに流されて貴重な食料を無駄にしてはいけない。」
上官に諭されて男は渋々と足をどけます。そこにはぐちゃぐちゃに歪んだ饅頭がありました。
潰れてはいますがゆーゆーと何やら呟いているところを見ると、とりあえず命は拾ったようです。
「そいつは流石に食えんな。そこらのと適当に子供作らせてそれを食うか。」
こうしてゆっくり達の養殖が始まりました。
「「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆ!!」」
今日もまりさとれいむは無理矢理頬を擦り合わせられます。
強制的な快楽を与えられる2匹の顔に恍惚は見られず、只ひたすら泣くばかりです。
「「もうごんなのやだああああああ・・・・・ずっぎりー!!」」
絶頂に達したれいむの頭より蔓が延び小さな果実が実を結び始めます。
「おねがいでずうぅ!! れいぶのごどだべでもいいでずがらああああ!!」
「あかぢゃんを!! もうばりざだぢのあがぢゃんどらないでぐだざいいい!!」
ですが男達は2匹の言葉など何処吹く風やら、頭上のそれが2寸ばかりの大きさになったところで淡々と回収を始めます。
「うぎぃ!? いぎぃ!? ひぎいいぃ!!」
「あ”あ”あ”ああああああああ!!!!!」
ブチブチと音を立て赤ゆっくりを摘み取るたびに、れいむは短く区切られた悲鳴をあげます。
それを見つめるまりさも、ただただ濁った呻きをひり出すのみです。
当の赤ちゃんも精力の供給を絶たれ余程に苦しいのか、白目をむくなり歯を食いしばるなり思い思いの苦悶を顔に浮かべます。
しばらくする頃にはその身の痙攣も治まり、やがて静かに静かに仄暗く影を落としその顔に皺を刻んでいくのです。
両親は生まれる事無く生を終えた我が子達に涙を送るだけ、ただただ懺悔の言葉を吐き出すのみなのでした。
当初はどうなることかと思われたゆっくりの養殖でしたが、ことは思いのほか順調に運びました。
「ほれ、さっさと口開けろ。」
「ゆ、ゆっくりやめてね!? ゆっくりやめてね!!ゆっぐんむうううう!!!??」
「残さずきちんと食えよ。ほれ、むーしゃ、むーしゃ。」
「んんん・・・んぐ!! ゆべええぇぇぇ!! のんじゃっだああああぁぁぁ!!!」
人間が食べられない土埃や同族の成れの果てを無理矢理飲み込ませてやる、それだけで定期的に交尾させられる程にまで回復するのです。
ただ難点をあげるならば、甘くしつこい饅頭を食べ続けるというのはいささか苦しいものでした。
しかし、些細なことと思われたそれは、やがて思いも寄らない大問題へと発展するのです。
「現在12人の者に脚気及び壊血病の症状が現れています。このままでは生命に係わります。」
「んむ・・・もう長くはもたんか・・・。」
篭城も10日を過ぎる頃、饅頭のみという食生活ではどうしても栄養に偏りが出てしまい、ついには体調を崩す者が現れ始めたのです。
その症状は酷く、全身むくみ目は霞み、
おまけに戦いで受けた古傷が開くなど正に泣きっ面に蜂でした。
この頃には誰しもがゆっくりを見ることすら嫌になっていましたが、生きていくためには食べなくてはなりません。
その日も男達は延々とゆっくりをすっきるさせる仕事に就いていました。
赤ちゃんを毟り終えると、あとはひたすらゴミを口に詰めていきます。その顔はパンパンに膨れ今にもはち切れんばかりです。
そうして1人の男が更に詰めんとゴミ山に手を伸ばし、ある物を掴んだところでその手は止まりました。
その手に握られていたのは萎れた蔓、かつて赤ゆっくりの実っていたそれです。
「・・・・・・これ、食えるかな?」
いつもならゆっくりの餌にする所ですが、少しでも甘みから逃れたいがために男は思い切ってそれを口に含んだのです。
「あがぢゃんのごはんんんんん!!!」
「たべないでね!!? たべないでねえええええ!!!」
それを食べる赤ちゃんは既にこの世に居ないのですが、ゆっくり達には理解出来ていないのでしょうか。
そんなゆっくり達の叫びを男は無視し、餡子に染まった頭でぼんやりと咀嚼を始めます。
途端に男の口に広がる青臭い風味、懐かしいその香りに思わず男は涙を流してしまいました。
茎の中に餡子が含まれたそれはお世辞にも美味しいものではありませんでしたが、今の男にとっては正に至高の味でした。
舌が、胃が、腸が。餡子に染まりきった体の細胞全てが更にこれを求めて大きく蠕動するのを感じます。
男は狂ったように残りの蔦を貪り続けました。ただひたすら食べて、食べて、食べ続けたのです。
やがて全身の細胞が眠りから覚め力強く雄叫びを上げるのを確認した男は、大きく声を張り上げたのでした。
これからというもの、男達の食料事情は一変することとなりました。
それまでは赤ゆっくりをそのまま食していたのですが、赤ゆっくりをすっきりさせて生えてくる蔓を収穫するようになったのです。
「ゆゆぅ!? にゃんだかへんぢゃよ!?」
「むじゅむじゅしゅりゅよ!!」
「あかちゃんだめー!! ゆっくりできなくなっちゃうよー!!」
「「ん、ん、んひょぉぉぉ!! ちゅっきりー!!」」
「だめえええぇぇぇぇぇ!!!」
黒ずんで行く小さな体から何本もの細い蔓が伸びていき、やがて伸び切ったところで男達に手際よく毟られていきます。
後に残った黒い塊は親ゆっくりの口に放りこまれます。限られた資源は無駄に出来ないのです。
こうしてゆっくり達にとって地獄のような日々は、彼等が友軍に救出されるその日まで続くのでした。
後日、東西の両国は休戦を結び平和が訪れました。
それはこのゆっくりもやしの出現によるものでした。痩せた土地でもよく育つこの作物の出現により人々は争わずとも良くなったのです。
そうして今日、多くの血が流れ赤く染まった平原も、今日に置いては餡子で黒く輝いています。
かつて英雄たちの篭城したあの砦も、今では農業開発所として第二の道を歩んでいます。
キーンコーン
「はい、今日はここまで。今日やった所は今度のテストで出すしますから、きちんと復習をしておいてくださいね。」
書類をまとめながら教師は窓の外を見る。
そこでは顔の下半分の地面に埋められたゆっくり達が一面に広がっている。
それらは等しく頭から蔓を伸ばしており、作業着を着込んだ人々がポキポキと小気味よい音を立てそれを摘んでいく。
ゆっくり達の悲鳴が小鳥のさえずりのように響く、そんなのどかな午後。
今日もこの国は平和です。
終わり
気になった所を修正していたらこんなことになりました。まぁ、あんま良くなってないですが。
作者・ムクドリ('A`) の人
最終更新:2022年05月03日 21:43