その日村に数十の球体が押し寄せた。
高速で転がるその球は村中を荒らしまわった。
もちろんそんな狼藉を許す村人はいない。
しかし、とっさに投げた石を軽くはじき、不用意に触れた者は
その身にまとった刺によってけがをする始末。
さて、どうしたものかと思ったとき、その球体から声が
「ゆっくりたべものをさしだしてね!」
なんと、そこにはゆっくりが入っていたのだ。リーダーであろう黒い帽子をかぶったゆっくりは言う。
「はやくたべものをだしてね!でないとこのちゃりおっとがむらをじゅうりんすることになるよ!」
その球体はちゃりおっとというらしい。対策がない現状ではどうしようもない。
皆で相談し、とりあえず食料を出せばこの場は収まるという結論のもと、夏祭り用にとっておいた果物で手を打つことにした。
山と詰まれた果物にゆっくりたちはたらす涎をぬぐうこともせず、その球体を近づけた。
しかし、球体が阻み、果物はつぶれるばかり。すきまからにじんでくる汁に舌を這わせることしか出来ない。
じれたゆっくりが言った「ゆっくりあけるからたべものをいれてね!」
驚いた村人は思わず言う「いいのかい?でもどう入れたらいいんだい?」
「いいからさっさといれてね!じゃないとひどいめにあうよ!」とその球体を開くゆっくり
ほかのゆっくりたちも続いて球体を開く。
「じゃあ入れるよ」村人達は籠に、ちゃりおっとを開いたゆっくりたちを片っ端からつめていく。
「なにするの?やめでええええええ」
事の不利を察しちゃりおっとを閉ざし、逃げ出すゆっくり
慌てて閉めようとして、皮を挟まれ、悲鳴を上げるゆっくりもいたが、なんとか逃げ出す
追いかけるも森の中を軽捷にくぐりぬけていくゆっくりの早さにはとても追いつけない。
しかし、追跡はすぐに終わった。
ゆっくりたちが逃げた先にあったのは坂だったのだ。
球体であるチャリオットにはブレーキは存在せず、ただ下に転がっていく一方。
そしてその先には・・・
「いけだよ!ゆっくり・・・はやくとまってえええええ」
次々に池に入っていくゆっくりたち。
「みずがはいってくるよおおおおお、だしてえええええ」
空気穴から水が入り、体がふやけていくゆっくり
「はやくでて、おかでゆっくりするよ!」
とあせってちゃりおっとから出るもバランスを崩し池に飛び込むゆっくり
「ちゃりおっとをうごかしてもどるよ!」と必死でちゃりおっとを回すも
水の上を空回りして一向に岸に辿り着かず逆に岸から離れていくゆっくり
「「「「ばやぐだずげでえええええ」」」」
村人達はその姿を満足げに眺め、荒らされた村の修理に向かったのであった。
最終更新:2022年05月04日 22:14