「どうかひはへいはは?」
「みょん、さっぱり……みょっ!?」
集合場所へ向かう途中で合流したありすの口いっぱいに溜められた食べものを見てみょんは目を見開いた。
うまそうな虫にどこにあったのか花に木の実にきのこ。
みょんが見つけたようなみすぼらしい雑草は鼻から眼中に無い様子で
みょんにとってごちそうといってしまって差し支えの無いものばかりだ。
「あぁあぁみょんっはぁへんへんはへへえ」
ありすは口に一杯ものを入れながら何か喋ってるので
みょんには何を言っているか聞き取れないがそれはどうでもいい。
みょんはただただありすの狩りの手腕に感服してありすのことを完全に見くびっていた自分のことを恥じた。
それから何度か補給のために狩りを行ったが、成果はにたようなものだった。
その3回目からはみょんは食料を探すのは諦めて
ありすのために危険な相手に対してのボディーガードをやるようになった。
とは言うもののありすは滅多に危険な相手と出会うような時間帯、場所を選ぶことはなかったのでただの付き添い同然だったが。
まるでみょんは自分がありすの狩りの弟子になったような気分になった。
この頃になるとみょんはすっかりありすの狩りの腕に尊敬の念さえ抱いていた。
いや、その尊敬はありす自身にも向けられていた。
みょんにとって、一芸に秀でたものはその技術だけでなくそこまで技術を磨いたそのものの
心、人生、人柄全てが尊敬の対象だった。
もうありすへを見下すような思いは殆ど残っていなかった。
「かりのうではおみごとみょんね
みょんにはまねできないみょん」
そんな思いが、みょんの口からこんな言葉を零させた。
自分が人を褒めるというのも珍しいと言ってからみょんは驚いた。
そもそも人付き合い自体が希薄なのも原因でもあるが。
「むだぐちたたいてないでしたをうごかして」
ありすは忙しいからか、不機嫌そうに返事した。
「しゃべってるからうごかしてるみょん」
まあありすに対して尊敬の念を抱き始めたとは言っても
彼女の一本木で自信過剰な性格は依然としてみょんにとってからかい対象ではあったのだが。
その内にその付き添いも無用と感じて、みょんはせめて武器でも作ってやろうと思い
細い蔦を編み、その先に石片を結びつけた鎖分銅のような武器を作りこっそりとありすの荷物袋に入れてやった。
気付かれるかと思ったが意外とそういうことはなかったので影でくすくすと笑わせてもらった。
せっかく作ったのだからその内何かの役に立つといいな、とみょんは木々の合間から見える青空を見上げながら思った。
そんなことをしながら永夜緩居への道中を進んでいく。
段々と、みょんにはありすが自分には無いものを持っているのだということが理解できた。
だからその分お互いに短所を補い合って行こうと連携を意識する。
思えば剣の道一筋、一匹狼のような生活を続けてきたみょんにとってこんな風に仲間と力を合わせて困難に立ち向かうのは初めてと言っても良かった。
一匹では至れないところへと、二匹なら簡単に至れることの高揚感がみょんを昂ぶらせた。
「わぁ、こんなにたくさんごはんもってくるなんてすごいねみょん!」
「…………みょん」
ひょっとしなくても嫌味だろうか。
ありすへのそんな尊敬の重いがあるからこそ、このまりさのことが余計に疎ましく感じた。
こいつは足手まといだ。
ありすとみょんなら二匹で一匹のままでは出来ないことが出来る。
でもこいつは全くの逆だった。
こいつのせいで本来なら出来ることが出来なくなる。
みょんとありすだけだったのならば、きっとこれまで永夜緩居に訪れた誰よりも早く永夜緩居にたどり着けただろうに。
きっぱりと「邪魔だ」「足手まといだ」そう言ってやりたかった。
だが多分こいつはそんなことを言えば余計に使えなくなるどうしようもない奴だとわかる。
みょんもこれ以上足を引っ張らせる気は毛頭なかった。
だから適当にフォローしてやっておいてお茶を濁した。
何よりもみょんを苛立たせたのは、このまりさをありすが痛く気に入っていることだった。
ありすが何故こんなグズに執心するのかみょんには全く理解出来なかった。
そうやって進んでいき、ついにみょん達は永夜緩居の入り口へと辿りついた。
少なくともゆかりんの地図にはそう記されているらしい。
まあ信用して問題ないだろう、ここが永夜緩居の入り口であるといことにおいてはだが。
その永夜緩居がいかなものかということについてはゆかりんの言葉には信用は置けない。
これで最後だ、と思いながらみょんは振り返り後ろの二匹に尋ねた。
「ほんとうにいくのかみょん?」
「はぁ?」
確かにありすと協力することでみょんは一匹では無理だということをいくつも為す事が出来ると知った。
だがここからはみょんの勘が正しければ恐らくこれまで多くのゆっくりを喰らってきた者たちとの戦いになる。
その戦いに置いて、まりさはもちろんありすだって足手まといになるだろう。
それにありすの狩りの腕がこんなところで駄目になってしまうというのはもったいないとも思った。
「あたりまえでしょ、ここまできてわざわざかえるりゆうがないわ」
予想通りありすはみょんの申し出を突っぱねる。
それでも駄目で元々だとみょんはありすへの説得を試みた。
「それはこのさきにゆっくりぷれいすがあるとかていしたばあいだみょん
このさきにはなにがあるのかわかったもんじゃないみょん
どうちゅうでみせてもらったみょんがありすくらいのちからがあるなら
このままもどってしずかにくらしたほうがよっぽどあんぜんだみょん」
「さっきからなんなの?もしかしてありすのゆっくりぷれいすをひとりじめするつもりなの?
ばかなの?しぬの?」
ありすは苛立ちを露にみょんのことを睨みつけた。
まあわざわざここを目指すくらいだ、戻れない理由もあるのだろうから仕方ないとみょんは諦める。
ひょっとすると、今になって斬り捨てるつもりかと警戒しているのかもしれない。
なるほど、そう言う手もあるかなとみょんは思いそしてやめた。
どうにも気分が乗らない。
そして今度はまりさに尋ねた。
「まりさはどうしたいみょん?
みちはわかってるからゆっくりきをつけてもどればかえれなくもないみょん」
気をつければ帰れるなど口から出任せだ。
こんなグズがあの険しい道のりを戻ろうとすればのたれ死ぬに決まっている。
それでもせめてこの足手まといが消えてくれれば楽になると思い尋ねた。
「……ま、まりさはみょんといっしょにいきたいよ!」
やはり駄目か、とさっさと諦めてみょんは溜息をついた。
「もうどうなってもしらないみょん」
そう言って気を取り直すと、目の前に広がる永夜緩居への入り口の目印と言われた岩に目をやる。
不安と、そしてこれから戦うであろう相手のことを思い抑え切れない高揚感に体を震わせみょんは一歩を踏み出した。
永夜緩居の姿は確かに噂どおり美しくゆっくり出来そうだと思わせるものだった。
ただし、それはやはり見てくれだけだった。
永夜緩居は快くみょん達を美しい毒花が迎え入れてくれた。
判別できたわけではないが、ゆかりんへの事前の知識がそう思わせた。
「むーしゃ、むーしゃ、しあおげええええええ!?」
真っ先に食いついたありすが毒に当てられて悶え苦しんでいた。
案の定、といったところか。
「だからいったみょん」
このまま見捨ててやろうかと思ったが、持ってきた薬草の効果を確かめる意味で
ありすに一つ解毒効果のある実を放ってやる。
「どくだみょん、とりあえずやっこうのあるきのみをしゃぶってればだいじょうぶだみょん」
これで効果があるかどうかは半信半疑といったところだ。
専門家ならわかるのだろうが、まあ最善は尽くした。
一応放っておくのも何なので背中を擦ってやる。
ついでにまりさに薬やら何やらを入れた葉っぱと蔓で編んで作った荷物袋を渡しておいた。
せめてこのグズに荷物もちくらいはさせないと割に合わない。
本当はもっと早い段階で脱落して欲しかったが、ここまで来たのだから仕方ない。
せめて有効活用しよう。
「な゛によごれええええええええええ!?
どぼぢでごんなゆ゛っぐりぢでないおはなざんがはえでるのおおおお!?」
「はえてるものはしかたないみょん、だからしんちょうにっていったみょん」
本当に、生えてるのだから仕方ないとしか言いようが無い。
「そもそもでんせつのゆっくりぷれいすっていうのが
みょんたちゆっくりがかってにいっているだけで
永夜緩居がじぶんでそういってるわけじゃないみょん
ほんとにそれをたしかめたゆっくりなんてだれもいないみょん」
「ふん、ありすはうわさばなしにむらがってわめいてるいなかものたちとはちがうわ
ちゃんとしたすじからのじょうほうをつかんだんだもの
みためにだまされたけどきっとまだ永夜緩居にたどりついてないだけ
もうすこしおくにいけばとかいはなゆっくりぷれいすがあるはずだわ」
「たしかなすじ、かみょん
どうせゆかりんのことだみょん」
ゆかりんの名前が出て、ありすが硬直した。
みょんはやっぱりな、と苦々しい顔をした。
「そいつがいちばんうさんくさいんだみょん」
ゆかりんがありすに言ったであろうことがウソなのはみょんにとって既に確信であった。
まず間違いなくこの永夜緩居はゆっくりにとっての死地だ。
きっとこの毒花などこの場所の危険のほんの始まりに過ぎない。
未だ敵の姿は見えない、だが強敵の気配にみょんは餡子の芯までゾクゾクするような快感を覚えた。
みょんはありすを宥めると、再び歩みを進めていった。
途中、まりさが別の花畑でトンチンカンなことを言ったりした以外は
何事も無く、不気味に静かに進んでいった。
ありすが小まめに目印になる石を置いていこうと言い出したのには流石と思わされる。
思っていた以上に頼りになるゆっくりだ。
だんだんと周りの草が長くなり、体が隠れるほどになった。
視界も悪い、もし奇襲をかけるなら自分ならここでかけるだろうとみょんは思った。
頭の中の餡子がぴりぴりとするのを感じる。
全身の饅頭皮が強張った。
「ねえ、みょん、ありす
まりさね」
まりさの言葉に一瞬警戒が緩む。
それが合図だった。
その一瞬の気の緩みをついてそいつ等は瞬く間に間合いを詰めていた。
「え?」
まりさの間抜けな声が癪に障る。
「いたっ」
ありすのとぼけた声。
緑の草の間から棘だらけの禍々しい何かがありすへと伸びていた。
「ひ、いぎいいいいい!?」
「うごくなみょん!」
ありすの悲鳴を合図にみょんは腰に結んだ木の剣を抜いて未だ正体の掴めない緑のソレに切りかかった。
「っみょぉん!」
相手の目前で体が横になるように捻りをつけながら跳ね上がり、体を車輪のように回転させて斬りかかる。
みょんの修めた流派の基本である技だ。
振り下ろされるみょんの木の剣に触れた棘だらけの緑のソレがはじけて千切れる。
そして草を踏み分けて勢いよく地面に着地した。
それが地面に落ちるのには見向きもせずに草の間から覗くソイツをみょんは睨みすえる。
逆三角形に二つくっついたギョロリとした目玉、そして残るは一つとなった棘だらけで禍々しい鎌。
みょん達を襲ったのは蟷螂だ。
まさか虫とは、とみょんは驚くと共にニヤリと笑った。
「やっとおでましかみょん、またせすぎだみょん」
小躍りしたい気分でみょんはそう漏らした。
ついに待ち焦がれた恐るべき永夜緩居の魔物の出現にみょんは心の底から興奮したのだ。
これがゆかりんの手のものとは思えない、だがそれ以上に面白い好敵手に出会えて身震いした。
みょんの胸はこいつら相手に自分の腕を思う存分振るってみたいと打ち震えた。
「な、な゛によごれぇ……!?ぜんぜんどがいでぎじゃない゛ぃ゛!!」
「ありすもなにかいるとはきづいていたんだみょん?
さっきまであれだけびくびくしてたんだみょんね」
興奮すると無駄口が止まらなくなるのは悪い癖だった。
「じっでだのね゛ぇ!ごのう゛ら゛ぎりぼのぉ!!」
怒りで顔を歪ませたありすがみょんに向けて怒鳴った。
「しらんみょん
ただ永夜緩居のはなしはうさんくさいからそれをあばけば
みょんのながあがるとおもってありすたちにびんじょうしただけだみょん
いちおうとおまわしにあぶないからかえれっていったみょん」
「どごがどおまわぢな゛のよおおお!?
だいだいあ゛んなふ゛うに゛いわれだらぎゃぐになにがあるどおもうでじょおおおおお!?」
「しったこっちゃないみょん」
全くこの大事な時に鬱陶しい奴だとみょんはうんざりした。
「どおいうごどおおおおおおおお!?」
のろまなまりさの悲鳴がやっと辺りに響き渡った。
こいつは鬱陶しさでは比類無しかと呆れる。
「いまはありずがはなぢでるのおおおおお!!
ま゛りざばだばっでなざいいいいいいい!!!」
「わ゛がらないよおおおおおおお!!も゛うやだおうぢがえるううううううううう!!!」
「う゛る゛ざいだばれっでいっでるでぢょおおおおおおおおお!?」
さっきやられた顔の傷から餡子が吹き出るのも構わず怒鳴り散らすありすを横目で見てみょんは思わず苦笑した。
肝が据わっているんだか据わっていないのだかわからない。
「とりあえずさんじゅうはっけいにげるにしかずみょん」
ここからが正念場だ。
この肌があわ立ちそうな修羅場を乗り切り、あのいけ好かないゆかりんのやっていることを暴けばさぞや気持ちのいいことだろう。
何十対もの目玉が草の間から覗いていた。
ソレ等に対して木の剣で牽制しながらみょんはじりじりと後ずさった。
流石に理解が早いありすはみょんの言葉を聞いてまりさを連れて一目散に逃げ始めた。
緊急事態の判断力もそこまで悪くは無いようだと感心する。
「ゆ゛っぐりぢでぢゃだべだよみょおおおおおおおおん!!!」
一方のまりさはやはり緊急事態に置いてもグズであるようだった。
何のために残って相手を牽制していると思っているのだ。
「みょんにかまってるひまがあったらはしれみょん!
そうしてくれたほうがみょんもにげやすいんだみょん!」
「わかったよ!にげきれたらいっぱいゆっくりしようね!」
そんな暇あるものか、とみょんは一人吐き捨てた。
「こんどはこっちがまたせたみょん
じゃまものはもういないみょん」
やはり興奮していると無駄口が際限なく零れてしまうようだ。
これから始まる戦いを思うと楽しくて楽しくて仕方が無かった。
みょんは後退をやめると目の前の蟷螂達をぐるりと見回し、弾ける様に斬りかかった。
戦いの火蓋がきられた後はみょんは立ち止まらずに斬り付けてはその勢いでまた跳ね上がり別の蟷螂に斬りかかるのを繰り返した。
動きを止めればたちどころに囲まれてあの鎌の餌食になったことだろう。
だがその分一撃一撃は雑になった。
痛手は負わせるものの中々致命傷を与えることが出来ない。
ここで焦れてしまっては余計に手間取る。
落ち着け、とみょんは何度も自分に言い聞かせた。
そして蟷螂達にとってもみょんの強さは想定外であるように見えた。
心なしか動きが鈍い。
予想外の展開に躊躇しているかのように感じられる。
これなら行けるか、と気が緩んだのがまずかった。
一匹の蟷螂が飛翔するのに気付くのが僅かに遅れ飛び上がったところを狙い撃ちされ取り付かれる。
銀色の髪に鎌が食い込んだ。
逆三角形の顔についた牙をちらつかせてみょんの目玉に噛み付こうと頭を近づけてきた。
「っみょぉ!」
寸でのところで地面に転がって蟷螂を引き剥がす。
だが起き上がりの隙を突いて何匹かの蟷螂が鎌を振り上げ追撃されイニチアシブを奪われ一気に守勢に回ってしまう。
「そろそろひきどきみょんねッ!」
充分ありす達が逃げる時間は稼いだだろう。
肉薄してきた蟷螂の鎌を切り払いもう一撃を蟷螂の腹に目掛けて振り払い後続の蟷螂達の所に吹き飛ばす。
そして追撃はせずに一目散に後ろを見せて逃げ出した。
それから、如何せんこちらの方が足が遅いため何度も追いつかれたもののその度に迎撃する。
こちらを追うために大分相手の纏りが崩れたのが大きかった。
「おーい、だいじょうぶかみょーん」
そうして大分走った頃にやっとありす達に追いつくことが出来た。
置石が無ければはぐれて、それどころかこの最悪の場所で完全に迷子になっていたことだろう。
この状況になってやはりありすは自分には無いものをもっていると感嘆した。
「……あら、いきてたみたいね
ざんねん」
憎まれ口を叩きながらも顔は少し弛緩したものに見えた。
ひょっとしたら多少打ち解けているということなのだろうか。
「あ……よ、よかったよ」
幸いとも不幸にもとも言い難いが、まりさも無事なようだった。
とりあえず渡しておいた薬袋の無事を祝うか。
そんなことを思いつつまりさから傷薬になる軟膏を一つ取り出してもらった。
「みょーん、だいぶやられたみょん」
舌先に軟膏を少しつけて蟷螂にやられた傷口をなんとか舐めようと苦心しながら言う。
「じごうじとくよ」
「まったくだみょん」
こんなところに来るのだから本当にその通りだと思いみょんは腹から笑いがこみ上げてきた。
「あ、そうだありす」
ふと思い出してみょんは走っている最中ずっと口に咥えていた木剣とそれを結ぶ紐を取り出しありすに舌で渡した。
「なによ?」
「これむすんでほしいみょん」
「みじたくぐらいじぶんでやりなさいよいなかもの」
呆れ果てた表情でありすはみょんに言った。
「じぶんでやるとなんかゆるくなるんだみょん」
本当はそんなわけはない。
何千回と繰り返した動作だ、苦手なはずが無い。
だが打ち解けたことだし少しからかいがてらにやってやれと思い頼んでみた。
「しらないわよじゃあずっとおくちでくわえてればいいじゃない!?」
いい加減痺れを切らしたのかありすが怒鳴り散らした。
「べろがつかれるみょん」
少し打ち解けたかと思い頼んでみたのだが予想外に怒られて少々しょんぼりしてしまう。
「ゆ、それじゃまりさがむすぶよ」
と、横からまりさが手伝ってくれることを申し出た。
「みょん、たすかるみょん」
なんだか無性に腹が立って
よし、今後雑用はこいつに任せようとみょんは思った。
「で、どうするかみょん?」
身支度もめでたく終わり、興奮冷めやらぬ体でみょんはありすに尋ねた。
先の戦いのことが脳裏から離れずどうにもにやけた表情になってしまい少し困る。
「わかったわよかえるかえるおうちかえります
くそっ!だましたのねゆかりんめ!」
やっとゆかりんに騙されていたことを認めたありすは、一も二も無く永夜緩居からの脱出を承諾した。
「みょんにもまあわるいことしたわね、しつこいくらいちゅうこくしてたのにきかなくて!」
そしてプライドが傷ついたのか逆ギレ気味にみょんに向かって吐き捨てた。
「べつにいいみょん、こっちのがおもしろいしもとからひとりでもくるつもりだったみょん」
もう隠しても仕方あるまいと思い正直に自分の思惑を話す。
「ふん、このいなかもののものずきが」
「ものずきはよくいわれるみょん」
さあ本当に面白くなってきた。
もう堪えきれずにケラケラと笑いをあげながらみょんはありすと今後の方針を相談し始めた。
最終更新:2022年05月18日 22:49