「ゆっくりれいむ」




俺はめったに見かけない、胴付きのゆっくりれいむを飼っている。
理由は、炊事洗濯掃除等をやらせるためだ。一人暮らしなのでやる人間が自分しかいないのだ。
しかし、家のれいむは物臭なゆっくりらしく、洗濯も掃除も余りしようとしない。
毎日やるように言っても、
やらないので何度か、山の奥に捨てに行こうかと思ったが、
今も一緒に暮らしている。




「さーて、今日は風呂に入るぞ」
俺の言葉ににれいむは、びくっと反応した。
「な・な・ななにいってるのおにいさん、れれ・れれれいむはまだきれいだよ」
いくら風呂が嫌いだからって、
どもりすぎだろう。
「知るか、とにかく一緒に入るぞ」
「いやぁぁぁあ!!、おゆさんはゆっくりできないぃぃぃ!!!」
俺は、嫌がるれいむを引きずりながら風呂場に向かった。


 一般人にたまに間違えて覚えている人間がいるが、
ゆっくりの全てが、水に溶けるわけではない。
ゆっくりにとりや、ゆっくりすわこ等は、溶けないどころか、
水中で生活できるし、その方が、生存率が高かったりする。

そして、胴付きゆっくりは、水に溶けにくかったりする。
胴付きゆっくりは、
体の表面に数mm程度の特殊な皮が形成されている。
この特殊な皮が耐水性をもっているらしい、
ちなみに、饅頭が人型でも崩れたりしないのもこの皮の為だとか。

だからと言って、毎日胴付きゆっくりを風呂に入れるのはまずい。
水に溶けないので、問題がないように思えるが、
実は、ゆっくりは体が腐らないように、
防虫防腐効果のある、物質を体の表面に分泌しているのである。
風呂に入ると、この物質も汚れと一緒に流してしまうのだ。
ゆっくりんぴーすとかいうゆっくり愛護団体の研究報告によると、
夏場に毎日、胴付きゆっくりを風呂に入れると、
一月で半身が腐ったゆっくりになるんだとか。



そんなわけで、れいむは風呂が嫌いで、
そんなわけで、俺は、れいむを風呂に入れるのは4日に一度にしている。




「あ~~~~、いいゆだよ~~~、ゆっくりできるよ~~~」
とは言え所詮ゆっくり、
風呂に入ってしまえば風呂嫌いを忘れたように風呂でゆっくりする。
「体は洗ってやったんだから、溶ける前に出ろよ」
俺が、れいむと一緒に風呂に入るのは、
そういう趣味があるからではなく、
れいむがゆっくりしすぎて、溶けるのを防ぐためである。
他意はない。





体を洗い終わった俺も、湯船に入った。
「ゆゆんゆ、ゆんゆんゆん、ゆ!ゆゆ~ん」
れいむはご機嫌そうに歌っている。
「ゆゆんゆ・・・ねえおにいさん、これなんなの?」
れいむは、俺のすね毛を掴みながら聞いてきた。
「これは、すね毛って言って、足を守るためにあるんだぞ」
「ゆ!すねげさんがあるとおにいさんはゆっくりできるんだね!!」
少し違う気もしたが、めんどくさいので、
「そうだぞ~、ゆっくりできるぞ~」
と、答えた。











ゆっくりを飼ってよかったことは、早起きになったことか、
朝5:00には、「ゆっくりおなかがへったよぉ」と、起こしにくるのだ。
どこのお年寄りだ。

 今日も、朝早くに起こしに来た。
「おにいさんあさだよ。ゆっくりごはんつくってね」
自分で作れよこんちきしょうとは思うが、
もう一年近く同じよう名やり取りをしているので、諦めている。

「あ~まだ眠い」
働きに出るまで、約3時間ある、その分もう少し寝ていたいが、
飯を作るまで、れいむは起こし続けるし、
飯を作ったら、眠気は覚めていたりする。
なので諦めてさっさと起きる。

「ゆっくりおはようおにいさん」
「ん~おはろ~」
起きるとれいむがいつも通りすぐそばにいた。
いつものように、料理作るわけでもないのに、
エプロンをしている。
エプロンを着る時は、なぜか、いつもの巫女装束を着ない。
「はだかエプロンは、おにいさんがゆっくりできるよ!!」
とか、この間理由を聞いてもないのに言っていた。
俺をゆっくりさせるつもりがあるなら、ぜひもっと家事をしてもらいたい。



「さきに、いってまってるからゆっくりしないでごはんつくってね!」
「・・・あ~い」
冷蔵庫の中には、
パンとか調理しないでも食べれるものはいくらでもあるのに、
何でこいつは、わざわざ俺に朝飯を作らせるのだろうか?
台所のテーブルに行くれいむの後姿を見ながら思う。
それにしても、せっかくの裸エプロンも、
こいつでは、魅力は6割減といったところだろう。
あまり、肉付きが良くない体型だし、
ゆっくりだし、なんか表面がテカテカしてるし、
脚にすね毛がびっしり生えてるし、






すね毛?

「ほわぁぁぁぁ!!!!?!」
「ゆひぃ!?どうしたのおにいさん、わるいゆめでもみたの」
「今!現に!悪夢見てるよ!て言うか!
お前がどうしたんだよ!こっちの台詞だよ!
何だよそのもっさりした脚!」
「?・・・!すねげさんのことだね!
すねげさんがあるとゆっくりできるから、
きのうのよるにすねげのかみさまにおねがいしたんだよ!」



      • すね毛の神様がんばりすぎだろ、
俺だって誰かに頼られたりしたら、
張り切ってがんばったりもする事もあるさ。


「ゆゆ~んすねげさんとってもゆっくりしてるよ~」


きっとすね毛の神様も、
頼られて張り切っちゃったんだろうな、
何せ、すね毛だ。
『すね毛を生やしてください』
なんて極レアなオーダー、
きっと神生(?)初だろうよ。
今後あるとも思えない。
ダカラ、

レイムニ

スネゲハエテモ

シカタナイヨネ?










「なんて言うと思ったかこのやろぉぉぉ!!!!」
ブチブチブチブチィ
「ゆぎゃぁぁ!!」
俺は、れいむのすね毛を掴んでそのまま引きちぎった。
「なにするのぉぉぉ!!
すねげさんがないと、おにいさんが「ゆっくりできねぇよ!!なんで俺が胴付れいむに、
すね毛が生えてないとゆっくりできない人間になってんだよ!!
どんなHENTAIお兄さんだよ!!
上級者通り越して超級者の位置だよ!」


「おらぁ!ゆっくりできないすね毛はゆっくりしないで消えろぉ!」
ブチブチブチブチィ
「ゆぎゃああああ!ゆっくりできないぃいい!」

「ガムテープだぁぁ!まとめて抜けろぉ!」
ブチブチブチブチィブチィ
「れいむのすねげさんがぁぁぁ!!」

「オラオラオラオラ」
ブチブチブチブチブチブチ
「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ」

「オラ!」
「ユ!」

「」




















「すねげさんがないとゆっくりできないよぉぉぉ」
部屋の隅で、泣き喚くれいむ、
部屋中に飛び散るすね毛、
飛び散って張り付いたすね毛まみれのガムテープ


      • 地獄絵図だ。
と、こんなことしている間に、
もうそろそろ家を出ないと会社に間に合わない時間だ。
「れいむ!俺は会社に行ってくるからな!部屋の掃除くらい頼んだぞ」
朝飯は我慢しよう。食ってたら間に合わない。





























あ~、疲れた。
朝飯食ってなかったし、
朝っぱらから暴れたので、いつもよりも疲れた。
「ただいま~」
朝、掃除しろと言ったのを、珍しく実行してくれたらしく。
家の中は片付いていた。
「ゆっ、おにいさん、かえってきたんだね」
居間には、巫女服に着替えたれいむがいた。
もうすね毛は生えていない。
すね毛は・・・
「おにいさんのおかげでぜんぜんゆっくりできなかったよ。
でも、もう気にしてないよ、もっとゆっくりできる、
ふわふわさんがれいむに生えたんだからね!」

「・・・うん、その『ふわふわ』が何なのか一目みてわかったよ。
ありえねぇよ!何だよそれ!
その腋毛?気持ち悪いよ!
生えてきたってレベルじゃねぇよ!もっさりしすぎだよ!
自分の頭ぐらいの大きさの腋毛玉なんて始めて見たよ!
もっさりしすぎて、さっきから、
『人類は十進法(以下略)』のポーズしか取れてねえじゃねぇか!
俺が会社行ってる間何してたんだよ!腋毛の神様にお願いでもしたのか!」

「なにいってるのおにいさん?わきげさんはかってにはえて
「こないよ!腋毛は勝手に生えてこないよ、そんなには!
こっち来い、そんな腋毛修正してやる!」
「やめておにいさん!
そんなことしたらおにいさんがゆっくりできなくなるよ!」


どうやら、こいつは

毛が生える=俺がゆっくりできる

という式を、確立したらしい。
証明もしてないのに。







      • だめだこいつ
早く何とかしないと・・・








~あ~と~が~き~


初期のゆっくりっぽいものを
書こうとしてたんだ。
書こうとしただけで終わったけど。


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最終更新:2022年05月19日 14:23