昨夜、家に帰ったら荒らされた部屋のど真ん中で一匹のゆっくりがれいむ眠っていた。
何かむかついたので口を小麦粉で塞いで頭に紐をつけ、物干し竿に括りつけた。
「最新のニュースをお伝えします・・・」
テレビをつけるとそこには今日の気温が映し出されていた。
俺の住む地域は・・・・・・37度!
いくら夏とは言え暑いにもほどがある。
これじゃあ今夏もクーラー無しではやっていけないだろう。
おかげで電気代がかさんで仕方が無い。
(おにーさん、あついよ!おそとはあつくてゆっくりできないよ!)
俺が無慈悲な太陽をにらみつけるべく外に目をやると、吊るされたれいむが視界に飛び込んでくる。
その目は俺に降ろしてほしいと訴えかけているが取り合うつもりは微塵もない。
そんな俺に腹が立ったのか、れいむは意味も無く体をゆすって自分の存在を示そうとする。
(れいむをむししないでね!かわいいれいむをむししないでね!・・・ゆっ?)
そんな風に体をゆすったものだかられいむには見えない頭上の紐に変に力が加わり、ゆっくりと動き始める。
竿に括りつけられた部分を軸にして最初は前後左右に揺れるだけだったが、やがて回転に近い軌道になって行く。
更にその回転を止めようと必死に暴れるものだから更に回転が激しくなり、紐がもつれて収拾がつかなくなった。
まるで公転と自転のように大きな回転と小さな回転の2つの回転を同時に堪能しているれいむは目を回す。
口がないので吐くことはないが、その分不快感を解消することが出来ず、一層苦しい。
(ゆげえええええ・・・きぼぢわるいよおおおお!)
れいむから視線を外すとニュースはまた別の事件を伝えている。
なにやら今すさまじい勢いで経済発展している国で排気ガス等による大気汚染が問題になっているらしい。
そんな話題に耳を傾けながら、一服したくなった俺は部屋に匂いを残さないように窓際へ行くとタバコに火をつける。
窓を隔てたベランダは信じられないほどに蒸し暑かった。
「ふぅ・・・」
既に暑さで汗のにじんだ手の中にあるタバコを咥え、少しだけ吸って煙を吐き出す。
ふわりと吐き出された煙が風に乗り、相変わらず回転を続けているれいむの元へと漂っていく。
するとその臭いが気になったのか煙が目に入ったのか、れいむはしかめっ面になった。
(ゆうううう!くさいよ!おめめがいたいよ!やめてね!ゆっくりやめてね!)
その様子を眺めながら地球も難儀なもんだよなぁ・・・などと柄にも無く母なる大地に思いをはせる。
せめてクーラーの温度設定を上げてみるか。小さなことからコツコツとの精神が大事だよな!
などと、ちょっと優しい気分になっている俺の目の前をブ~ンと羽音を立てながら1匹の蚊が通り過ぎた。
そいつを目で追うと、その軌道の先にはまだ回り続けているれいむ。
「おっと、そいつは俺の饅頭だ」
蚊がぴたっとれいむの頬に止まったのを確認した俺はすぐさまそいつをでこピンで叩き潰した。
その拍子にれいむの皮を少しえぐってしまい、中身が若干もれてしまったが大した問題ではは無いだろう。
が、れいむがいまやなくなってしまった口でもがもがと悲鳴らしきものを上げる。
そのせいで石油の採掘をめぐって争う2つの国の片方が核爆弾の実験使用に踏み切ったという重大なニュースが聞き取れなかった。
(いたいいいい!でいぶのほっべがあああああ!ぢぬうううううう!?)
まだもがもがと喚いているれいむを無視して、俺はニュースをちゃんと聞くために部屋に戻った。
やっぱりクーラーの効いた部屋はすばらしい!
ほしれいむ 完
‐‐‐あとがき‐‐‐
思いつきだけで書いてみた
後悔はする気にもならねぇぜ・・・
byゆっくりボールマン
最終更新:2022年05月21日 22:15