ある日、いつものように畑に行くと4匹のゆっくりの姿がそこにあった
れいむとまりさの成体1組とその子供と思しきれいむとまりさが1匹ずつ
いわゆるお約束の家族構成である

「おい、饅頭ども!俺の畑で何してる!?」
「ゆゆっ!ここはれいむたちのおうちだよ!にんげんさんはゆっくりでてってね!」
「そうだぜ!ここはまりさたちのゆっくりぷれいすなんだぜ!」
「「ゆっきゅちでていっちぇね!」」

この発言は俗におうち宣言と呼ばれ、要するに縄張りであることを主張しているのだ
ここは自分達の縄張りだから出て行け
ゆっくりに人間の所有権など理解できるはずもないし、人間の縄張りの主張の仕方も知らないだろう
だから、このように人間の畑や家屋でおうち宣言するのも致し方ないことだと言えよう
しかし、俺もまた一己の生命であり、宿と畑は生きていくうえで不可欠
だからこいつらを、俺に害をなす敵を追い払うのも致し方ないことなのである

「ごちゃごちゃうるせえ!!」
「ゆぎゅ!?」

手始めに大抵の場合、家族の中で最も戦い慣れているゆっくりまりさを蹴り飛ばした
まりさは間抜けな悲鳴を上げながらごろんごろんと畑を転がって行き、10mほど転がったところで停止した
れいむと子ゆっくり共は目を大きく見開き、その事態を信じられないといった様子で見守っている

「ま、まりざあああああああああああ!?」
「どほぢぢぇこんにゃこちょしゅるにょおおおおお!」
「ゆえーん、きょわいよー!」

1分ほどしてようやく我に返ったれいむは苦しそうにのた打ち回っているまりさの下へと跳ねてゆく
一方、子ゆっくり2匹はあまりの恐怖にありもしない腰を抜かしたのかその場で泣きじゃくる
どちらも、自分を守ってくれる親がそばを離れてしまっていることに気づいていない

「なあ、お前ら。お母さんのそばにいなくていいのか?」
「ゆっぐ・・・ゆゆっ!?おきゃーしゃあああん!」
「おきゃーしゃん!ゆっきゅちたしゅけちぇね!」

そう言いながら2匹は急いで嗚咽を漏らすまりさと心配そうな表情で彼女に寄り添うれいむのそばへ
まりさは痛みで子供のことを気にする余裕がないようだが、れいむは彼女達に「はやくこっちにきてね!」と叫んでいる
子れいむと子まりさはその言葉に従ってぴょんぴょんと畑の上をゆっくりした速さで跳ねてゆく

「おかーさんのおくちにかくれてね!」
「「ゆっきゅちかくれりゅよ!」」

安堵の笑みを浮かべて勢いよく飛び跳ね、れいむの大きな口の中に飛び込む2匹
これでようやくゆっくり出来る
ゆっくり出来ない人間さんはきっとお母さんがやっつけてくれる
さっきは人間さんがずるをしたから負けたけど、今度は勝つに決まっている
そんな根拠のない確信を胸にれいむの口の中でゆっくりしようと一息ついたその瞬間・・・

「ゆ゛びぃ!?」
「「ゆゆっ!?」」

俺が渾身の力を込めて放った蹴りを背中に受けたれいむはその衝撃で吐しゃ物を撒き散らしながら宙を舞う
もちろん、吐しゃ物にまぎれて彼女の大事な子ゆっくり達も口の中から飛び出してしまった
それから地球における法則に従って地に落ちる3匹
その衝撃でれいむは致命傷を負い、最期に「おぢびぢゃ・・・にげ、で・・・」と言い残して短いゆん生を終えた

「おきゃあああしゃあああああん!?」
「ゆっぎゅぢいいいいいいい!?」

子れいむと子まりさはその事実を受け入れられないらしく、れいむのそばでゆーゆーと騒いでいる
恐らく放っておいても逃げるようなことはないだろう
そう判断した俺は2匹をひとまず無視して、先ほどからめそめそと泣き通しでれいむの死に気づいていないまりさを引っ掴む

「ゆぐぅ・・・やべるんだぜ!ゆっぐぢでぎないんだぜ!」
「止めないんだぜ。ゆっくりさせないんだぜ」
「ゆぐぅぅうぅぅ・・・おぞらをどんでる、ゆべっ!?」

引っ掴んだまりさを子ゆっくりどもめがけて叩きつけるのに近い要領で放り投げてやった
その一撃で子れいむが下敷きになり、まりさの下から顔を覗かせ、声を発することは二度となかった

「おい、まりさ!」
「は゛、は゛いいいぃぃ!?」
「死にたくなかったら消えろ」
「わがぢまぢだあああああ!ゆっぐぢぎえまずうううう!」
「ゆえーん、ゆっきゅちでぎぢゃによおお!おうちかえりゅ!?」

泣き叫びながらまりさ母子は森へと帰っていった





翌日、今日も例のお約束の家族構成のゆっくり4匹が畑を荒らしていた
もっとも、ゆっくりの貧弱な力だ
昨日同様に作物を1つだめにされた程度の微々たる被害なのだが

「「うっみぇ!こりぇみぇっちゃうみぇ!」」
「すごくゆっくりできるはたけだね!」
「ゆっへっへ、まりささまにかかればとうぜんだぜ!」

どうやら今回の連中はゲス気質持ちのようだ
ゲス・・・言葉の通りの連中で、時には同属さえも食い物にするたちの悪い連中である
こいつらは昨日の連中と違って野菜は畑が人間のものであると理解したうえでこのような行為に及んでいる
もっとも、どのような意図があってここにいようと俺のすることには何一つ変わりがないのだが

「と言うわけで死ね!」
「ゆぶっ!?」

昨日と違って最初から潰す気満々の全体重をかけての踏みつけをまりさに食らわせる
畑の野菜を食い散らかしていた汚らわしい饅頭のうっとうしい顔が徐々にひしゃげてゆく
みちみちと音を立てながら少しずつ潰れて行き、やがて餡子が漏れ始め・・・

「ゆ゛っ・・・」
「ま、まりざああああああ!?」
「「おきゃあああぢゃああああん!?」」

次の瞬間には悲鳴を上げる暇もなく、餡子を四散させて息絶えた

「じじぃ!れいむのばりざをがえぜえええええ!」
「おきゃーぢゃんをごろじだぢぢいはゆっぐぢぢねえええ!」
「ゆっきゅぢぢにぇえええええ!」

その後、ゆっくりと事態を把握した3匹は俺に向かって決死の体当たりを仕掛けてくる
当然、ゆっくりの緩慢な動作から繰り出される攻撃などたかが知れており、痛くも痒くも無い
しかし、れいむと子ども達はその攻撃が俺を著しく疲弊させていると信じて疑わないらしく・・・

「ゆふん!まりさのかたきだよ!」
「ゆっくちちにぇ!」
「まりしゃはとってみょちゅよいんだよ!」

などなど、行け行けモードの押せ押せモードである

「うぜぇ」
「ゆがっ!?」
「「おきゃーしゃん!?」」

自分達の無駄な努力に気付くまで様子を伺おうかとも思ったが、得意げな表情がうっとうしかったので止めた
さほど力をこめたわけでもないのに、蹴りを食らったれいむは無様に転がり、俺に土で汚れた底部をさらす
直後、子れいむと子まりさは自信満々の表情を恐怖とあせりに歪めて叫んだ

「「ほどぢぢぇじぇんじぇんきいちぇにゃいのおおおおおお!?」」
「そりゃ、お前らが弱いからだ」

逃がさないように2匹を捕まえてから、状況が飲み込めずに困惑しているれいむの底部を踏みつけてやる

「ゆぐっ・・・やべでね!でいむはやべようねっでいっだんだよ!ば、ばりざがいぐっでいっだんだよ!?」
「で?」
「ゆぐっ!ほ、ほんどだよ!ぞれにおぢびぢゃんだちにおいぢいものをだべざせであげだがったんだよ!?」
「だから?」
「でいむはたすげでね!ゆっぐぢでぎないわるいおぢびぢゃんはどうなっでもいいから、れいぶはゆっぐぢぢだいよ!」
「そうか」
「「どほぢちぇぢょんなこちょいうにょおおおおお!?」」

流石ゲス。あっという間に家庭崩壊を起こした
そして、俺の存在を忘れたかのように口論を始める

「おきゃーぢゃんにゃんちぇおきゃーぢゃんぢゃにゃいよ!」
「ゆっきゅちできにゃいおきゃーちゃんはちにぇ!」
「ゆふん!しぬのはおまえたちだよ!れいむのためにせいぜいゆっくりできなくなってね!」
「「どほぢちぇしょんなこちょいうにょおおおおお!?」」
「ああ、もううっせ」
「「ゆびゅ!?」」

流石にこれ以上構っている気になれないので、子ゆっくり2匹をさっさと握りつぶす
そして、足の下で「さっさとはなしてね!」と喚くれいむを両手で掴んで持ち上げると・・・

「はいよ」
「わーい、おそらをとんでるみたー・・・ゆべしっ!?」

渾身の力をこめて放り投げてやった
れいむを放り投げた先から「おべべがびえないよおおおお!」という悲鳴が聞こえてきたが無視して仕事に取り掛かった





翌日、またしてもゆっくりが畑を荒らしていた
もちろん昨日一昨日同様に損害は微々たるものではあるが

「むーしゃむーしゃ、ゆっくりー!」
「ゆゆ~ん♪とってもゆっくりしてるよ!」
「「ゆっきゅちー!」」

組み合わせも昨日一昨日と同じくオーソドックス
しかし、満面の笑みを浮かべて大根を貪る4匹はえらく語彙が貧弱
もしかしたら人間との接触が皆無に等しいタイプのやつが何かの拍子に紛れ込んできたのかもしれない
だとしたら流石にいきなり踏み潰すのはかわいそうだ

「おい、ゆっくりどもここは俺の畑だぞ?」
「ゆゆっ、にんげんさん!」
「にんげんさん、ゆっくりしていってね!」
「「ゆっきゅちちちぇいっちぇね!」」
「はいはい、ゆっくりゆっくり。ところでお前ら、ここは俺の畑だぞ。さっさと出て行け」

適当に返事をしてから、さっさと本題を切り出した
4匹は俺の言葉を素直に聞いていた。が・・・

「おれのはたけさんはゆっくりできる?」
「おれのはたけさん!ゆっくりしていってね!」
「「ゆっきゅちちちぇいっちぇね!」」

どうやら畑と言う語彙も「俺の」が所有を意味することも理解できなかったようだ
まあ、人間と接触することなく生きてきたような感じの連中だから仕方ないと言えば仕方ないが
しかし、そうなると一筋縄では行かない
というか、事実上話し合いでの解決は不可能だろう

「悪く思うなよ」

そんな訳で俺はまりさを軽く蹴り飛ばして、人間が怖い存在である事を教えてやることにした
出来るだけ跡の残るような怪我をさせないように軽く口のした辺りにつま先をぶつける

「ゆっ!」
「まりさぁ~!?」
「「ゆっきゅちー!?」」

れいむと子ゆっくり2匹は急いでまりさの元へと跳ねてゆくと、のろのろと起き上がろうとするまりさに「ゆっくりー!」と声をかけた
まりさはまりさで、ぐずぐずと泣きべそをかき、嗚咽を漏らしながらもれいむ達を心配させまいと「ゆっくりしてるよ!」と返事をしている

「まりさ、す~りす~り」
「「ゆっきゅちー」」
「れいむ!ゆっくりしてるよ!」

そして、れいむと子ども達が起き上がったまりさに頬ずりをすると彼女はすぐに笑顔を浮かべた
目の前に俺がいることも忘れて4匹はしばらく家族のゆっくりを堪能し、やがて・・・

「おれのはたけさん、ゆっくりしようね!」
「ゆっくりしようね!」
「「ゆっきゅち~♪」」

こりもせずに俺の前まで跳ねてくると、先ほどまで自分たちが食べていた大根を差し出した
どうやら、俺に蹴られたのは自分達だけで大根を食べてゆっくりしていたせいだと解釈したらしい
付け加えるならば、今のこのしぐさと言動は「一緒に大根を食べてゆっくりしようね」と言う意味なのだろう
参った・・・

「う~ん・・・仕方ない」

こうなったら本当に酷い目に遭ってもらうしかないだろう
そう結論付けた俺は子れいむと子まりさを捕まえるとれいむの口の中に放り込んだ
4匹は行動の意図が読めずに首をかしげている

「悪い!」

それからまりさの目の前に膝をつき、正座に近い格好になると彼女に平手打ちをお見舞いした
「ゆびぃ!?」と悲鳴を漏らし、それから恐怖と困惑と涙でにじんだ瞳で俺を見つめ首をかしげる
しかし、逃げようとする気配は一向に無く、ただ「ゆっぐりぢようよ!」と涙声で訴えてくる

「ゆぐっ!」
「ま、まりさああああ!」

もう一発
困惑の色が若干薄れ、恐怖に満たされていることがまりさの瞳から伺える
いや、それ以上に恐怖のあまりにがくがくと震える丸い体が全てを教えてくれた
傍らではつがいのれいむがただひたすら「まりさ」と「ゆっくり」を交互に繰り返し叫んでいる

「ゆっぐぢぃ・・・ゆっぐぢぢようよぉ・・・」

我慢出来なくなったまりさは相貌からぽろぽろと涙をこぼす
が、それでもまだ俺に向かって「ゆっくりしようよ」と声をかけ続ける
つがいのれいむの中の子ども達もなんとなく状況を察して「ゆっぐ、ゆっきっぢー」と泣いている
どうやら半端なことをしても余計に痛い思いをさせるだけのようだ

「・・・仕方ないか」

俺はまりさの大きく綺麗な瞳に中指を突きたてた
流石に視界の半分を奪われては俺とゆっくりしたいと思えなくなったようで、泣き叫びながら家族とともに逃げ帰った





更に翌日、またしても例の家族構成のゆっくりどもが畑を荒らしていた
「むーしゃむーしゃ、しあわせ~」だの「うっめ、これめっちゃうめぇ」などと叫びながら大根を貪る顔饅頭ども
口調からはゲスなのかそれ以外なのか判断しかねる
流石にゲスかどうか分からない以上いきなり潰すようなことはしたくない

「ひゃっはー!虐待だぁ!」

そんなわけで虐待お兄さんの真似をしてゆっくりどもを脅してみた
すると・・・

「れいむ、きいた?ぎゃくたいだって?」
「おお、こわいこわい」
「「きょわいきょわい」」

俺のことを蔑むような眼差しで見つめてきやがった
「こんな白昼から良い大人が何してるの?」とでも言いたげな表情だ
なんとなく腹が立ったので一発蹴りをお見舞いしてやる

「ゆっ?」

間抜けな声を発しながらいつものようにぶっ転がるまりさ
しかし、今までの連中と違ってすぐさま起き上がると俺の顔を伺いつつ一言

「おお、いたいいたい」

どう見ても痛がっていなかった
それになぜ襲われているのかも分かっていないらしく、子ゆっくりどもは平然と大根をかじり続けている
どうやら今までの相手にしてきた連中とはいろんな意味で次元の違うゆっくりのようだ

「ぎゃくたいなんてゆっくりできないね」
「そうだね、ゆっくりすればいいのにね」
「「ゆっくりしていってね!」」
「「ゆっきゅちちちぇいっちぇね!」」

4匹は目を大きく開いて下膨れ顔をどことなく鬱陶しい感じに歪め、お約束の言葉を口にした。
何と言うか・・・今までに見たことの無いタイプのゆっくりだ
とは言え、畑を荒らす以上こいつらの処置になんら変わりは無い

「おい、ゆっくりども。ここは俺の畑だからさっさと出て行け」
「ゆっくりりかいしたよ」
「にんげんしゃんはゆっきゅちちてにゃいにぇ」
「おお、あわりぇあわりぇ」

どうやら俺はゆっくりにコケにされているらしい
正直腹は立つが大人しく帰ってくれるんならとやかく言うことも無いだろう
ゆっくりどもが見えなくなってから俺は適当に柵を作って連中が入ってこれないようにした





またまた翌日、俺が畑に行ってみると・・・

「「「「覇王翔吼拳を使わざるを得ない」」」」
「・・・・・・もうヤダ、おうち帰る・・・」

4匹のゆっくりが柵をぶち壊して畑に侵入していた
流石にアレに手を出すのは怖いのであきらめて家に帰った


‐‐‐あとがき‐‐‐

初日:今の標準?
2日目:ゲス
3日目:純朴
4日目:AAの系譜
最終日:ガ・・・
ゆっくりの多様性を見ていると遠くに来たものだと思わざるを得ない



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最終更新:2022年04月15日 23:38