設定的には妖虐兄の日々の実験 その2の続き。
でも多分読まなくても大丈夫のはず。
いつもの通りオリキャラ&俺設定てんこ盛りなので、嫌いな人は回れ右、というより左(ブラウザバックボタン)

















「うーん、困ったな…。」

そう言いつつ頭を抱えているのはゆっくり加工所の工場長である。
彼は、加工所の現状に頭を悩ませていた。

幻想郷にゆっくりが現れてから大分長い期間が経ったが、現れてから少しして出来た加工所は、
今まで中々甘い物を食べる機会の無かった幻想郷の里に、甘い物を安価で提供可能な施設として、
また、畑荒らしや家荒らしのゆっくりを引き取ってもらえる上に謝礼も貰える施設として幻想郷に
いまや無くてはならない存在として成り立っていた。

しかし、ゆっくりの発生したてこそ大きく稼げていた商売だが、最近ではゆっくりの大幅な増殖、
それに伴う買取数の増加、そして何より今工場長が頭を抱えている事が主原因で業績は次第に悪化していくばかりであった。

「流石に元があれじゃあ限度があるものなぁ…。」

原因、それは、レパートリーの枯渇である。
種類にもよるが、主に手に入るれいむとまりさ種は餡子、ありす種はカスタード、ぱちゅりー種はクリームである。
確かにゆっくり達は苦痛により味が変化するとはいえ、根幹に当たる味わいは変わることは無い。
それゆえ、こう長いこと提供していると、どう加工しても、それらに対しての慣れや飽きが発生してしまうのは避けられない事であった。
他の種も合わせて販売しているので今は何とか誤魔化しが利いているが、それもいずれ飽きが来るのは明白。
どうにか今までとは違った形での何か大きな加工方法、それをどうにか探さねばと工場長は頭を抱えていたわけである。

トントン

そうこう考えていると、ふいに部屋の戸を叩く音が聞こえた。

「邪魔するよ。」

そう、返事も聞かずに入ってきたのは一人の男と一匹のゆっくりぱちゅりーであった。

「やあ、今日はどうしたんだい?」

「いや、散歩がてらちょっと寄ってみたんだ。所で、何か悩んでいたようだけど。」

その男は彼の友人であり、彼と同じく-そう、工場長もであるが-虐待お兄さんであった。
工場長は人間、彼は妖怪であるという違いはあるものの、同じ虐待お兄さん同士、仲は良かった。

「いやあ、実は…。」

特にこの虐待お兄さんは、虐待お兄さん達の中では研究お兄さんという通称で通っている位ゆっくりの研究を
していることで有名であった。
そのため、たまたま来た彼に相談してみる事にしたのである。

「ああ、それならこの間発見した実に興味深い事があってね、それを生かせるかもしれない。」

驚く事に彼は考え込みすらしないでそう答えた。
たまたまなのか、それとも元々ストックがあったのかは知らないが、工場長にとってはとてもありがたい事には違いない。

「ただ、一寸準備が必要でね。3日後に来るから、ちょっとそちらでも準備しておいて欲しいものがあるんだけど。」

それは、工場長にとってはすぐに用意できるものだったので、快諾した。

そして3日後。
工場長とお兄さんは加工所の一角にいた。

そこには机があり、その上には工場長が用意した、透明な箱に入れられたゆっくりれいむがいた。
成体サイズであり、頭にはそこそこ大きくなった茎と赤ゆっくりが生っている。

れいむは2人を確認するなり、泣きながら、

「ぼう゛あがじゃんどるのやべでぇええぇえぇぇえぇえ!!!」

と懇願した。
本来この霊夢は、出産繁殖用のれいむである。
赤ゆっくりが茎から離れ次第赤ゆっくりは用途別に分けられ、そして親れいむは種付けゆっくりに犯される。
その繰り返しを送ってきたゆえ、そう泣いて懇願するのも当然であった。

その懇願を無視し、お兄さんは1尺ほどある大きくて透明な筒状のものを手に取る。

「ん、なんだいそれ。」

その筒の先に何かを取り付けつつお兄さんは答える。
ちなみに現在中身は空である。

「ん、これは注射器といってだな、薬を口以外から直接体に取り込ませたり、逆に血を少し抜いて病気かどうかを
確認する医療器具だよ。」

「ほぉ。」

珍しいものを見るかのようにそれを見る工場長であるが、それも仕方の無い事である。
最近では外来の者や物が増えてはいるとは言え、工場長のような、幻想郷内で生まれ育った人間に
現代医学に精通している人間はまずいない。
また、八意永琳の診療にかかれば見る事は出来たのだが、幸いにも工場長は今まで大きな怪我も病気もした事は無かった。
この注射器も、八意永琳が使用していた物と大きさ以外は同様の作り方で河童に作ってもらった特注品である。
そして現在、その注射器の先には針の代わりに小さな吸盤のようなものが取り付けてあった。

「で、これをだね…。」

そう言いつつ特性注射器を持ってれいむに近づくお兄さん。

「なにぞれえぇぇえ、ごないでぇええぇええぇ!!」

得体の知れない物を持って近づいてくるお兄さんの様子に怯えるれいむ。
とはいえ透明な箱に入っているので逃げようが無いのだが。

そして、頭に生っている赤ゆっくりのうち、一番茎の外側に生っている子ゆっくりを無造作に引っこ抜いた。

「…ゆ゛……。」

声にならない声を発し、目を瞑ってにっこりしていた顔から一転、苦悶の表情を浮かべ動かなくなる赤ゆっくり。

「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛、でいぶのあ゛がじゃんがぁあ゛あ゛あ゛ぁあ゛!!!」

そんな悲痛の声を上げるれいむをまるきり気にせず、注射器の先についた吸盤を、赤ゆっくりのいた所に密着させる
お兄さん。
そして、筒の反対側にあるシリンダー部分をゆっくりと引いていく。

最初に変化が現れたのは、2番目に茎の外側に生っていた赤ゆっくり。
言葉も無く苦悶の表情を見せながらだんだん小さくなっていった。
それが黒い小さい粒のようになるとその次は3番目に生っていた赤ゆっくりがどんどんと小さくなる。
そして、注射器の中に溜まる少し濁ってはいるもののほぼ透明な液体。
赤ゆっくりが全てなくなるころには、注射器の中はその透明な液体でいっぱいになっていた。

「あ゛がじゃんんん、あ゛がじゃんがぁあ゛あ゛あ゛ぁあ゛!!!」

「うむぅ、その注射器で吸い出したのはなんとなく分かったけど…なんだいその液体。」

れいむの悲鳴は無視し、不思議に思った事をお兄さんに質問する工場長。

「まあ、とりあえず味見をしてみれば分かるよ。」

そう言いつつ、注射器の中身を全て近くに置いていた桶に入れるお兄さん。
さっそく工場長はそれを味見してみた。

「む…。これは…甘い…砂糖水?」

「ご名答。」

にやりと笑って答えるお兄さん。

「しかし驚いたな。今まで茎の中に餡子が通っていると思ったけど、違うなんて考えもして無かったよ。」

「まあ、茎の根元の赤ゆっくりに行く手前までは餡子だしね、普通に茎を引っこ抜いたりする程度じゃ誰も気づかないよ、これは。」

このお兄さんがこの事実に気づいたきっかけ、それは、誰もがすでに当然の物として受け止めていた事実、
つまり、親の種族が違っても産まれる子供の中身が混じらない、という事実からであった。
そして、よく調べてみると、茎が生成された直後は受精餡がその中を通り、実となって生るが、それ以降は
茎がフィルター代わりになり、親の中身が砂糖水に精製されて赤ゆっくりに運ばれる事が確認できた。
成程これなら親と子の種族が違い、中身が違っていても育つ訳だと自然の神秘に感心したものである。

再度れいむの茎に注射器をあてがうお兄さん。
そしてシリンダーを引く。

「ゆぐっ!!!!」

たちまち目を見開いた表情で固まるれいむ。
抜かれている分か、体が少しづつ小さくなっていくのが分かる。
そして、

「ぼっど…ゆっぐり…じだ…。」

注射器で抜かれていくに従い、どんどんと体が黒ずんでいった。

「おお、この状態は。」

工場長はその状態に見覚えがあった。
レイパー等に襲われ、大量の茎を生やしたり、体が未成熟だった場合、ゆっくりは体が黒ずんで死んでしまう。
まさにその状態と同じだったからである。

「なるほど、なるほどねぇ。」

しきりに感心する工場長。

「で、結局これ位取れるわけだ。」

その言葉にお兄さんの方を向くと、そこにはあのゆっくりのサイズより多少少ない位の砂糖水が桶に溜まっていた。
大体ゆっくりの体積の7割位だろうか。

「今回は取り合えずと言う事でこんな注射器を用意したけど、河童に頼んでそれ専用の機械を作ってもらえば、
もっと楽に効率良く砂糖水を取れるはずだよ。」

「後はそれをそのまま販売しても良し、加工して販売しても良し、か。成程、今迄等比較にならない位色々できるなこりゃ。
よーし、そうと分かれば早速取り掛からないとな。」

にんまりと笑顔を浮かべる工場長。

そして1ヶ月後、各種新発売の加工食品の他、ゆっくり砂糖水なる物も合わせて売り出され、幻想郷にゆっくりが
登場した直後以上に食文化の発展が起こる事になった。


ちなみに研究お兄さんには謝礼代わりにレアなゆっくりであるゆっくりテルヨフを貰ったが、色んな意味での
扱いにくさに頭を抱える事になるのはまた別の話。





あとがき

他の人と設定比べたりすると色々矛盾が出そうだけど、でもそんなのかんけーね。
ってもこうが言ってた。

                               by ノーム・ライヴ


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最終更新:2018年03月21日 23:20