「…ハァ、ハァ…。早く、逃げないと…」
僕は今、月の光が無い森の中を走っている。アイツから逃げるために。
「…逃がさない、絶対にキサマは…!」
アイツが追いかけて来る。大分前に逃がしたアイツが、恨みを晴らしに。
「ハァ、ハァ…うわっ!」
とうとう僕は木の根に躓き、逃げる事が出来なくなった。そして、アイツが追い付いた。ちょうど雲が切れ、憎悪を宿した目で睨み付けるムウマージの姿を映し出す。
「…お前に逃がされ、私達がどれほどキサマを憎み生きていたか、思い知るがいい!」
周りを見渡すと、そこには同じように逃がした、ゲンガーやブースター、レントラー達が僕を睨み付けている。
「やめてくれ…、お願いだ…!」
「キサマに死の呪いを…!」
「助けてくれっ!」
「アバダ・ケダブラ!」
辺りに走る緑の閃光…
「…うう…、ハッ!ゆ、夢か…」
どうやら夢だったよう…
僕はここまで思って窓を見た途端、驚きで声も出なかった。
窓の外には、ムウマージを始め、ゲンガー、ブースター、レントラーと、
夢に出て来たポケモン達ともう1匹、まさに闇夜のような漆黒の体に、恐ろしい程青い目を持ったポケモンがいた。
ムウマージ達は、僕の方を悲しそうな目で見るだけだったが、漆黒の体を持つポケモンは僕の心に、こう語ってきた。
…これがコイツらの悲しみだ。
お前は、ポケモンをどのように見ている?奴隷か?使い捨ての玩具か?全てのポケモンには、お前と同じ、深い感情を持っているのだ…
さあ、答えを示せ…
僕は窓から外に飛び出し、涙ながらににこう言った。
「みんな、みんなゴメンよ…。
みんなの気持ちを、分かってやれなくて…」
ムウマージ達は、僕に寄り添ってきた。そして、いつの間にか目の前に来ていたあの紺碧の目のポケモンは、再びこう語ってきた。
…それがお前の答えか…。
私がお前の前に再び現れる時は、お前の命を奪う時か、お前を認めた時だ…。
それまで、自分を磨くがいい…。
そして、そのポケモンは暗闇に飛び去っていった…。
今、僕はムウマージ達と一緒に、自分自身も強くしている。
アイツに認めてもらえるように…。
作 2代目スレ>>685-686
最終更新:2008年10月05日 21:45