私は、この地の主。砂漠の精霊。
私の羽ばたきは砂を舞い上がらせ、私の姿を覆い隠し、歌を奏でる。
私は、あるトレーナーの元に生を受けた。
産まれた時から、主人とはずっと一緒にいた。旅をする時も、バトルの時も、何時も一緒にいた。一緒にいるのが、何よりも楽しく、幸せだった。
あの日が来るまでは。
ある時から、私はボックスに閉じ込められ、暫くの間出してもらえなかった。
そしてある日、再び外の世界に出た時は、ある山の頂上だった。
「じゃあな。」
私は、何を言われたのか分からなかった。
「今まで世話になったけど、もうお前の活躍出来る場は無いからさ。これからは、」
主人のモンスターボールから、ボーマンダが出てくる。
「コイツがお前の替わりに頑張ってくれるから。お前より遥かに強いし。あばよ。」
…そうして主人はボーマンダに乗り、何処かへ去っていった。
去っていく主人を見て、私は悟った。
この主…男も、強さを盲信する、偶像崇拝主義者に過ぎなかったと…。
そして、私は自分に流れる血が感じるままに飛び、この先祖の故郷に辿り着いた。
その昔、イカロスという男は、蝋の翼を付け、空に舞い上がったが、太陽に近付き過ぎた為に蝋の翼が溶け、海に落ちて死んだと言う。
もし再び遭った時、あの男がまだ、「傲慢」という罪深き翼を背負っているのなら、私の「怒り」という太陽がその翼を溶かし、海に落とすだろう。
もし、あなたが自らの過ちに気付いていたら…
その時は、あなたと再び、共に世界を駆けたい。
作 2代目スレ>>711-712
最終更新:2008年10月24日 18:49