おいら、飛びたいんだ。
遠くに見える、あの高い高いお山の向こうまで。

でも、おいらは飛ぶどころか、満足に戦うことも出来ない。
どこかで誰かが教えてくれた踊りも、ぬかるみですっ転んで満足に出来ない。
食われずに食いつなぐ、たったそれだけのためにおいらは生きている。

涙が雨に流れた。
こんなじめじめした所、おいらは嫌なんだ。
どうしておいらはこんな所にいるのかな。
雨みたいなじめじめした気持ち。

そこを通りがかった、おいらの倍くらいの生き物。
そいつを見たら、何だか凄く腹が立った。
おいらと同じで二本足で翼もないくせに、飛べるし戦えるし、食うのも困らなくて、そして凄く嫌なヤツ。
そいつのことは何も知らないはずなのに、何故かそう感じて、その怒りをぶつける。
ぶっ倒れても収まらなくて、殴って、蹴って。手に持ったボールも、思い切り叩き潰した。

怒りが収まった時、おいらは翼を手に入れていた。
雨もいつの間にかやんでいる。
お腹もいっぱいだ。
今ならずっと向こう、あの山も雲も越えて飛んでいける。


作 2代目スレ>>714

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最終更新:2008年10月24日 18:50