サイオウガウマ


「なんだよ、こいつの特性『はりきり』かよ。『てんのめぐみ』を期待してたのに…。」

早朝のズイタウン郊外。産まれたばかりのトゲピーを目の前にとあるトレーナーは落胆のため息をついた。

「これで15回連続目当ての特性じゃないって、俺は運の無い男だ。」

空を仰ぐように笑った彼はいつものように、このトゲピーの能力を調べる。

「どうせ外れだろうが、まぁとりあえず調べてみるか…おっ?」

今までのトゲピーとは違い、かなりの能力を保持していることが分かった。
その結果を見た彼は、少し考えると、このトゲピーを見つめ、

「お前ラッキーだな。育ててやるよ。」

と言うと、そのままモンスターボールにそのトゲピーを仕舞った。


やがて1年後、同じズイタウンの郊外。
その男の傍らにはあのトゲピー。今はトゲキッスへと進化している。

「お前には色々助けられたな。」

いつしか、チャンピオンと呼ばれるようになったその男。
トゲキッスの張り切った一撃はどんな苦境も打破してきたのだ。

その男とトゲキッスの目の前にあるのは一本の木の棒。
今まで逃がしていた15匹のトゲピーへの…自分が間接的に殺したも同然のトゲピーたちへの
彼なりの謝罪と慰霊の心である。

「俺を許せとは言わない。ただ、安らかに眠ってくれ。」

彼は小さな慰霊碑にそっと手を合わせた。


作 2代目スレ>>716-717

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最終更新:2008年10月24日 18:51