ぼくたちの住んでる所に、見慣れないポケモンがやってきた。
傷だらけで元気がないおばちゃんに、ぼくは頑張ってきのみを探してきた。
なわばりを荒らしにきたんだってお母さんたちは言うけど、おばちゃんは優しかった。
ニンゲンに飼われていたけど、逃がされたんだって。
「ニンゲンは怖いよ。あいつらは命をカケラほどにも思っていないんだ。あたしは逃がされたけど娘はまだアイツの所にいる……あんたと同じくらいさ。あんたもニンゲンには気をつけるんだよ」
お母さんたちもニンゲンには気をつけるよう言ってたけど、そう言うおばちゃんの眼はいつもと違ってギラついていた。


それからしばらく経った。
おばちゃんの傷も良くなったし、他のポケモンとも仲良しになっていた。
そしてまた新しいポケモンがやってきた。
おばちゃんと同じ種類のポケモン。
でもあの時のおばちゃんよりも、ずっと傷だらけでずっと疲れていた。
おばちゃんや皆を呼んできのみを集めて持っていった。
「! あ、あんたまさか……」
「おかーさん……おかーさ、ん……」
え!? このポケモンがおばちゃんの娘!?
確かに似てるよ。でも、僕と同じくらいって言ったけどとてもそうとは見えない。
すっかりやつれて、おばちゃんより老け込んで見えるくらいだよ。
「あたし、ね……捨てられたんだ……来る日も来る日もオスの相手させ、られて……子供は逃げる体力もないのに捨てられて……」
「話さなくていい、話さなくていいんだよ!」
「……ようやく、満足いく子が出来たみたい。たぶん、お母さんやあたし、みたいに……卵を生み続けるんだろうなぁ。捨てられるための命を生むために、知らないオスと……」

ぼくには何を言ってるのかよくわからなかった。
だってそんなの、命があるヤツがやると思う?
カケラほどの命がないのは、そのニンゲンじゃないのかな。



おばちゃんと違って、娘さんは数日後、うなされながら死んでいった。
おばちゃんは「あたしより強いはずなのに」とだけ呟いていた。
たぶん、おばちゃんはずっと泣かない。ニンゲンへの憎しみを忘れないために。


作 2代目スレ>>791

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最終更新:2008年11月29日 15:36