今日もまた一つ、卵が突き返された。
婆さんの悲しそうな顔が脳裏をよぎる。
「オスはいらない…」
「特性がつかえない…」
どうやら、このトレーナーには貰ってもいない卵の中身が分かるらしい。天性の嗅覚でもあるのじゃろうか。
強いポケモンを見分けられる。
それはあらゆるトレーナーが羨む力じゃろう。
……それがなんじゃ。
どんなに優れたトレーナーであろうと、産み出された命を選別する権利などある筈もない。
だからわしは言うのじゃ。
精一杯の皮肉を込め「ありがとよ」と。
トレーナーよ。
わしが手に持っているタマゴはただのポケモンのタマゴにしか見えんのじゃろう。
じゃが、それがいのちの塊である事を忘れないで欲しい。
最終更新:2007年10月19日 19:34