私のおや――親ではなく、おや。私を捕まえた人間――が、
私のことを見向きもしなくなってからどれくらい経つのだろうか。
ボックスの中が不快なわけではないが、時々あの冷たい水の中へ帰りたくなる。
「あ、いたいた。向こうだとチャンピオンロードまで行かないといけないみたいだからなあ」
久しぶりに聞くおやの声。向こうとは、どこですか? 問うこともできず、暗転する世界。
……気がつくと、私はどことも知らない海の中にいた。
あの場所と同じように冷たい水の中。心地よかった。
そうやって気ままに泳いでいる私の前に、怖そうな顔をした青い龍に乗った少女が現れて……。
今、私は幸せ。けれど、時々思う。
私がいたボックスの中。私以外にもたくさんの人が、彼女を待っていた。
あちらで、可愛がってくれているのだろうか。それとも、いつかこちらへ来るのだろうか。
夫から雨を呼ぶ力を受け継いだ私の娘を見ながら、私はふと考える。
作 2代目スレ>>888
最終更新:2009年02月24日 23:09