僕は幼い頃に主人から逃がされた一匹のポケモン。
どうやら僕はタマゴから産まれたみたいなんだけど、
産まれた僕の能力をパソコンで解析するなり、
僕を外へと逃がしたんだ。その理由も僕には分からない。

僕は弱いポケモンだから、強いポケモンが住んでいるところじゃ暮らせない。
とにかく逃げ回って、僕が暮らしていけそうなところを探すんだ。

すると、綺麗な服に身を包んだ男の子がいた。近づいてみると…
「うわっ!何だ、この汚いポケモン!こんなヤツ、僕はいらないよ!」
罵詈雑言を浴びせかけられた挙げ句に、蹴り飛ばされた。
うるさい。僕だって好きでこうなっているんじゃないんだ。

次に、これまた綺麗な服を着た、お上品な女の子がいる。近づいてみると…
「汚いからあっちへ行きなさい。私のポケモンまで汚れちゃうわ。」
まるで汚物を見るような目で見やがって。
良いよ。僕だってお前みたいな奴とは一緒にいたくない。
お前たちみたいな温室育ちのお嬢様に僕の気持ちなんて分からない。

足がガクガクとして言うことを聞かない。休めるところもない。
木の実が成る木もあったが、どうせ取ったらまた人間に虐げられるんだ。
僕の居場所なんて無いんだ。汚い僕の居場所なんか…!

人間が憎い。僕をこんなにした人間が憎い。
この悲惨さがお前らなんかに分かるはずがない。
誰にも勝てないようなレベルで逃がされた僕がどんな気持ちなのか……。
何にも抗うことが出来ずに生き地獄を体験してきた僕がどんな気持ちなのか……。

神のようなポケモンでも現れて、世界を作り替えてくれれば良いのに……………。
心の底でそんなありもしない事を考えて、僕は瞼を閉じた。


作 初代スレ81

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2007年10月19日 19:39