逃がしたポケモンはどうなるのか…

生まれた時から一緒のムックルとイーブイ。
どんな時でも一緒にいた。
トレーナーが「逃がす」までは…

二日間、ムックルとイーブイはろくに食べていない。
お互いに小さい木の実を分け合いながら、人目を避けて隠れていた。
逃がされた僕たちはこれからどうなるんだろう。
ムックルとイーブイは同じことを考えていた。
ある日のこと…
突然隠れていた草むらが揺れたかと思うと、
「それっ!」と言う声と共に、LVの低いムックルとイーブイは簡単に捕まってしまった。

ムックルとイーブイは小さい檻に、別々に閉じ込められてしまった。
ムックルとイーブイはお互い不安そうな目で相手を見る。
LVが低いのでこの檻も壊せない…
ムックルの檻には【ノモセ】、イーブイには【ヨスガ方面】と書かれたラベルが貼られた。
そして別々の車に乗せられ、別れてしまった…


▼ムックル編

イーブイと離れ離れになった後、間も無くしてノモセへとついた。
そして檻に入ったまま何処かへと運ばれた。
此所は何処なんだろう…?
分かるのは、泥の臭いと、沢山のポケモンの臭い。
イーブイは無事なのだろうか…。
何か声が聞こえる。
「はい、有り難うございます!」
その声の後、僕はとても広い沼地に放された。
遠くで「ピンポーン!」という音と、
「サファリゲーム終了でーす!」というアナウンスが聞こえた。
逃がされ、捕まえられて、放された場所は…
サファリゾーンと言われる所だった…

とりあえず人間のいる所から離れる為に、飛んで行くと、
同じ種族のムックルやムクバードがいる。
此所の事がよく分からないので、話を聞くことにした。
すると、悲しそうに「君もか…」と言われた。
話によると、逃がされたポケモンの一部は、
捕まえられて此所に放され、新しいトレーナーに会うらしい。
そして、1羽のムクバードがこう言った。
「僕達の居場所はたったの500円で買われているんだ…
捕まったポケモンのその後までも、500円で売られている…」
一度「逃がす」を経験したポケモンは
人間を信用出来ないらしく、
人間と出会ったらすぐに逃げるらしい。
運悪く捕まったポケモンは…分からない。

故にサファリのポケモンは、すぐに逃げ出してしまうのです…


▼イーブイ編

ムックルは無事だろうか…
そんなことを考えている内に、車は止まった。
檻を抱えられて、何処かへと運ばれて行く。
辺りを見ると大きな屋敷が見える…
それに高そうな洋服を纏った人達が多い…此所は…?

檻を抱えていた人が、此所の屋敷の執事と思われる人に、僕の檻を渡す。
執事は悲しそうに「有り難うございます。」と丁寧な動作で檻を受け取った。

そして屋敷の中に、檻ごと運ばれる。
その時だ。屋敷の奥から大きな声が聞こえた。
「わしの庭にはイーブイがいるんじゃ!ほんとじゃもーん!」
イーブイ…僕のことか?それとも他にイーブイがいるのか…?
すると、屋敷を通り抜け、とても広い裏庭へと運ばれた。
そして、放された。
執事は悲しそうに「本当はこんなことをしたくないんですけどね…」と言った。
そして裏庭を立ち去った。

草むらの奥から、視線を感じる…
見れば、数匹のイーブイが僕を見ている。
近付くと、「君も、なんだね…」と言われた。
この仲間も逃がされたのだろうか…
そして目の前のイーブイは、こう言った。
「僕達はこの辺りじゃ珍しいみたい。
見つかったらすぐに捕まっちゃうよ、気をつけて…」

故に裏庭では珍しいポケモンはなかなか姿を現さない。
人間に一度逃がされたポケモン達が多いから…


作 初代スレ>>210-212

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最終更新:2007年10月19日 19:50