ーー僕の母さんはねーー
ーー私のパバがーー

この前まで僕が暮らしてた部屋では、毎日の様にこんな会話が繰り返されていた。
母さん、とかパバ、とか、なんの事かよくわからなかったから僕とよく遊んでくれたおじさんに聞いてみたんだ。そしたら、ちょっと悲しそうな顔して、ぽんぽんって頭を撫でてくれたんだ。
「母さんとパバが、君を産んだんだよ」って。
そんなこと知ってるって言ったら、また悲しそうに笑ってた。
暫くして、突然違う部屋に移されて、驚いた。
そこには、僕と同じ姿のポケモンがたくさんいた。どこから来たのって聞いたら、そだてやからだって言った。僕も同じだと言ったら、嬉しそうに笑ってお兄ちゃんってじゃれて来た。
妹や弟ができて、嬉しかった。家族と暮らせて、嬉しかった。何日間か、一緒に暮らした。凄く、楽しかった。
なのに。
僕にかけよってきた妹が、突然消えた。
気持ち良さそうに寝てた弟が、突然消えた。
みんな、突然消えた。
僕は、また違う部屋に移されたんだと思ったけど、その部屋はとても広い。上の方では何かが強く光っていた。傍では大量の水がたまって居た。緑色のふさふさした何かが、沢山あった。
とても美しい場所だけど。もう誰も側に居ないと知って、悲しくて、僕はずっと泣いてた。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年07月30日 21:37