僕のトレーナーさんは余りバトルには興味がなく、高個体値屋というものを
職業にしている。
活動範囲と言えば、専らズイタウンとその近辺だけ。
お供はブーバーとポケモンの卵が5個。
次々に孵化させてボックスが一杯になると生まれたばかりのポケモン達を連れて
見知らぬトレーナーさんとバトルをする。
だが僕のトレーナーさんのポケモンも相手のトレーナーさんのポケモンも気絶
する事はおろか、傷ひとつ負うことなくバトルは終了してしまう。
バトルのあと、ポケモン達には
マーキングが付けられて、特定の性格でなおかつ
特定のマーキングを持たない子達は全て外へと放たれる。
そしてボックス一杯にいたはず僕の子供達は二匹になっていた。
僕の隣で子供達の母ポケモンも涙を浮かべ、遠くで棄てられてゆく我が子を
じっと見つめていた。
彼女はきっと僕よりもずっと沢山の数、この光景を見てきたはず。
僕の子供の母親である彼女は、僕自身の母親でもある・・・
ねえ、トレーナーさん
僕達にも感情はあるんです。
だけど一度捕まえられたり、人の手で孵されてしまえばその人がどんな人でも
逆らうなんて出来ないんです。
どのようにされても僕たちの『おや』だから。
『おや』を憎む事が出来ないから、せめて僕は祈る。
野に放たれた子もそうでない子も。
その先にあるのがさいわいであるようにと。
ずっと祈りつづけている。こんな事しか出来なくてごめんと謝りながら
作 初代スレ>>277-278
最終更新:2007年10月19日 19:54