気づいた時には、私は人間に飛びかかっていた。
「なんだコイツ。いけ、レックウザ!」
トレーナーの手にしたボールから、天を裂く咆哮を上げ、
“天空を護る者”と伝承にある龍が、その巨躯を波打たせ躍り出る。
「なんでもいいか……ドラゴンクローだ、レックウザ」
主の口から命が下される。尾の一振りで消し飛ばんほどの脆弱な人間の言だが、
巨龍が逆らう素振りはない。強制ではない。レックウザは彼の者の“力”を認め服従していた。
ブンッ
レックウザが右の手を、爪を振り上げ、続いて、ゴゥッ、大気が裂けた。
刹那。極限まで鍛えられた身体から繰り出された一撃は、野性ポケモンでは、いや。
トレーナーと鍛錬を積んだポケモンであろうと耐えられようの無い物だった。
野生ポケモンはその命の灯火を、消した。
「チッ、孵化作業にもどらねーと。もういいぞ、レックウザ」
作 初代スレ>>307
最終更新:2016年12月28日 11:12