僕の名前はメタモン。何の変哲もないメタモンの1匹です。
僕は生まれてからずっと迷いの森の奥にあるポケモンの村で暮らしていましたが、
ある日突然とあるトレーナーである少年に捕獲されました。
僕は生まれてから一度も村から外の世界に出た事がなかったので、彼に捕獲された時は
一緒にいろいろな地方を巡る旅が出来ると、大変嬉しい気持ちになったと同時にとてもわくわくしていました。
しかし、僕のそんな期待は全く外れてしまったのです。
ご主人様は、僕を手に入れてすぐにキナンシティにあるポケモンセンターに向かいました。
ポケモンセンターに着くと、彼は仲間にして間もない僕をボールから取り出し、中にいたジャッジさんに僕を見せました。
そして、ジャッジさんはご主人様と僕に衝撃の事実を口にしたのです。
ジャッジ「このポケモンはまずまずの能力を持っている。特に優れているのはHPでしょうか。でもそれ以外の能力は全然ダメですね。」
ジャッジさんのこの余りにも残酷すぎる言葉に、僕もご主人様も大変ショックを受けました。
そして、ご主人様は落胆した顔で僕をボールに戻し、ポケモンセンターを後にするとまたどこか次の目的地へ向かいました。
彼の向かう場所こそ、僕の運命の分かれ道なのです。
ご主人様は、次の目的地へ向かう最中、何か文句のような独り言を言っているようでした。
彼のこの独り言は、ボールの中にいた僕の耳にも聞こえました。
トレーナー「6Vだと期待してたのに・・・。この裏切りものめ。でもまぁいい。6Vメタモンぐらい、
じっくり探さないと見つからないもんだし、又探せばいいや。こいつは6Vだと偽って、あそこに預ければ
誰かが伝説ポケモンと交換してくれるはずさ。」
僕はこの言葉に、更にショックを受けてしまいました。まさか、自分がこんなにまで出来損ないメタモンだったなんて。
それから暫く経って、ご主人様は目的地の建物に到着したようでした。
そこはとても綺麗な高層ビルで、入り口にはGTS(グローバルトレードステーション)と書かれた看板がありました。
僕がここにやって来てから分かった事ですが、ここは世界中のトレーナー達とポケモン交換を行う場所であり、
あるポケモンを預け、欲しいポケモンを提示した上で相手との交換条件が合えば交換が成立するという場所でした。
御主人様が建物の中に入ると、すぐにボールから僕を取り出しました。
まさか、仲間になってまもなく、これがご主人様との永遠の別れになるとは当時思いもしませんでした。
ご主人様は僕をボールから取り出してすぐ、受付カウンターの女性のところに向かいました。
受付「いらっしゃいませ。こちらのポケモンをお預かりになられますか。では、こちらにご記入ください。」
女性はご主人様に1枚の紙を差し出すと、ご主人様はすぐ書き始め、あっというまに書き終わりました。
だが、その内容は本当にでたらめで余りにも酷すぎる内容のものでした。
更に、御主人様がこんなに酷い人間だった事も分かり、今まで以上にショックを受けました。


あげるポケモン:メタモン 
欲しいポケモン:ゼルネアス
コメント:6V 夢特性持ちです ゼルネアスくれなかった奴はぶん殴る

同時に僕は心の中で「たとえ僕がこんなダメポケモンだからって6Vと偽ってまで伝説を貰うなんて、
卑怯にも程があるよ!」と思いましたが、とてもご主人様にはそんな事は口にも出来ませんでした。手続きを終えた彼は、僕に別れの言葉を何一言も言わずその場所を後にしました。
僕は何も言葉に出来ませんでした。手を振る事さえ出来ませんでした。
そして、ステーションに預けられた僕はすぐに職員の手により御主人様の欲しいポケモンが書かれた
プレートをつけられたのち、受付から離れた別の部屋まで運ばれました。
その部屋は、預かりポケモン保管庫と言われ、交換が成立するまで新たなご主人様を待つポケモン達でいっぱいでした。
しかし、そこで預けられているポケモンは、ごく一部を除き僕の兄弟達のほか、
ジグザグマやホルビー、コフキムシ、ポチエナなどを初めとした何処でも出てくるようなとても
貰い手が現れるようには思えない連中ばかりでした。
そして、彼らにつけられた欲しいポケモンが書かれているプレートを見ると、
あまりにも酷すぎる内容ばかりでした。

欲しいポケモン:サンダー、ミュウツー、ホウオウ、レックウザ、デオキシス、イベルタルetc

更には、アルセウスやジラーチなど普通のトレーナーなら入手できないポケモン達の名前までありました。
メタモン「ご主人様のほかにもこんなに沢山酷い伝説クレクレがいるなんて・・・。」
やがて僕がここにやって来てから数日後また沢山のポケモン達が数え切れないほど続々と送られてきました。
ある日、僕は運ばれてきて間もない1匹のポケモンに話しかけられました。彼の名はガチゴラスというポケモンでした。
ガチゴラス「お前、どうしてここに運ばれて来たんだ?」
メタモン「どうやら僕は出来損ないポケモンだって事が分かって、ここに預けられてしまったんです。ご主人様の手持ちになってすぐ。
それで、僕を6Vだと偽って、ゼルネアスというポケモンに交換してくれって事になったんです。」
彼のプレートには「欲しいポケモン:アマルルガ」とありました。
そして、ガチゴラスは僕に衝撃の真実を話し始めたのです。
ガチゴラス「残念だが多分お前は、俺とは正反対に後で殺処分される事になるだろう。
俺のようなきちんとつりあった交換条件なら
新たなトレーナーの元にたどり着く事ができるのだが、お前には無理だ。昔、GTSで6Vメタモン詐欺事件が多発して、
お前のような出来損ないメタモンを6Vと偽り、伝説ポケモンをくれというトレーナーが多くいたんだ。
初めのうちは騙されたトレーナーも多くて、
伝説と交換された上で新たなトレーナーの元にいかれたんだが、あまりにこんな事が多発したせいで、
GTSでメタモンを求めるものは少ないのだよ。」
メタモン「嫌だ!殺処分されるなんて嫌だ!」
ガチゴラス「残念だが、これがお前の現実だ、数ヶ月以上貰い手が現れないポケモンは強制的に殺処分される・・・。
そしてそんなポケモンは何匹もいる・・・。お前の兄弟たちは勿論、ジグザグマなどの雑魚ポケモンもだがな。」
僕は今まで以上に残酷な事実を伝えられ、何も言葉が出ない気持ちになりました。
まさか、僕が殺されなきゃならないなんて・・・。それから数分後、ガチゴラスの元にセンターの職員が現れ、彼にはアマルルガと
交換してくれる新たな御主人様が見つかったという報告がされました。
そして、ボールに入れられた彼は職員の手により室内にあった転送マシンで新たな
トレーナーの元へと送られていきました。彼はとても嬉しそうな様子でした。
メタモン「殺処分なんてされてたまるもんか。騙されてでもいいから、誰か新たなご主人様に拾われて見せるんだ。」
そんな事を毎日思っていた僕でしたが、そんな日は全然訪れませんでした。
僕は今、ここに来てから1ヶ月以上が経ちました。しかし新たな貰い手は見つかりません。
他のジグザグマたちなどをはじめとした雑魚ポケモンや僕の兄弟達も同じです。
僕やみんなは、馬鹿な人間どもに無理な交換条件で預けられて、殺処分される危機にあるのです。
くれぐれも、ポケモン達の生命を粗末に扱うような事はしないでください。
それだけが、僕の願いなのです。
伝説クレクレ・メタモン詐欺はダメ、絶対。
 

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最終更新:2015年12月06日 09:30