拝啓 僕の最愛の元ご主人様へ
ご主人様、お久しぶりです。僕のこと、覚えているかな?
思い出せば、マーがご主人様とお別れしてから、もうすぐで1年が経つね。
ご主人様は、マーに初めて出会った日の事、覚えているかな?
あれは2年前の秋の終わりだったよね。御主人様がまだ新米トレーナーだった頃。
僕の最初のご主人様と、あなたがトレーナーになって2匹目に手に入れたホルビーとの交換で
僕と初めて出会ったんだよね。あの時僕は本当に嬉しかったよ。
なんてったって、僕が生まれて間もなく、最初のご主人様の元にやって来て以来
ハクダンシティから殆ど外の世界に出た事がなかったからね。
そして、あなたの仲間になってからの日々は本当に毎日毎日楽しい事ばっかりだった。
本当に色んな所にいったよね。そして、沢山のトレーナーやジムリーダーを相手に、
厳しい戦いを繰り返してきたからこそ、ご主人様は僕と共に強くなれたんだよね。
マーもそんな幸せな日々が永遠に続くと思っていたんだ。でも、そんな日々も長続きはしなかった。
御主人様が、あの日あの時あんな身勝手な事しなければ、僕は今こんな目にはあわなかったんだよ。
ねえ。ご主人様。最後に質問するけど、僕がマーとお別れした日の事は覚えているかな。
ある日を境に、ご主人様はファイアローという最強の鳥ポケモンを仲間にして以来、
僕はボックス送りになり長い長い眠りについた。僕と御主人様がお別れしたのはそれから僅か1か月後だったよね。
あの日、1ヶ月ぶりにボックスからご主人様の手持ちに戻った僕が連れて行かれた場所は、
僕の生まれ故郷の22番道路だった。1年ぶりに故郷に帰ることが出来た僕はとても
懐かしい気持ちになったよ。
でもご主人様、もう一度よく考えてみてください。
あの時、どうしてこんな僕をさよならの言葉何一つつげずに捨ててしまったんですか。
やっていい事と悪い事がたくさんあるはずです。
いくら僕が弱いポケモンだからって、ポケモンを粗末に扱うにも程があるんじゃないか。
世の中には、廃人トレーナーで溢れているこのご時勢、あなたにとっては
こんな僕ただ一匹の生命などどうでもいいと思ってるかもしれないけど、
今の僕はこのままでは野生ではとても生きていけそうにない。
餌も中々手に入らないし、いつか飢え死にするかもしれない。
あなたの愚かな行いで、僕がこんな散々な目にあっていることをいつまでも忘れないでください。
僕は今でも、御主人様がいつか22番道路に迎えに来てくれる事を待っています。
カモネギ(NN:マー)より