9月のある日の事。ホウエン地方は、夏の暑さが終わり、香り漂うキンモクセイの花盛りです。
海水浴シーズンも終わり、ついこの間まで賑わっていたカイナ周辺の海水浴場は閑散としていましたが、
バトルリゾートでは今日も激しいバトルを繰り広げる多くのトレーナー達や見物するファンで溢れかえり、
ミナモ近くのサファリゾーンでは連日珍しいポケモン達を捕獲しようと多くの人で溢れかえっていました。
そんな賑やかな場所から、波乗りで少し進んだ所に1つの山がありました。
ここはおくりび山といい、亡くなったポケモン達が眠るお墓です。
訪れる為には波乗りを覚えたポケモンが必要である為、余り訪れる人は多くありませんが
今日も何人かの人々かお墓参りに訪れていました。
そこには、二人のトレーナーである男の子と女の子の姿がありました。
彼らの前にあった立派なお墓には、多くのポケモンの名前が書かれておりました。

「ヌマクロー♂(命名:ズズ)享年23」・オオスバメ♂(命名:ツバクロー)享年45・
・ライボルト♀(命名:はれ) 享年52・ヌケニン 享年30・テッカニン♀(命名:ザエモン)享年40・
キルリア♀(命名:ジョシ)享年25 ここに眠る」

少女「どうして?いきなりあたしをこんな場所に連れて行ったりして・・・。」
少年「ここは、俺の今まで倒された奴らが静かに眠る場所だ・・・。」
少女「あなた、こんなにポケモン達を粗末に扱っていたなんて・・・。ポケモンを何だと思っているの。
ただの道具だと思ってるんでしょ?最低にも程があるわ!」
少年「フッ。そんな事思っちゃいねえよ。ただ、俺様はトレーナーとしての旅をするにあたり、
ポケモンセンターに頼らない縛りプレイをしたかっただけだ・・・。回復は道具のみで行い、
倒された奴らはポケモンセンターで生き返らせるような事はしない。もし仲間が足りなくなったとしても、
新しい仲間を探せばいいだけなんだから・・・。」
少女「だからって、皆の命を粗末にしていいと思ってるの?」
少年「うるせえ、俺には俺の考えがあるんだ。折角俺様が今までどのくらい厳しい戦いを繰り広げてきたのか、
トレーナーとはどんなに厳しいものなのかお前に教えてやろうとここにつれてきてやったのに。」
少女「もう沢山だわ!こんなあんたとはもう絶交よ!」
少年「おい!ちょっと待てよ!おい!」
少女はそういうと少年の下を立ち去ってしまいました。少年の引き止める声を耳にすることなく。
少女が立ち去った後ただ独りになった少年は、少し顔を曇らせこういいました。
少年「やっぱり俺は、トレーナー失格かもしれない・・・。ポケモンを粗末にしていたのかもしれない・・・。
みんなごめんよ、もっと俺と一緒に生きたかっただろうに。ちゃんとポケモンセンターで手当てをしてもらうべきだったな。
そうすれば、もっと俺と一緒にいられて、一緒に殿堂入りも出来ただろうに・・・。明日からは心を入れ替えて
ポケモンを大切にするトレーナーになろう・・・。」
 

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最終更新:2015年12月06日 16:01