今から2年ほど昔の事。カロス地方に、あばれるくんという名前の一人の若き青年トレーナーがいました。
彼はカロス地方では変わり者のポケモントレーナーとして有名でした。
なぜなら彼は、そんじょそこらにいるヤヤコマただ1種類のみを何匹も捕まえてそのヤヤコマ達を
他の沢山の種類のポケモン達を他のトレーナーと交換してもらう旅をする
いわゆるわらしべ長者だったからなのです。
あばれるくんは、ポケモンを交換するためだけに捕まえた沢山のヤヤコマたちに、
「あばれ」というそのまんま自分の名前と、その次に捕まえた順番に数字をつけるという
本当にネーミングセンスのかけらもないニックネームをつけていました。
初めのうちは他のトレーナー達もあばれるくんと交換するのを嫌がりました。
もっともヤヤコマはカロス地方では誰もがそんじょそこらで簡単に捕まえられる雑魚ポケモンでしたし、
ましてやあばれるくんがこんなにまで酷いニックネームをつけるのですから無理もありませんよね。
ところがあるときの事です。あばれるくんが余りに沢山のヤヤコマだけを捕まえる図鑑完成の旅を目指す
わらしべトレーナーとしてテレビや新聞などのマスコミで度々報道され有名になると次第にあばれるくんの
ヤヤコマブームがカロス地方のほか全国のトレーナーから人気を集め、
あばれるくんは次第に自分が今まで沢山捕まえてきたヤヤコマと他のトレーナーの持つ沢山のポケモン達と
交換してもらえるようになりました。
月日が流れ、あばれるくんがわらしべ長者をはじめてから半年が経つ頃には
ヤヤコマと夢特性を持つ高レベルの御三家ポケモンを交換してくれる
トレーナーまで現れ、あばれるくんのヤヤコマブームは暫く続いていきました。
そして、あばれるくんはヤヤコマを交換に出して入手した沢山の強いポケモン達で、
ファイヤーやジガルデなどの伝説ポケモンを交換してもらった結果、彼が旅を始めてから1年半後のある日。
あばれるくんは遂に全国図鑑を完成する事ができました。
しかし、あばれるくんが図鑑完成を達成したと同時に、長らく続いたあばれるくんの
ヤヤコマブームも終焉を迎えました。
そして、このヤヤコマを巡って、新たな問題が起きてしまいました。
ヤヤコマブームの終焉と共に、あばれるくんのヤヤコマを受け取った他のトレーナー達は
ミラクル交換に出したり、GTSに預けてまた他のポケモンと交換してもらおうとしました。
ブームが去った後も、まだごく一部のポケモンコレクターたちの中はあばれるくんが捕まえたヤヤコマを入手しようと
する連中が少なからずおり、中には伝説ポケモンを差し出すものもいました。
しかし、ここで大問題が起きてしまったのです。
GTSを利用していたおつむの足りない馬鹿な子供たちや外国人トレーナー達の多くは、この事をきっかけにして「ヤヤコマさえ出せば
伝説ポケモンがもらえるぜ!」と思って、適当に捕まえてきたヤヤコマ達にあばれるくんそっくりそのままのニックネーム
をつけた上で、コメントに「あばれるからもらいました!」とウソコメントを書いて、伝説ポケモンを巻き上げようとしました。
そう。いわゆる偽物を売りつける詐欺行為そのものだったのです。
あまりにも迷惑すぎる彼らのおかげで、伝説ポケモンたちを奪われ偽物のあばれるくんヤヤコマをつかまされた
マニアのトレーナー達が日に日に増えていきました。当然、貴重な伝説を詐欺られてつかまされたそんな紛い物など
ゴミ同然ですから、沢山の伝説ポケモンや手塩にかけて育成したレベル100のポケモンを失った被害者達は
何万匹もの偽物のヤヤコマ達をあちこちの草むらに逃がしていきました、
逃がされた偽者の沢山の被害者どもに捨てられた沢山の偽あばれるくんヤヤコマたちは生まれたてではないとはいえまだレベル10未満の
赤ん坊ですから、当然のことながら野生に帰っても他のポケモンの餌食になるやつもいました。
中には、何とか野生に生き残る事のできた個体も少なからずいるかもしれませんが、
彼らはただのポケモン詐欺のためだけの道具にされて、悲しい思いをしているはずです。
どうか皆さん、もう一度考えてみてください。
ヤヤコマたちは本当はファイアローまで進化して強いポケモンに成長し、
正しいトレーナー達のパートナーになりたいはずです。
おしまい