タマゴから生まれて初めて見た、赤いマフラーのあの人が僕のお父さん。
生まれたての僕の頭をやさしく撫でてくれた。
僕お父さん大好き。
しばらくして、僕は寒いところへと連れていかれた。僕寒いところは好きだから嬉しいよ。
雪のうえに降ろしてもらってはしゃいでいたら、お父さんは「元気でね」っていった。
僕はいつでも元気だよ?
首をかしげて見ていたら、お父さんは背を向けて歩いていった。
おいかけっこかな。
僕は短い足で、一生懸命走って追い掛けた。
でもお父さんは足が速くてどんどん遠ざかっていく
途中で足が雪に埋まって、僕は転んでしまった。
痛くて悲しくて、声のかぎりにお父さんを呼んで泣いたけど、お父さんは脇目も振らずに歩いていって、そして見えなくなった。
どうして?
僕悪い子だった?
これはおしおきなの?
いやだ!
お父さん僕を置いていかないで!
お父さんの匂いを頼りに追い掛けたけど、吹雪で匂いは消えてしまっていた。
赤いものを遠くに見つけて走ったけど、それは壊れた誰かのスキー板だった。
どうしよう。
どうして?
怖いよ。
怖いよ。
おいていかないで。
ごめんごめんっていって戻って来てよ。
いやだ!
さみしいよ!
僕を迎えに来て!
独りぼっちにしないで!
お父さん
ねぇお父さん
会いたいよ
会いたいよ会いたいよ会いたいよ
お父さん
作 初代スレ>>385-386
最終更新:2007年10月19日 20:19