みんなそうだった それが当たり前だった
ポケモントレーナーとして頂点を目指すのであれば 避けては通れない道だとも教えられてきた
今ほど研究が進んでいなかった当時でも 伝統的に人々は知っていた
ポケモンの強さには 努力では補いきれない個体差があることを
強いポケモンは強いポケモンから生まれやすいことを

俺も周囲の期待を背負う身として ポケモントレーナーとして
強いポケモンを育てるのは当たり前だと思っていたし
トレーナーとしての栄光を掴むためなら どんな犠牲でも払う覚悟だった

だが……辛くないはずがなかった
俺たち人間に心があるように ポケモンたちにも心があることに気づかない人間などいない
俺たちはなぜ……強さを求めるポケモントレーナーはなぜ……
ほんのちっぽけな栄光のために 多くの時間と労力を費やすのだろう……
トレーナーたちは これまでも 今も そしてこの先もずっと……
たくさんの命を犠牲にするために 自分の人生を擦り減らしていくのだろうか……

我慢できなかった
生まれついての強さがなんだ 俺がなんとかしてやる
人からなんと言われようがかまわない 後ろ指をさされようがかまわない
そうだ 犠牲になるのは俺の名誉だけでいい
どんな手段を使ってでも 俺のすべてを投げ打ってでも
俺はお前たちを救ってみせる 強くしてみせる

俺がそう決心したのは 俺がポケモンリーグに挑む少し前のことだった

そして今 俺は俺の最高の仲間たちと共に ここにいる
「カイリュー はかいこうせん」


作 初代スレ>>703

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最終更新:2007年10月20日 15:12