ええ、正直ですねぇ、苦痛なんですね、私
ちっちゃい子が沢山逃がされてくのは。
私は強くもないただのマグカルゴでしかありませんが、
主人のポケモンの中では相当の役割を果たしてるんですよこれが。
ほら、あのボーマンダやメタグロス。あの子がタマゴだったころ温めてあげてたんですよー?
今じゃ主人のバトルメンバーの中の主力のようで…私も嬉しいのです
でも、私はそんなことよりポケモン一匹「作る」為にどれだけの犠牲があったか知ってて
強い子になっても正直心から喜ぶことはできないのですよ。
……たとえばトゲキッスならこんな感じでした。
まずですね、ピチューの孵化から始まったんですよ。
生まれてくる子に「わるだくみ」と「でんじは」を覚えさせる為に
♂でわるだくみとでんじはを覚えたピカチュウがいなくちゃならないんですね。
でもわるだくみはピチュー時代しか覚えず、でんじはは進化しないと覚えない。
だから、♂ピチューを新たに作った方が効率がいいようなんですよ。
…え?野生でもいいんじゃないかって?いやいや、
もちろん高個体値のほうがいいですしタマゴから生まれたポケモンは最初からちょっとなついてるので
進化させる時は楽ちんだって言ってたんですよ…私は止めたかったんですけどねぇ
もちろん、ピチューを孵化させる中にも「逃がす」というプロセスは存在するのです。
ちっちゃくって、ぬいぐるみみたいなピチュー、可愛さで身を守る生物ゆえ、か弱いピチュー。
今頃誰かに拾ってもらってるか、遺跡あたりの安全そうな場所で暮らしてくれてればいいんですけど。
お目当ての♂ピチューが生まれたら一度ピチューはボックス行きです。
続いて、トゲピー♀の孵化を始めなくてはいけませんからね。一度野生のを基にして、良個体値を作るのです。
知ってました?トゲピーって、見かけによらず♂の方が多いんですよ?
だからピチューのときよりも、ずーっと逃がす数が多くなります。
ああ、ピチューとは違って攻撃技さえ持たないトゲピーちゃんが心配です。…うまく「まるくなる」や「あまえる」で凌いでくれてればいいんですけど。
そしてトゲピーも生まれたので、お見合いと称しピチューとおそろいの鈴を持たせてサイクリングロードを走り回ります。
小さい子はどうしてこんなことに飽きてこないんですかねぇ…嬉しそうに主人に笑いかけてどうするんですか?
トゲピーもピチューも十分になつきました。
さあ、もう進化ができるようです。進化ができれば、あとは技の調整だけして育て屋にぶち込むだけ。
トゲチックとピカチュウの育て屋に預けられるときの寂しそうな顔…ああ、思い出したくない!
やたら懐かせないで欲しい物です、これ…
…今回はハードルを高めにしようと主人は言いました。確かにこれだけでいつもの倍以上の数を逃がしてましたよ。
そして沢山の犠牲の上でトゲキッスにふさわしいトゲピーが生まれました。
ちなみに、主人は「戦わせるポケモンは♀じゃないと嫌だ」なんて変な拘りを持ってまして
このトゲピーももちろん♀なのです。…♂で妥協していれば、もっと少ない数で済んだだろうに…
でも、私がマグマのよろいを駆使するのをやめてしまえば私は主人の手持ちの中で意味をなくしてしまうのです。
だから、私は居場所を失わないためにタマゴを温めつづけます。
…沢山の幼いポケモンたちが、逃がされるのを見つめて生きていきます。
作 初代スレ>>984-985
最終更新:2007年10月20日 15:23